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FUJI ROCK FESTIVAL'12 -DAY 2-

今日もまた、苗場らしからぬ強い日差しが照りつける。乾いた地面は、砂埃となって風に舞っており「ちょっと雨降らないかな」とすら言葉が出てくるようになった。正午過ぎに遅い朝食をオアシスで食べながら、友人と今日のスケジュールを共有する。この日のスタートは、ドラゴンドラに乗ってDAY DREAMINGから始まった。ドラゴンドラは、乗車時間約20分のゴンドラで、苗場スキー場からかぐらスキー場を結んでいる。かぐらスキー場には、DAY DREAMINGというステージが設けられ、DJ中心のパフォーマンスが繰り広げられている。昨年は、天候もあまりよくなかったので乗らなかったが、今年は乗ってみることにして一時苗場を離れた。

Text : yanma (clubberia)
 
思うことはみんな同じでゴンドラに乗るまでに40分待ちと、人気遊園地のアトラクションばりの列ができていた。でもこれもストレスにならないのがフジロックマジックなんだと思う。ゴンドラに乗ると、GREEN STAGEやWHITE STAGE、ORANGE COURTが上から見えるのもおもしろいし、山の斜面をアップダウンするのでゆっくり進むジェットコースター状態で、非常にスリリング。この移動だけでも十分に楽しい。DAY DREAMINGへ到着すると、そこはもう雲の中のステージだった。山の頂上といこともあり、ひんやりとした空気が心地よい。大きな木造レストランがあり草原が広がる。その草原の中に見慣れたDJブースがあり、ちょうどANI+ロボ宙+AFRAによるDONUTS DISCO DELUXEがパフォーマンス中だった。期待するのは、そう夏のせい。「サマージャム’95」を聞きたくてここまで来た感じもあった。ブース前は人だかりで見えないが、ロボ宙のDJにANIとAFRAがMCをのせていく。ヒップホップからディスコ、ソウルと温かい雰囲気を作っていく。最後は、ANIが"サマージャム’95"をかけて大合唱を誘い、コール&レスポンスで一体感を作りパフォーマンスを終了した。

ちょうどDONUTS DISCO DELUXEが終わったあたりくらいから雲行きが怪しくなってきたこともあり、Uターンラッシュが始まった。短い時間ではあったがDAY DREAMINGを楽しめた。ぜひ天気のいい日にドラゴンドラに乗って、雲の中のDAY DREAMINGに行ってみることをオススメしたい。

苗場に戻ってからは、WHITE STAGE横のところ天国で食事をしながら聞こえてくるフォークトロニカの礎を築いたオリジネイター、CARIBOUの音を聞きながら過ごす。日が暮れてくると木々にプロジェクターから照明が照らされ、まるで多くのホタルが森の中にいるような幻想的な光景が演出された。
   
19時過ぎにGREEN STAGEへ移動し、今日も中央後方の斜面にシーツを広げて準備を整える。ちょうど2トーンスカと呼ばれるジャンルの草分け的存在であり、1980年代初頭のスカコアブームの中心的存在であるTHE SPECIALSがパフォーマンスをしていた。ステージ前方は、軽快なスカに合わせて踊り狂っているオーディエンスが見える。後ろでゆっくり見ているけれど、スカのリズムは心が踊らされるものだ。THE SPECIALSと言えば"Message to you Rudy"や"Little Bitch"が特に有名だろうし、私もいつどこで聞いたか全く覚えていないがいつからか知っている名曲だ。彼らのパフォーマンスが終わり、息を切らし汗だくになって戻ってきた友人がいたと書けば、どれだけ楽しかったが伝わるだろう。
   
さて、2日目のヘッドライナーは、OASISのお兄ちゃんことノエルギャラガーのユニットNoel Gallagher's High Flying Birds。前日のBEADY EYEでは、正直"BEADY EYEを見た"というだけの感想になってしまった感じがしたが、お兄ちゃんはどうだろう。演奏は安定感抜群でバッチリ、声こそOASISのボーカルがリアムだったこともあり最初は違和感もあったがうまい。さらに、ノエルのキャラにあったMCが会場を笑いにも包んだりしていた。MCで皮肉混じりのユーモアで笑いを取ってみても、曲が始まると皆、曲と向かい合うメリハリのあるライブだったように思う。OASISのメインソングライターだったということもあり、自然と曲が心に入ってくる感覚がある。初めて聞くがそう思えない懐かしいメロディー。その感覚を味わい彼は、本当に優れたソングライターなのだと痛感した。
   
アンコールでもしかしたら弟のリアムが登場か??と可能性の極めて低い希望を抱いたりもしたが、やはり登場するわけもなかった。ただ、アンコールは、"Whatever"で会場は総立ちし大合唱が起こり、Little By Littleへと続き、そして最後に"Don’t Look Back In Anger"とOASISを代表する名曲を惜しげもなく披露してくれた。まるでOASISの曲をやることに抵抗がないように、あたりまえのようにごく自然に。2人の関係を気にしているのは、私たちオーディエンス側で、それも気にしすぎすぎているのではないだろうか?彼らは今まで素晴らしい曲を作って私たちに届けてくれたし、その曲は紛れもなく彼らのものでもある。衝動を突き動かすものが音楽だと思うし、これからも彼らはそんな音楽を作ってくれることだろう。今回のTHE STONE ROSESのようにOASIS奇跡の再結成+フジロックヘッドライナーということが再び起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。ただ、そういった夢を描けるのは楽しいことだと思う。
   
THE STONE ROSESの時もだったがヘッドライナーが終わってから、オーディエンスの大移動が始まる。3~4万人がGREEN STAGEから動くわけだから1時間くらいGREEN STAGEからエントランス、オアシスまで渋滞となる。そして、この日多くの人が向かっていたのがRED MARQUEE。なぜなら1時間後に電気グルーヴのライブが始まるからだ。私もその1人だったが、あまりに多くの人が集まったため、とてもじゃないが見れる環境ではなかった。選択肢としては、RED MARQUEEから漏れてくる音を聞くか、時間をおいて人がはけるのを待つか。私は後者を選び最後に少しだけ見れた。それでもすし詰め状態でようやくRED MARQUEEのエリアに入れるか入れないかの部分。うっすらピエール瀧らしき人物が動いているのが見えるくらいだ。「学校ないし家庭もないし」と"NO"がさらに人口密度を上げていく。そして「みなさんお待ちかねの、やつです」と卓球がMCを入れると"富士山"が流れて会場は富士山コール一色になった。富士山の着ぐるみを着たピエール瀧が山頂から白い煙を勢いよく吐き出しながらさらに煽っていった。つい1時間前までは、ノエルの世界観に心撃たれ余韻に浸っていたが、いっきに吹き飛ばされた。感動が、、、と思いながら、さすが電気グルーヴといった圧巻のパフォーマンスだった。

こうして2日目も無事終了。いよいよ明日は最終日。RADIOHEADが登場する。