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RAINBOW DISCO CLUB 2013

「今日は絶好のRDC日和」。これは、会場について思わずフィードした言葉でした。みなさんご存知のとおり、昨年は悪天候のために開催を中止。さらに一昨年は、東日本大震災の影響で開催を中止と、2年連続で自然に泣かされた野外フェスでした。ただこの日は、まさに五月晴れ。まるでDJ Harveyが出演したRDC初年度の時と同じような晴天でした。
 
Text : yanma (clubberia)
  着いた頃にプレイしていたのは、DJ Sprinkles。彼の出演自体がめずらしく、しかも野外ということもありどのようなプレイをするのか楽しみにしていたアーティストでもあります。野外ということもあって比較的アッパーなテンションでしたが、乾いた音、枯れた音色に彼の無常的な世界観を体験できたのは嬉しかったです。

次に登場したのが、Kuniyuki。個人的に早くもこの日のベストアクトなのかもしれないと思いました。どうしたら、この太く柔らかいキックの音が出せるのだろう?キックだけで心地いい音楽。そこに彼自身が演奏するキーボード、笛の音色がのっかっていくわけです。彼のライブをゆっくり見たのは初めてでしたが、東京・晴海に何か生命エネルギーを与えるかのような温かく神秘的なパフォーマンスでした。

今回のRDCがよかったところは、ワンステージだけだったということ。ステージの音は、どこにいても聞こえる。野外フェスの多くが、ステージが多く組まれ来場者が自分の見たいアーティストに合わせて動くのが普通ですが、RDCは、常に誰もがフェスに参加している。もちろん、ハウス、テクノ、ディスコのフェスなので、10分、20分で良さが分かるものでもないのでしょうが、音楽を聞き続けられる環境が作られていることがいちファンとして嬉しかったです。

  さて、次はDJ Nature。Kuniyukiが素晴らしいパフォーマンスをし、何から始めるのか?と思っていたら、黒~いビートダウン系のサウンド。野外でこのBPMで大丈夫か?ゆっくり過ぎないか?とドキドキしましたが、これはこれで楽しい。野外といったらBPM早め、そして派手めで。じゃないと盛り上がらないといった印象がありますが、今日は違います。普段からこのての音楽を聞き慣れている人が多く集まっているので、DJ Natureと一緒に徐々にゆっくり上がっていく感覚がありました。

そして夕方、Kevin Yostに繋がっていくのですが、私個人もお酒も入り非常に楽しくなってきてしました。普段、こういうことは珍しく、こうしてレポート用の記事を書きに来ている時は、仕事という建前上お酒もほとんど飲んでなければ、一歩引いて見ています。なので普段、私自信あまりイベントに参加していません。ただこの日は、いいパフォーマンスと絶好のロケーション、そして3年ぶりの開催ということもあり、フェスに1人のお客として参加せずにはいられませんでした。後ろで腕を組んで見ているのでは、もったいない。そう思うようになっていました。

最後は、DJにものすごい定評があるDixon。私は、以前AIRで行われたDixonを聞いた時に惚れ惚れしたことがあったので、非常に楽しみでした。この日も、その時と同じように派手さはないのですが、音に集中されられるシンプルでミニマルなハウス~テクノで、ずぶずぶと嵌っていってしまいます。夜景の望みながら、Dixonのプレイを聞きながら、このままここでオールナイトでやってくれないかな、音を止めないでほしいなと思いました。最後には、女性ボーカルの揺らめくトラックの中、RDCの1部は、静かに幕を下ろしていきました。

  振り返ってみると、ほとんどを同じ場所にいたように思います。中央やや後方。そこがこの日の指定席でした。長くゆっくり楽しめるフェスってやっぱり無かったんだな、ハウス、テクノ、ディスコでアッパーではなく、ちょうどいいテンションのものっていうのも、やっぱり無かったんだなと、この日RDCに来て思いました。音楽を楽しみ、会話を楽しみ、お酒を楽しみ。あれ、普段のクラブと変わらないかも。でもその普段のクラブを野外に持ってきた感覚が、RDCの魅力であり心地良さなんだろうなと思います。来年はどうなるか?スケールアップしてほしいような、してほしくないような(笑)。