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"2000"UNIT NEW YEAR'S PARTY 2010 Featuring : Hard Wax Night

※未成年者の入場不可・要顔写真付きID

近年、またしても評価を高めているのが、ベルリンのレーベル〈Basic Channel〉とその拠点となっているレコード店〈Hard Wax〉だ。この10年、世界中のアーティストたちを虜にしているドイツの新しい首都におけるミニマル・ダブの魔術師たちの音楽は、いよいよダブステップのシーンのなかにもその影響の痕跡をはっきりとみるようになり、欧米のメディアは嬉々として「ついにダブステップはベルリンのミニマルとも接続した」などと書き立てている。とにもかくにも〈Basic Channel〉は、実にこの20年近くものあいだ、ミニマルにおける最大の影響力としてあり続けている。そして、我々は、この並はずれた影響力が、彼らの頑ななまでのアンダーグラウンド哲学とともにあることを忘れてはならない。

〈Hard Wax Night〉は、そういう意味でベルリンのミニマルのもっとも深い場所をぞんぶんに堪能できるパーティだ。この晩は、〈Basic Channel〉のサウンドを創出したふたりのうちのひとり、マーク・エルネストゥスのDJをはじめ、レーベルの最初期からいるレネ・ロヴェ(ヴァンクール/Vainqueur)とピーター・クシュネライト(サブスタンス/Substance)によるプロジェクト、シコン(Scion)のライヴ(ピートは DJとしてもプレイする)、そしてこのコミュニティには欠かすことのできないMC、ティキマンも参加する。

マーク・エルネストゥスは、手のつけられないレゲエ・マニアとして知られている。〈Basic Channel〉のミニマル・ダブ・サウンドの背後には、この寡黙な男のジャマイカ音楽への激しい情熱があることは言うまでもないが、実際のところジャーナリスト顔負けの彼の膨大なレゲエ・コレクションを見れば彼が本当にレゲエに関する知識を有し、まるで舐めるようにダブのレコードを愛していることがよくわかるだろう。そしてレコード店〈Hard Wax〉の創始者がマークであり、店の前身はもともとレアグルーヴを主に扱う店だったことを知れば、なぜいまでも〈Basic Channel〉だけが長きにわたって多くのファンを惹きつけているのかも察することができよう。

レネ・ロヴェ(ヴァンクール/Vainqueur)とピーター・クシュネライト(サブスタンス/Substance)によるプロジェクト、シコン(Scion)のライヴは、ベルリンのミニマルにおいて最高なエモーショナルなグルーヴを創出する。クラバーをダンスフロアに釘付けにしながら、激しくダンスをうながし、ときには涙の近くまで連れていく。ちなみにふたりは、長きにわたって〈Hard Wax〉の店員を務めている。

テュイキマンは、優れたダブ・クリエイターであると同時に、〈Basic Channel〉ポッセにおいてパーティの盛り上げ役でもある。ドープで、ときにファンキーな彼の声や動きが、純粋主義者たちによるパーティに花を添える。
〈Hard Wax Night〉は、ミニマル・テクノを愛する者、レゲエ/ダブを愛する者にとっては最良のパーティである。また、秘密主義と匿名性というアンダーグラウンド哲学を貫き通している〈Basic Channel〉と真っ向から出会える最良の場である。
なお、このパーティは、〈UNIT presents 2000〉の第三弾として企画されている。FUMIYA TANAKA~石野卓球と2回続いたこのシリーズは、「DJ、スタッフ、店、そしてオーディエンス。そのパーティに関わる全ての人によってひとつのパーティは創られるという」考えにもとづかれたもので、業界臭いディスカウントやゲストはなしで、1時までにご入場の方と、フライヤー持参の方は2,000円で入れるという、ミュージック・ラヴァーにとっては嬉しいことこのうえない企画である。この機会により多くのクラバーが、ニューイヤーイヴをベルリンで最高のポッセとともに過ごすことを願うばかりだ。(野田 努)

■Paul St. Hilaire a.k.a. Tikiman
Tikiman名義で多くの作品をリリース、世界各地でライブを人々を魅了してきたオリジネーター、Paul St. Hilaire。カリブの島ドミニカで生まれ、90年代前半からベルリンで活動開始、瞬く間にその名を知られるようになった。伝説的なレーベルBasic Channel、Chain Reactionの中心人物として知られるMoritz von OswaldとMark ErnestusによるMain Street Recordsの「Round Three」から「Round Five」までヴォーカリストとして参加。以降そのコラボレーションは、ミニマル・ダブの礎を築いたRhythm & Soundへと発展する。研ぎ澄まされたミニマル・サウンドとTikimanのルーツ・レゲエ・スタイルのヴォーカルが融合された唯一無二のサウンド・スケープを創り上げた。2000年に設立した自身のレーベルFalse Tunedから『Unspecified』と『ADSOM - A Divine State Of Mind』の2枚のアルバムをリリースしている。デジタルとアナログ機材を駆使したプロダクションでプロデューサー/コンポーザーとしての大いなる才能を発揮している。ここ最近だけでもDeadbeat、EchocordのMikkel Metal、Modeslektor、Apparat、Beat Pharmacy、EchospaceのIntrusion、Moderat等とコラボレーションを重ねている。

■Scion (Substance & Vainqueur)
ミニマル・テクノ~ミニマル・ダブのパイオニアであるBasic Channelの哲学を正統的に継承するユニット/レーベルが、Scion Versionsである。Pete Kuschnereit a.k.a. SubstanceとRene Lowe a.k.a. VainqueurによるScion Versionsの2人は、ベルリンのテクノ・シーンの総本山的レコード・ショップ、Hard Waxの中心的メンバーである。2人は1991年頃から実験的トラック制作を開始。ミニマル・ダブ~エレクトロニカの礎を築いたレーベル、Chain Reactionから「Emerge」を1996年にリリース。それぞれのソロ・アルバム、Substance『Session Elements』とVainqueur『Elevations』を1997年にリリースしている。ほぼ同時期から、ライヴ・ユニットとして様々なクラブやフェスティヴァル、アート・イヴェントなどでパフォーマンスするようになる。2002年にはBasic Channelの音源を使用、Ableton Liveで再構築したミックスCD『Scion Arrange and Process Basic Channel Tracks』をTresorからリリース。2006年、新たなプラットフォームとしてScion Versionsというレーベルと立ち上げ、これまでに6枚の12インチ・シングルをリリースしている。2001年にTikimanと共に初来日。以降、 2005年にはJeff Millsの招聘でContact Special @ WOMB、2007年にはFrancois K.の招聘でDeep Space @ YELLOW、2008年には野外フェスティヴァルTHE LABYRINTHとコンスタントに来日している。DeepchordやModern Love、Echocordなどに代表されるフォロワーの隆盛、ダブ・ステップとも呼応しながら再燃の兆しを見せるミニマル・ダブ~ダブ・テクノのシリアスな未来進行形のサウンド・ヴィジョンを提示してくれることでしょう。

■KAORU INOUE (SEEDS AND GROUND)
DJ/プロデューサー。高校時代より20代前半までパンク~ロック・バンドでのギタリスト経験を経て、Acid Jazzの洗礼からDJカルチャーに没入する。同時期に民俗~辺境音楽探究に目覚め、バリ島やジャワ島へ頻繁に旅立つ。都内の小箱クラブの平日レギュラーを務めながら、94年より"chari chari"名義で音楽制作をスタート、UKの"PUSSYFOOT"からリリースを重ねる。
"真空管"、"MIX"、"BLUE"、"WEB"などの都内クラブで活動を続け、徐々にハウス・ミュージックに傾倒していく中、99年"chari chari"として、あらゆる音楽体験を昇華した1stアルバム「spring to summer」をリリース。以降、リリース作品、リミックスは多岐に渡る。主なリリースは"chari chari"「in time」、"Kaoru Inoue"「The Dancer」、「Slow Motion」。現在DJの他、小島'DSK'大介とのアコースティック・ミニマル・ギター・デュオ"AURORA"などプレイヤーとしても活動中。レーベル"SEEDS AND GROUND"主宰。7年を超えるレギュラー・パーティー"groundrhythm" @ AIR、岩城健太郎との共催"FLOATRIBE" @ UNITを拠点に活躍中。

■JUZU a.k.a. MOOCHY
東京出身。10代からバンドとDJ両方の音楽活動を並行して始める。19才の時に結成したバンド Evilpowersmeの楽曲は、メタリカのジャケット等を手懸け、スケーターの中では著名なイラストレーター、パスヘッドのレーベルからリリースされ、海外でも紹介される。DJとしてはその同時期90年代初頭、今や伝説化したパーティRhythm Freaks (3DJ+2MC+サウンドシステムというセット)のオーガナイズ及びレジデントDJとして一世を風靡する。その頃出廻ったMixテープはクラバーやDJ のみならずミュージシャンやジャーナリストからも大きな反響を呼び、その流れからBoredoms等のリミックスを行う事となる。その後は、巨大なレイブからアンダーグランドなパーティまで ~ Fuji Rock Festival、Equinox、Life Force等で活躍。海外ではNY、SF,オーストラリア、オーストリア、クロアチア、インド,ハワイ等でDJを行う。 90年代の終わりから打ち込みでのトラック・メイクを始め、音源をSound-Channel等様々なレーベルからリリースする。その一方で楽器演奏をメインとしたバンドNXSのリーダーとしても活動を展開、その楽曲は海外でも評判を呼ぶ。またインドネシア、アフリカ、ブラジルなどの旅からインスパイアされ、民族音楽と電子音楽の融合を模索。その影響もあり自らの文化的ルーツを探求する為2003年から福岡に移住。その年キューバに単身乗り込み録音。2005年にはアレンジ、ミックスをすべて独りでこなしたアルバム"Momentos"がOverheatからリリース、2007年7月にハワイ、ベトナム等で録音されたRe-Momentos Introduction をリリース、2008年2月には"Memories"をリリース,そして本年2009年には Re:Momentos シリーズ完結編 Movement がリリースされる。

■KENTARO IWAKI (Dub Archanoid Trim / BLOWMAN)
自身のプロジェクト"Dub Archanoid Trim"として2枚のアルバムをこれまでにリリース。「Atoms In Drum」、「Children feat. Ras Takashi」などの収録曲はワールドワイドでも高い評価を得た。また、アンビエント・プロジェクト"BLOWMAN"としても活動。ファースト・アルバム『Blue Nuit』(44Musique)以来の待望のニューアルバム『Respect For Self Respect For Others』(mule musiq)を08年5月にリリース、映像作家SATO-ANとのコラボレーション(DVD付)により視覚にも訴える新たな試みに挑戦した。シングルの近作としては、曽我部恵一とのコラボレーション・シングル「TELEPHONE LOVE」、Frank Mullerと共にリミキサーとして参加したシングル「INNOVATION(KENTARO IWAKI Remix)」などが記憶に新しい。 DJとしては、井上薫との共同主催による"FLOATRIBE"(代官山UNIT)、自身のロングセット・パーティ"prizm"(代官山SALOON/盛岡DJ BAR DAI/福岡Keith Flag)を軸に全国各地でプレイ。また3枚のDJミックス作品、『Izanai』(mule musiq)と『Italo Old』(IRMA/KING)、そして自身のパーティのオフィシャル・リリース作品『FLOATRIBE』(Rambling Records)をリリースしてきた。2008年には単独で「日本一周DJの旅」を半年間に渡り決行し話題を呼んだ。趣味である旅の感覚と、シスコ・スタイラス時代に培った豊富な知識が融合した深みのあるプレイ・スタイルは、各地から支持が厚い。また、"kiwai graphic"としてグラフィック・ワークも展開している。 1972年生まれ。富山出身。動物、植物、ジャズ、宇宙、鉱物、温泉、山、水、美味しいもの好き。細胞を踊らせるDJ。

■yoshiki (Runch,op.disc)
90年代中盤に地元大阪にてDJとしてのキャリアをスタート。当時から現在クリックテクノやミニマルハウスと呼ばれる先駆的な存在と指向を持ったテクノをプレイし、徐々にヨーロッパのクラブシーンへの関心が高まり、2003年にベルリン、ロンドンへ留学という名目で現地のクラブへと飛び込む。
同時期にトラック制作も開始し現地のクラブで培った感性をDJや作曲にちりばめ、帰国後、Torema Records、op.discから作品をリリースし、DJとしても海外アーティストやアンダーグラウンドで活躍する国内DJなどと共にパーティを作り上げている。重く低い、淡々としたダークなトラックを着々とミックスする中にもポップかつトリッキーな遊び心も持つプレイスタイルは本人の中に潜む独自な世界観、また彼自身の思う枠に捕われる事の無いテクノをそのままに表現している。