INTERVIEWS
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Sven Vath

もう 12 年間毎年、年に 2 ~ 3 回くらいは来てるかなあ。。これだけ来てると友達もたくさんできるし、いい環境でパーティーができて、日本のファンともよいつながりができているのが、とてもうれしいね。仕事やパーティーを通じて、日本で同じバイブを感じる友達を持つことはイベントを円滑に進めたり、いろいろなアイデアをシェアする上でもいいからね。その上、僕のアーティスティックな面やメッセージを理解してくれる関係だから心地いいんだ。渋谷の WOMB で大晦日のカウントダウンパーティーを Richie Hawtin とともに 2 年連続でできたのも、そうした関係のおかげだと思ってるよ。今年の 6 月 24 日と 25 日にも東京に戻ってきて、アーティストのヒロ・ヤマガタと一緒にイベントをするんだ。ヒロはスペースデコレーションやレーザーショーをデザインするんだけど、彼の作り出す空間と僕の音のコラボレーションというのは、すごくおもしろい企画だと思ってる。僕も今から楽しみだよ。期待しててね! 僕は 2000 年から毎年イビサの Amnesia というクラブで、僕の主宰するクラブ兼レーベルである” Cocoon ”を再現すべく” Cocoon Club ”というパーティーをしてるんだ。毎年イビサでのパーティーのミックス CD をリリースしてるんだけど、 2004 年は 5 年目ってこともあって、 CD に加えて DVD もリリースしたんだ。 DVD は初めての試みだったんだけど、イビサに行ったことのない人たちにも、自分たちがイビサでどういうパーティーをしてるのかを知ってほしいと思ったんだよね。この DVD には、僕のほかにも Richie Hawtin や Ricardo Villalobos 、 Laurent Garnier など、僕と親しいアーティストのインタビューが入ってるし、 Amnesia での Alter Ego の“ Rocker ”ライブや僕のライブも収録されている。僕としては、それを見た人たちが「イビサの“ Cocoon Club ”に行きたい!」って思って実際に来てくれるとすごくうれしいよね(笑)! 1980 年かな。まだ僕はティーンエイジャーだった。その頃は、今みたいにちゃんとしたクラブはなくて、野外スペースやビーチで、ちょうどフルムーンパーティーのように自然の中、星を見ながらっていうパーティースタイルだったんだ。当時は JEAN PAUL GAULTIER や DURAN DURAN などの有名人がいつもパーティーをしてたんだよ。「 WOW !こんな楽しい場所があったんだ! 僕もこんなふうにカッコよくパーティーがしたい!」って強く思ったね。その影響を受けてからは、毎年イビサに足を運ぶようになったね。気付いたら、もう 25 年間も行ってるのかな。 いやーホントに、年を取ったなと思うよ(笑)!去年で 40 歳になったんだ。いまだに自分のやりたいことを、自由にやってるってのはうれしいことだよね。パーティーでは、常に人々からエネルギーをもらってるから感謝でいっぱいだね。いつもポジティブに考えて生きていけるのは、僕の周りの人たちやパーティーに来てくれた人たちから、いい刺激をもらってるおかげだと思うよ! Techno Nomad (テクノ遊牧民)だと感じるよ(笑)!いつも旅をしてて、まさに現代的な遊牧民だね。行く先々で、いろいろな音楽や人との出会いの中で、彼らから刺激を受け、僕も彼らを刺激する。それによって、いろんな創造力が生まれて、音楽を作り出せるんだ。たくさんパーティーをしても、同じようなパーティーになることは滅多にない。同じ順序でレコードを回すこともまったくないし、選曲にしてもそうだよ。それはやはり、常に新しい「何か」と出会うからだと思うんだ。新しい人、音楽、風景、空気。それは僕の音楽に対する情熱を燃やし続ける原動力を与えてくれる。そういう意味では、僕がツアーしてる時は毎日が非日常っていうのも過言ではないね。今回のツアーでも 40 か所は回るよ。 3 か月半ずっとツアーをしたあと、休みが 10 日間あるけど、すぐにまたイビサがスタートするんだ。 インドに古くから伝わるライフセラピーである「アーユルヴェーダ」を 10 年続けてるから大丈夫。疲れた時なんかには特に効果的だよ。体を動かしたり、瞑想などによって肉体と精神のバランスをとるんだ。やったあとは、精神的にも肉体的にもクリーンになってる感覚がする。僕はクリエーターなので、たくさん消費したパワーやエネルギーをまた蓄えるのに、アーユルヴェーダはすごくナチュラルでよいメソッドだと思ってるから、友達や周りの人間にいつも勧めてるんだ。 日本のテクノは環境が非常に整ってると思うよ。日本でレコードストアにいくといつも思うんだけど、よいセレクションのレコードがたくさん揃ってて感心するよ。僕の感触なんだけど、日本にはジャーマンテクノが好きな人が多いんじゃないかな? 日本の DJ では、以前はよくフミヤ・タナカやケン・イシイなどを聞いていた。最近では、 Dr.Shingo なんかもいいね。あと、トビーは大の友達だよ。昔は“ Japanese Techno Night ”というパーティーをオーガナイズしてたこともあるんだけど、機会があれば、また日本の DJ を呼んでパーティーしたいね。 今のところに Cocoon club 、レーベル、ブッキングエージェント、マーチャンダイズ、モバイルプロジェクトなどをやっている。もっといろいろなところに広めて行きたいし、可能性のあるビジョンを持ってるのなら、常に新しいアイデアを探してるよ。 Cocoon Club Tent なんかもいいアイデアかもしれない。移動する遊園地のように、世界のいろいろなところでパーティーテントを張って、 Cocoon Club が出現するんだ。屋台なんかもあって、アーティストたちも一緒に世界を転々とするんだ。おもしろいアイデアだと思わない? ただ、急いでやる必要は全然ない。やりたいからって何でもかんでも成り行きでやるんじゃダメ。何事もロジカルに検討することが大切だね。 とってもシンプルだよ。ミキサーと 2 台のターンテーブルだけさ。それ以外のエフェクトやファイナルスクラッチは必要じゃない。僕は「オールドスクール」なんだ(笑)。これからもそのスタイルを変えるつもりはないね。僕はミュージシャンであって、機械技師じゃぁない。あくまでも、僕の役割はいい音楽を造り出すことと、いいパーティーをすることであって、エンジニアになることじゃないからね。最近では、リズムトラックなどのさまざまなツールを駆使してプレイしている DJ もたくさんいるけれど、そういうことは自分の役目じゃないと思ってる。
一番大切なのは音楽そのものであって、僕はオリジナルの部分やメロディーを大切にしたいと思ってるから、エフェクトをかけたり、ツールを駆使して、何がなんだかわからなくしたりすることは好きじゃないんだ。でも、そういうことが大好きな DJ は僕のまわりにもたくさんいるから、それは彼らに任してるよ。否定はしない。そこからいいものが生まれることだって、あるかも知れないからね。それはそれでリスペクトしてるけど、ただ自分のスタイルじゃないってことさ。 ははは。自分ではよくわからないな。人は名前を付けるのが好きなんだよ。特に気にしてないし、何とでも呼んでよって感じだね。音楽というのは不思議なもので、人々の気持ちを一体にしたり、ハッピーにさせたり、悲しくさせたり、自分にマジックをかけることもできる。何か嫌なことがあっても、それを忘れることだってできるだろうし。そういう心の拠りどころという意味では、まあ宗教に通じるところがあるかもしれないね。精神的にも肉体的にも解放されたいというのは、すべての人にとって共通のことだと思うし、現に僕がアーユルヴェーダを続けていることと同じく、テクノによって精神や肉体を解放できるなら、それはとっても素晴らしいことだからね!