INTERVIEWS

Kuniyuki Takahashi

今回のアルバム「Walking in the Naked City」のテーマは「ボーダーラインをなくしすべての風景を通り過ぎたら、その行方にはどのような世界が生まれるのか」という問いかけから始まります。ある程度予想される道筋のチョイスではなく、目の前のビジョンを本能のままに進んでいくというイメージですね。抽象的で説明するのがむずかしいですが「すべてを脱ぎ捨てた状態でいろいろなものを感じると、何が起きるのか、どういう世界が待っているのか」そんなイメージです。 アルバムを制作する前にmule musiqの河崎氏から板橋さんのアルバムを薦めてもらい、その音楽、魂を揺さぶられるピアノの演奏にとても感銘を受け、うれしいことに参加していただくことになりました。僕自身も自分の楽曲でピアノを演奏しますが、 実際のレコーディングでは本当に予想なんてできなかった展開や、音楽への情熱の方向性を作っていただき、とても感動しました。録音当日には、簡単なコード進行とテーマのメロディをお渡しし、スタジオに一緒に入ってから、音楽の流れの要点のみを自然の風景にたとえて、(僕に)見える風景をお伝えしたり、板橋さんの視点で僕の音楽を感じていただいて、そして板橋さんがピアノと音楽と向き合う。全力疾走のピーク時にはピアノの弦が切れるくらいの勢いで。僕の音楽とひとつになったときには、鳥肌が立ちましたね。 Henrikとはmule musiq主催のパーティーを通じて知り合いました。彼はユニークな視点で音を表現していて、とてもあたたかくすばらしい人ですよ。僕と彼の音楽の方向性は少し違う部分もあるのですが、お互いの音楽を尊重し、いい所があれば「いい」と自然に言い合えるとてもいい関係です。今回は2作目ということもあり、お互いの音楽に寄り添いつつ自然体で共作できましたね。
彼自身の楽曲で、彼は歌を歌っているのですが、元々その曲と彼の声がとても気に入っていたんです。制作段階で僕のスケッチトラックに合わせて歌ってくれたボーカルトラックを受け取ったときは、彼の世界が凝縮された感じでいろいろな曲のアイデアが浮かんできましたね。
どの曲も僕にとってはハイライトなのですが。
「Once again」---Henrikと板橋さんのピアノの関係が絶妙で、お互いの高揚感がユニークですね。
「River」---板橋さんの魂のピアノには鳥肌が立ちました。徐々にビルドアップする高揚感がどこまでも続いて、そして最後に優しく包みこまれるような感覚になります。
「Deliverance」---Kristiina Tuomiというドイツ在住のヴォーカリストに歌ってもらった曲。ディープなのに、優しく温かく包み込んでくれる感動的な曲です。
「Storm」---前回も歌っていただいたJosse Hurlockですが、自然が肌に伝わる感じを表現してくれましたね。Tuomiの曲に対して時に男っぽく、力強い世界です。
はい、今回もシングルカットは予定されています。アルバムはトータルの世界観を大事にしてアレンジしているので、シングルリリースは、よりダンステイストを取り込んだものとなります。シングル(12インチ)にしかできない表現もあるし、ダンスミュージックとしてのアレンジも可能な限りチャレンジしていきたいですね。 札幌は都市ですけど、冬は雪も多いし寒いところなので、外を歩くにしても、車で移動するにしてもちょっとした工夫というか知恵が必要だなって思う瞬間があるんですよね。何か生きるための力を試されてる感じが、きっと音楽にも出るのかなと思います。 本当にうれしいことに、音楽に携わる仕事をさせていただいていますが、時間をみつけては、妻と息子と自然に戯れています。夏はキャンプ、冬は去年から久しぶりにスキーを再開してみたり。音楽の制作では常に発見とチャレンジを繰り返していますが、その糧となるのは家族といる時間があったり、仲間がいてできることだと思っています。感謝です。 Precious Hallがあって、音楽を聴いたりダンスしたり、また仲間と出会い、ライブをしたり、すごく大切な場所です。自分だけではまったく生まれることのなかった感情や、人の思い、 そして音楽と向き合いみんなと共有しあう至福のときの連続です。また音楽のことを考え、自分自身に問いかけ、チャレンジの場を作っていただける場所でもあります。
いつもライブを行うと、そのあとには何か問いかけが生まれて、答えを探すのに音楽を続けているときがあります。それは人間としてなくてはならない本能なのではと思います。人が、楽しい場所や何か刺激のある場所を求めるのは普通のことだと思いますが、Precious Hallはその要素のほかにもっと原始的な感情が生まれます。札幌にこのクラブがなければ、今の僕はいません。そのくらい重要な場所です。
ハウスミュージックは、元々のルーツをたどると未来の「形」が見つかるのかもしれませんが、何よりも大切なのは「音楽を共有して、共に感じ、目を閉じてダンスをすることで、ハウスミュージックと共に進化していくこと」ではないかと思います。
Kossの場合は、よりエレクトロニクスの未来を形にできればと思っています。またミニマルの要素や、音楽的にトリッキーな要素も入っていると思います。Kuniyukiの場合はよりオーガニックの要素が多いですが、Kossは音楽の表現としてはより電子の世界と自然音の共存を表現していると思います。フィールドレコーディングしたものは、Kuniyukiではストーリーを作りますが、Kossは音という単位で音楽に反映していることが多いです。
Kossは、より実験的な要素を表現できるものとして、心のスイッチを入れ替えています。
Koss名義でMinilougeと作品を作る予定があります。彼らとは本当に音楽のルーツが近いところもあり、音の構築もシンパシーを感じています。またほかのコラボーレーションもいろいろと計画中です。 そうですね、テクノロジーは単に便利なツールとしてだけ頼ってしまうと、たとえばライブパフォーマンスのときには本当につまらないものになってしまうと思います。いつも悲しく思うのはライブパフォーマンスをしているアーティストが、ライブではなく、ただのパフォーマンスをしているだけのときです。それは曲として完成されている曲を、DJのようにキューしているのみで、あたかもライブをしているという仕草で人を魅了する行為をしている。そういう光景を見ると、世の中は終わってしまうと思うくらい、僕にとっては悲しい瞬間です。僕はKossに関してはライブのセットはその場でしかできないことをしたいので、曲としての流れをくんだライブセットは用意しません。また時間に余裕があれば、その場所のためにセットを変えて、自分自身も楽しめるようなライブセットを組みます。僕らには将来を作る大切な役割があると信じているので、失敗やミスタッチで音楽があらぬ方向にいっても、今のライブセットは絶対に続けて行きたいです。 そうですね、とにかく時間の許す限り音楽を作っていくことは今までも変わりありませんが、今オヤイデ電気さんの協力で、いろいろと音のバランスや音の効果の違いを知る機会があるので、もっといい音楽を作っていくためにも、音響回りも充実させていきたいですね。 いつもありがとう、そしてこれからも僕らの大切な音楽と共にenjoyしましょう!
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