INTERVIEWS

CHAB

今はスイス人だけど、実はレバノンのベイルートで生まれたんだ。イタリアのローマで幼少時代を過ごし、17歳のときにスイスに移ってきたんだ。スイスは自然と都市がとても良いバランスがとれていて、静かでリラックスしたところだよ。ちょっと物価は高いけど、僕にとっては居心地がいいんだ。 スイスには3つの地域と言語があるんだ。ドイツ語、フランス語、そしてイタリア語。それらの地域と文化は、スイスを取り囲むオランダ、フランス、イタリアなどの大国にとても影響を受けているんだ。スイスの最も大きな部分を占めるのはドイツ語の地域で、そこは当然のようにドイツの文化と似ているよ。エレクトロミュージックの分野では、残りの地域に関してはよくわからない感じかな。その理由としてダンスミュージックに関してはオランダのようにトランスミュージックがとてもポピュラーなんだ。 エレクトロミュージックに関して言えば「platipus records」にすごく衝撃を受けたよ。「platipus records」のサウンドは他のものとは全く別物で、柔らかく、心を揺さぶる感情的なサウンドなんだ。「スゴイ!」とか「ヤバイ!」みたいな言葉が口から自然と出てくるんだ。(笑)あとはピンクフロイドやデビットボウイにはかなり衝撃を受けたね。僕の母親が当時プログレッシヴロックを聞いていたので、幼少時代、自然とこれらの音楽に興味を持っていたね。僕のアルバム「dub, edits and whisky-coke」の楽曲制作に関して言えば、daft punk、mirwaisは最も影響を受けたアーティストだよ。僕は彼らのアルバムを聴くたびに刺激を受けるよ。 1998年の終わりかな。僕が24歳のときだね。僕は「今しかない!そうでなければ一生無理だろう」と思ったんだ。だからコンピュータープログラマーの仕事をすぐに辞めて,2日に1回はレコード屋に通い,自分の楽曲制作のスキルを向上させながら、自分のスタジオで日々レコードを回し続けたんだ。そして 1999年に「platipus records」に楽曲を送って、リリース契約ができたんだ。 正直言って,僕の初めてのレイブパーティーが僕の人生の大きなターニングポイントだったね。今進んでいるこの道を選んだ自分自身に確信を与えてくれたんだ。レイブにいき始めた当時発見した「エネルギー」、「愛」そして「友情」が僕をこの世界に引き込んだ要因なんだ! 実は、はっきり言って僕は一度もスイスのクラブに関わったことはないんだ。スイスはとても小さい国でハウスやプログレッシヴハウスなどの音楽に「クラブシーン」というバックグランドを持っていないんだ。これらの音楽がより一般化し、人気が出始めたのは2003年頃だね。それまでは僕が2001年に DEEP DISHを招聘したとき、フロアにはお客さんが半分しかはいってなかった程だよ。 ドイツ地域のチューリッヒは、コマーシャルな部分だけではなく、アンダーグラウンドなハウスやプログレッシヴハウスをバックグラウンドとして持つ人達がいるんだ。フランス地域では未だにクラウドを踊らせるためにより分かりやすい音楽が主流だね。僕はよりたくさんのギグをやるために、自分の音楽をそのシーンあわせるようなことはしないんだ。だから僕がスイスでDJしたとき、たいていクラウドはコマーシャルなものをかけてくれと頼んできたんだ。だから僕は 2003年でスイスでプレイすることを辞めたんだ。僕がかける音楽を心から喜んでくれる人たちの集まる小さなクラブ以外ではね! ベストパーティーは決まってゴアのパーティーだったね。野外で,何日間も続くパーティー。だけど誰がプレイしてるのなんかは、ほとんど問題じゃなくて、それよりもいかにすばらしい環境の中で楽しめるかってとこだね。強いてクラブDJで選ぶとすればH-foundationのHalo Vargaは大好きだね!彼はとても優れたプロ デューサーだし、おそらく僕が今まで聞いたセットで最高のものだったんじゃないかな。 それはシェフとウェイターと同じような違いだよ。シェフは料理を裏方として準備し、ウェイターはそれをテーブルに運ぶ。最終的にはウェイターがすべてのチップを持っていってしまうけどね。基本的には僕は作詞家でありプロデューサーであるけど、僕を自分の作った音楽を直接クラウドに聞いてもらいたいと強く思っていて、そしてDJすることが僕にとってそれを実行できるたった一つの方法であると思っているんだ。僕は人を踊らせるためになんとかして自分のスタイルを変えたりはしないので、本当の意味での一般的なDJとは言えないと思う。だけど、人々を楽しませようとレコードを回す多くのDJを尊敬しているよ。それが「パーティーカルチャー」だから。逆に僕はバンドのような「ミュージックカルチャー」に自分の音楽を捧げてるんだ。ライブコンサートで、バンドとしてグルーブをつくり、お客さんをつなげていく。僕はそんなライブアーティストになりたいし,実際に僕の音楽はそういうものだと考えている。理想を言えば、僕はバランスをとることばかり気にすることなく、自分のサウンドをプレイすることをいつも考えているし,そうしたいんだ。 僕は直接的にクラウドに自分の音楽を伝えたいと強く思っているから、DJすることでぼくが満足感を得ているのは確かなんだ。以前ライブ演奏を試みたんだけど、とても複雑だったよ。つまりクオリティーの高い楽曲をかけるDJには実際及ばないと実感したってことなんだけど。だから僕にとっての最善の方法が自分の曲を自分でDJすることだった訳で,プラス自分の素晴らしいと思う楽曲を絡めながら,自由にミックスできる。さらに今はCDでミックスできるから自分なりのエデイットができ、そしてそれをすぐにプレイできるという意味では、これは僕にとって新しい世界だったんだ! 僕がテクニクスに初めて触ったのが1998年だから、7年くらいかな、そのうち6年間位はクラウドの前で定期的にDJはして いるよ。 達成感だね!!僕が思うにアーティストが自分の曲をクラウドの前でプレイできることって、この音楽という芸術においての最終目的なんじゃないかな。レコードを作り,リリースすることはただ単に満足感でしかないと思うけど,それを誰かの前で披露し、そしてそれをしっかり受け止めてくれる人がいたとき、何とも言えない幸福感と達成感でいっぱいになるんだ。認めてもらえたという心の感動があるんだ!ほかの誰かと感情を共有することって人間はには欠くことのできないことだと思うんだ。それは子供が母親に「ママ見て!花があるよ!」と言って、「あら、本当!きれいね!」と母親が共感するのと同じで、他人や仲間から自分と同じ意見や主張、感じたことを共有できたとき、何とも言えない安心感が得られるんじゃないかな。またそこで何かしらのコミュニティに属しているという感じがして、その感情こそが僕らの気分を向上させ、安心感につながるんじゃないのかな、そうでしょ?(笑) CDJやラップトップマシンの長所は、プレイ当日の午後に準備したスペシャルエディットをプレイできるというところさ。それはアナログの1デシベル、2デシベルという音のボリュームをあげるよりも僕にとっては遥かに重要なんだ。 スイスで多くの仲間と一緒にいる「Paradox」というクラブだね。そこは僕の二番目の家のようなものだからさ。あとは、イビザのパチャはなかなかよかったね!あそこは神話的な場所で、その象徴さゆえにただあそこにいるだけで幸せな気分なんだ。 基本的にはLogic,Wavesプラグイン、そしてほんとによく使 うのがAbleton Liveだね。あまりシンセプラグインは使わないんだ。僕はマウスを使うよりは自分の10本の指を使う感覚的なものの方が好きなんだ。だからNord Lead 3は代のお気に入りだよ! あまり気にしてないよ。僕もほかの人たちもジャンル分けする必要性は理解しているよ。それは考え方の近道であり、いろいろな曲のニュアンスを感じたり,聞いたりする事は個人的観点であると思う。 SASHAとJOHN DIGWEEDの"Northern Exposure"コンピレーションは僕にとってプログレッシブハウスの定義になった作品だね。彼らこそこのサウンドを定義したと言っても過言ではないね。そして今は細かくたくさんのジャンル分けがなされているよね。 僕はクラブシーンの進化というよりは各個人の進化だと思うよ。 2003年頃からこのプログレッシヴハウスという音楽にあまりおもしろさを感じなくなったんだ。それはあまりにもカテゴライズされすぎてしまったと感じて。実際2003年、2004年はほとんどDJはしていなかったよ。自分のアルバム制作に集中したかったのもあるけれど、DJする事に新鮮さやわくわく感をあまり感じなかったのもあるね。今は多くの新しいサウンドや方向性があり、それらをプレイする事にまたわくわく感を感じ始めてるよ! 僕は東ヨーロッパ(ルーマニア、ブルガリア)などでプレイする 事が好きだね。理由は人々が音楽的な経験が少ないこと。豊かな国では毎週のようにビッグアーティストのプレイを聞けるのに対してあまり音楽的に恵まれない国々では人々が遊びに出るときは,まさに「遊ぶぞ~!」みたいな感じはすごいよ!!もし僕が全力でプレイしなければ,彼らもつまらない思いをする。つまり彼等も全力で遊んでいるんだ。豊かな国の多くの人々が長年のクラビングで、ある程度の満足感を既に持っているのに比べるとパワーが違うよね。 これについてはまったく以前から考えた事がないね。ただ思うのはすべてが音楽,芸術になり得るし、それこそが流れであり,世界は常にこのように動いてるんじゃないかな。いろいろな要素が理由もなくともに激しくぶつかり合い,前進したり交代しながら,物事は明確な意図を持たずに大きなカオスの中でミックスされ、そして突然古いものが今まで見た事もないような新しいものになるんじゃないかと思うよ。 トランスが主流なんじゃないかな?2000年頃僕 はmooguwai pseudo名義で浜崎あゆみのトランスリミックスに 仕事をしたことがあるね。僕はこのCDのすべての感じがとてもパワフルなトランスだったのを覚えてるよ。 現在はクラブミュージックではないものを多く聞いてるね。例えば jean-michel jarre、depeche mode,、royksopp、 jamiroquaiなど。今のダンスシーンにおいてJames holden や trentmoller はとても才能があるプロデューサーであるのは一目瞭然だけど、あのスタイルがそんなに長くつずくとは思ってないから,これと言って惹かれないんだよ。僕は常に「今のクラブシーン」だけにとどまらない音楽を探しているんだ。 希望なんて特にないね ただ前進するのみ!僕が唯一期待しているのはただ単にビジネスのためだけでなく、しっかりとしたスタイルや 考えをもってこのシーンに携わってほしいという事だね。もちろんビジネスも重要だけど,それがすべてのものより先行するべきではないね。 みんなに会えることを楽しみにしているよ!あと、Osamu Mとプレイする事が楽しみなんだ!彼のDJは突き抜けた雰囲気をもっているしね!!最近彼がサトシフミと共作したOUTERSPASEをかけたときクラウドがものすごいパワーが一体化することが今から想像できるよ!それでは12/30にwombで会いましょう!!!!Enjoy life!!!