INTERVIEWS

Masayoshi Fujita & Jan Jelinek

Masayoshi Fujita:僕が2009年にClub Transmedialeに出演したとき、Janが見に来てくれたんですが、そのあと彼が一緒に何かをやろうと誘ってくれました。最初は、ライブに出演するという話があったんですが、スケジュールなどの関係で実現できず、「じゃあ何かをレコーディングしようか」という感じで2人でセッションをするようになりました。 Masayoshi Fujita:ベルリンでのAOKI takamasa君のライブを見に行ったときに初めて会いました。そのときは1ファンとして話しかけましたが、その後僕の音源に興味を持ってくれたということもあり、時々彼のスタジオに遊びに行くようになりました。 Jan Jelinek:僕らの演奏は基本的にインプロヴィゼーションなんだけど、お互いに近づいて、密な状態で演奏するんだ。レコーディングのときもそうしたんだけど、ヴィブラフォンに立てたマイクに、僕の立てる音(イスのきしみや機材の操作音など)も入ってしまうんだ。2人を隔離するか、ヴィブラフォンを取り直すという選択肢もあったんだけど、あえて環境音をあるがままの状態で受け入れ、そこに鳴っている音すべてが音楽/インプロヴィゼーションの要素というスタンスで録音・制作を続けたんだ。 Masayoshi Fujita:今回僕の版画をジャケットやブックレットに使ったんですが、それらのタイトルからそれぞれの言葉をとりました。
それらの版画自体は、僕がいつも持っているイメージを、音楽とは別の方法で表現しようとしています。タイトルも、それらのイメージからきています。 Jan Jelinek:とくに前もって決めた世界感というようなものはなかったね。
ただ僕ら2人が一緒に音を出してみて、出てきた結果を熟考し、今回の作品の方向性が導きだされたというのが実際のところかな。
そのなかで、空間自体が常にレコーディングの中に存在していることを意識したり、環境音や自分の出す雑音を音楽的な構成要素として注意深く意識したことは、今回の作品を特徴づける1つの要素といえるかもしれないね。 Jan Jelinek:とくにそういうことは意識していなかったね。 Jan Jelinek:そういう意識はないな。僕のすべての作品はそれぞれすべて違うものさ。"~scape"から出した作品もすべて違うものだし、それ以外の作品ももちろん違う。 Masayoshi Fujita:「El fog」では、ヴィブラフォンをメインに扱いつつも、ビートや電子音、エディットも多用して、ヒップホップ、ダブやそのほかのエレクトロニックミュージックの方法論を軸に制作しています。それとは別に、今後は「Masayoshi Fujita」名義で、ヴィブラフォンのアコースティックな演奏のみ、もしくはそれに重点を置いたプロジェクトも進めていく予定です。
今回の作品では、ループペダルを使用したり、編集に参加したりもしていますが、基本的には、アコースティックのヴィブラフォンという意識で参加しています。 Masayoshi Fujita:現在、Masayoshi Fujita名義でのヴィブラフォンのアコースティックソロアルバムを準備中です。またPan Am Scanというバンドにも参加していますが、そちらのアルバムも音源が完成したので、リリースについて話を進めているところです。

Jan Jelinek:このプロジェクトやGroup Showでもライブを重ねていく予定だね。あと、Faiticheのリリースもいくつか準備中だよ。 Masayoshi Fujita:2人でのライブは、今回が初めてになるので、非常に楽しみです。すでにライブに向けて2人でリハーサルを初めていますが、なかなか興味深いものになると思います。

Jan Jelinek:UNITでは以前演奏したことがあるけど、とてもすばらしい場所なのでとても楽しみだよ。2人の初めてのライブをUNITでできるのは、とても光栄なことだね。