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Hideo Kobayashi & Tomoki Tamura

Hideo Kobayashi:彼を知ったのは"Four:Twenty"からリリースされたシングル"3YEARS"を聴いたのが最初だと思います。Manuel Turのリミックスもよかったのですが、私はオリジナルの方がツボでしたね。それから"The END"のHPなどで姿を見かけたりはしていましたが、どうやって連絡を取り合ったかまで覚えていない……(笑)

Tomoki Tamura:初めてお会いしたのは、たしかベルリンの"Panorama Bar"でしたね。正直、最初はちょっと気むずかしそうな人だと思っていたのですが、時間が経つにつれてパーティー好きな兄貴だということに気づきました。その日は2人で昼過ぎまで"Panorama Bar"にいましたね。その後、ヒデオさんがロンドンに滞在中、ブリック・レーンにある僕のスタジオで「Brick House」という曲を共作して、という流れです。 Hideo Kobayashi:この曲は2009年の夏に、長野の私のスタジオで一緒に制作しました。あらかじめ"ちょっとファンキー、キックは柔らかめ、でもテッキー"というコンセプトだけ決めて進めていった感じですね。

Tomoki Tamura:あと2人が共通して思っていたことは世界中のDJ達が「プレイしたい」と感じるトラックを作るってことかな。工程はあまり覚えてないんですが、たしかベースラインからスタートしたと思います。聴いていただくとわかるようにベースでぐいぐい引っ張っていく楽曲なので、そこを大切に考えながら音を加えていきました。

Hideo Kobayashi:2人ともLogicを使っているので、プログラムを交代しながら、アイデアを出し合いながらの作業で。

Tomoki Tamura:おおまかな役割分担としては、僕がベース周りの音を中心に、ヒデオさんがシンセなどを担当、EFX、EQ、音質処理もお任せしたという感じですね。僕はかなりヒデオさんの技術に信頼を置いていますので。タイトルの「FFF」はスタジオの近くにものすごくきれいに蛍を見られる場所があって、そこから安易に「Fucking Fire Fly」と(笑)。 Tomoki Tamura:"Freerange"からリリースされたアルバムも音楽性が高く、すばらしい作品だったと思います。個人的にも大好きなアーティストですね。

Hideo Kobayashi:リミキサーに関しては、あまり口出しをしないようにしていました。レーベルとトモキから出てくる候補がとても楽しみだったので。出来にも満足していますし、この楽曲によってうまくバランスのとれたEPになったんじゃないかと。 Tomoki Tamura:今回のリミックスは最近のミニマルディープハウス系のトラックにボイスサンプルを使う、といったわかりやすい感じになりましたね。僕は基本的に根っからのハウスDJなので、あまりにシンプルなものやミニマルな感じのみの楽曲はあまり好きではないんです。この楽曲では自分の個性も主張することができたんじゃないかなと感じていますが。DJセットに関してはミニマルなものからディープなもの、テッキーなのからファンキーなのまで幅広くプレイしていますね。3、4時間のロングセットでは朝方に古いボーカルハウスもかけたくなるかな。 Hideo Kobayashi:ロンドンにどっぷりの、彼にしか出せないグルーヴ感じゃないでしょうか。共作では、お互いに日本を飛び出した人しか持っていない感覚を共有できるところが、おもしろいと思っています。 Tomoki Tamura:こちらに移住して7年になりますが、そのなかで感じることは「ロンドンはとにかく新しい音楽を発見するのが早い町」だということ。その一方で、音楽のクオリティーが低ければすぐに忘れられるというシビアな面もあります。パーティーシーンにも同じことがいえますね。この町にはDJ、プロモーター、プロデューサーで生活していく人が本当にたくさんいて、その分競争率も高いんです。でもそういった背景があってこそハイクオリティーなシーンが確立されているんじゃないかな。いまは世界でも認知されている日本の新たなアーティストもたくさんいるので、そういった人たちにはもっと世界に向けて発信していってほしいし、ダンスミュージックはポップミュージックよりも国境を越える可能性が高いと思うので。 Hideo Kobayashi:いまはTimo MassとJeff Milesにやられています。「THU」にはJerome SydenhamもしくはNagano Kitchenをフックアップしてもらいたいですね。

Tomoki Tamura:最近は新しくてすばらしいプロデューサーが多すぎて覚えきれないです……。そのなかでも年末、ロンドンで自分の主催イベント「HOLIC」のカウントダウンイベントを行うのですが、それに参加してもらうMAKAMは素晴らしいと思います。日本国内ではRyo MurakamiさんやYosaくんもかっこいいです。 Tomoki Tamura:ちょうどある雑誌の2010年ベストトラックを決めていたのですが、選考中に思ったのがミニマルハウス系のリリースが多いなか、なかなかすばらしいボーカルハウスも多かったということと、時代に関係なくMOODYMANNはすばらしすぎる曲をリリースし続けているってこと。それにThe Revenge、Wolf+Lambのようなディスコな音も人気でしたね。自分の予定としては先述した「HOLIC」が目前で、ラインナップもMountain People、Paul Woolford、MAKAMといい感じにまとまったんじゃないかと。その後は日本へ行って1月9日に東京はWOMB、1月15日に大阪TriangleでのDJが決まっています。そして1月あたりには新しいボーカルトラックが、ドイツの"Plastic City"からりリースされる予定ですね。

Hideo Kobayashi:2009年、2010年と続けてハウシーなアルバムをリリースできたので、やり遂げた感はあります。TRAKTORでのDJスタイルも確立することができました。これによって、少なからず国内に一石を投じ、シーンに影響を与えられているなら本望ですね。今後はよりテクノに寄りつつも、ハウス面も熟成させていきたいと思っています。アルバム「a Drama」は来年早々"I Records"からのワールドリリースも決まっていますし、海外ツアーも多くなりそうです。レジデントパーティー「SEASONS」も偶数月開催になるので、いよいよ楽しみといったところでしょうか。