INTERVIEWS

Waves

Nobuhiko'Ebizo'Tanuma(以下Ebizo):「バンドでなければできない音楽を創りたかった」というのがきっかけといえばきっかけかもしれません。ソロの制作もいつかはまたやりたいと思う時期がくるかもしれませんが、今はバンドサウンドをクリエイトすることが自分にとって一番興味のあることです。
「Waves」というバンド名はノルウェイのギタリスト、テリエ・リプダルのアルバムタイトルからインスパイアされています。Wavesのコアメンバーである私とKuniyukiさんの共通のフェイバリットアルバムでもあります。 Ebizo:Wavesというバンドで最初にライブをしたのは、アルバムのお披露目のときで、そのときはKuniyukiさんとのデュオセットだったのですが、Kuniyukiさんとはそれ以前にも一緒にライブをしていたので、また彼とこうやって音楽をやれるのがうれしかったですね。
Kuniyukiさんは一緒に音を出すとわかるのですが、それはそれはすばらしいミュージシャンですよ。もちろん、たとえ2人であっても、1人でやるのとは全然違います。Kuniyukiさんやほかのメンバーがいれば、私はベースを弾くだけでいいので!

Kuniyuki Takahashi(以下Kuniyuki):初めてのWavesのライブですが、Wavesは基本インプロ重視で音楽ができたらという考えが根底にあったので、とくに決めごともせずにEbizoさんが奏でるベースを聴きながら、感じ取った気持ちをプレイに落とし込んだ感じですね。Ebizoさんとは音楽を通じてたくさんの時間を共にしてきた友人でもあるので、とても楽しい気持ちになります。
音楽は誰かと演奏すると新しい発見がたくさんあるので、1人ではできないすばらしい世界があると思いますね。 Ebizo:アイデアは常にあります。道を歩いているときでもアイデアは浮かぶし、アイデアに困ったことは一度もありません。Wavesのバンド活動で曲作りが大変だと思うこともまったくないです。あえていえば、メンバーを同じ場所に集めるのが大変なことくらいですかね。

Kuniyuki:すみません……(笑)。僕は札幌在住なのでなかなか皆さんと会う機会も少ないし、みんなそれぞれのプロジェクトがあるので合わせるのが大変なのは事実ですね。Wavesでのアイデアは、みんなと共に音を出した瞬間に湧いてきます。
純粋なアイデアも大切ですが、同時に新しいチャレンジも生み出したいので、メンバーと一緒のときは常に集中ですね。 Ebizo:"Tabloid"のように、普段はクラブでないところでパーティーをするのが、パーティーの基本なような気がします。なので、そういう場所に呼んでいただいてうれしかったですね。クラブも好きなんですが、正直、あらかたのクラブは行き尽くしているので新鮮味を余り感じなくなってます……。「Rainbow Disco Club」は、最新でありながら古典的なスピリットに満ちた良いパーティーだと思います。

Kuniyuki:どのパーティーでも僕自身が大切なのは「エンジョイすること」です。すばらしい音楽とたくさんの人との出会いもあり、そういう場所だから誰もが予想しないおもしろさが味わえるのがパーティーだと思うんですよね。
昨年末の「Rainbow Disco Club」はカウントダウンのタイミングでもあったので、あの場所にいたみなさんと1年の終わりと始まりをお祝いして、本当にすばらしい瞬間でした。Wavesで参加できたことは本当に感謝ですね。 Ebizo:みどりんが入るとバンドの自由度が格段に増えます。自由度が増せば、それだけKuniyukiさんや私も表現の幅が増えますから。
Wavesは、この3人が揃ったトリオのスタイルがバンドの基本だと私は考えています。自分で云うのもなんですけど、この3人が揃ったときのWavesは、本当にいいですよ。

Kuniyuki:僕もEbizoさんと同じですね、本当に自由度も高いし、楽しみが増えます。
みどりんのドラムは本当にすばらしいと思います。リズムがぐいぐいと引っ張ってくれると、ベースもキーボードもノリが出るし。僕らの演奏するものはすべてリズムに関わるものなので、ドラムが入るとグルーヴ感がたまらなく気持ちいいですね。 Ebizo:とくにこれが理想だというのはなくて、Kuniyukiさんと2人でも、みどりんを加えた3人でもそれぞれが自分の信頼できるメンバーと音楽を創れるので、すべてが理想的です。
目標にしたいアーティスト……、というのもとくにないかな。目標は充分に達成されています。ライブをやっているときに気をつけていること、そうですね……Kuniyukiさんとみどりんの出す音を、自分がどれだけ感じられるかということかな。それによって演奏も変わるので。

Kuniyuki:理想は現在の形ですね。
とにかくインプロで、もっともっとメンバーと会話をしてみたいです。感じ合えば自然と何か楽しくなりますし、シンクロするのがたまらなく気持ちいいです。 Ebizo: Wavesのようにインプロで曲を組み立てて行くという意味では、マイルス・ディビスやウエザーリポートに影響されている部分もありますが、それはあくまで方法論です。自分の音楽スタイルに影響を与えてくれたミュージシャンは多過ぎて、もはやわかりません。そのわからなくなるまで影響を受け続けたことで、今の自分の音楽があるんじゃないかと思いますね。どんな音楽でも自分がいいなと思った瞬間に、その音楽は自分の心に届いています。

Kuniyuki:Wavesでの関わり合いでは、やはり最初にEbizoさんもおっしゃっていた、テリエ・リプダルもそうですが、ECMからリリースされているアーティストからは多大な影響を受けていますね。当然、他の音楽にも影響を受けてますが、たくさんありすぎて……むずかしいですね。僕にとって、音楽の出会いは、人と出会うことと似ていて、自分がその音楽と出会ったからこそ成長できたり知らないことに触れられるんです。
音楽と共感して、そして思いを委ねて、いつしか自分が何かを伝えたくなり楽器を手に持つ、自分が作った音楽がさらに人との出会いを作るなんて、すばらしいことだと本当に思うんです。 Ebizo:何だったかなぁ……。覚えてないです。初めて買ったのは、童謡とかそういうものだったような気がしますね。
そうでなければ、加藤和彦さんのフォーククルセイダーズ「帰って来たよっぱらい」かも……。あれは子供心に衝撃的でしたね。

Kuniyuki:ノーランズ「セクシーミュージック」ですね。小学生のころで、なぜか音楽が流れててアルバムを買ったのが最初です。ノリがよくて好きでしたし、きっと、ジャケットのお姉さんも可愛いと思ったのかもしれません……。マセた子供ですね。 Ebizo:「デジタルかアナログか」という論争に加担するつもりはまったくなくて、単なる手段の1つだと思っています。ただ非常に便利なったぶん、失ったものも多いのも事実です。
Wavesはその失った部分を取り返すためにやっているような気もしますね。私自身はmp3のダウンロードで曲を買ったことは一度もないですし、多分これからもないと思います。いい音楽は音楽だけでなく、アートワークやクレジットといったドキュメントの部分も私にとっては重要です。Wavesはそういうことにも創造性を発揮していきたいですし、自分のスタンスは変わらないでしょうね。

Kuniyuki:世の中の流れはどの流れにも意味があると感じています。アナログレコードからテープ、デジタルメディア、データ(mp3等)などの流れも、あっという間に進んで、数々の問題もありますが、将来の形を見いだす問い掛けが必要だと感じます。
僕はいつも思うのですが、音楽の流通が多様化される中で、最終的に聴いた音楽がどこに残るのかということを考えます。僕にとって音楽とは、人の心に残るもので物質ではないという考えがあるので、デジタルにしてもアナログにしても自分のライフスタイルに合うもので感じた音楽が心に刻まれると思います。個人的にはアナログのレコードを大事にターンテーブルにのせて針をおとし、アンプのボリュームを上げて、スピーカーの前でアルバムを聴くという行為すべてが、音楽を聴く心の準備となっていて、またジャケットの眺めながら音楽を聴くのは、個人的にはとても良い時間の過ごし方だと思います。
当然デジタルに関しても、プレイヤーを片手に持ち歩き、自分がその場所で聴きたい曲を聴くという素敵な時間もありますし……。音楽を聴く形はどうであれ、音楽とデジタルの関係はまだまだ成長過程だと思います。 Ebizo:Wavesの一番よいところは「誰にも真似できないオリジナリティを持っていること」です。それは優れたメンバーの音楽性を、ちゃんとしたスタジオで空気感を含めて記録してあるからです。シーケンサーでプログラムされて、誰でも似たような曲ができるような現在では、こういうバンドサウンドは貴重だし、スタジオワークやミックス、マスタリングに至るまでメンバーだけで成立させることができます。「Encounter」は私とKuniyukiさん、みどりん、Ian O'brien、ギターで参加してくれたYT氏の一瞬の音の邂逅を、おそらく日本屈指のレコーディングスタジオである、"札幌の芸森スタジオ"で丁寧にレコーディングしました。昔はこういう手法で音楽が創られるのは普通のことだったのですが、現在ではなかなか簡単なことではありません。これを実現できたのは、レーベルスタッフや仲間の強い熱意があればこそです。

Kuniyuki:僕が感じるWavesの魅力は、それぞれのプレーヤー自身の心から奏でる「音」ですね。共に音楽を作るハートの形は多種多様だと思いますし、また僕らでもわからないWavesの魅力も、きっとこの音楽に刻まれてるのではと思います。すべては音楽の中に答えがあると思います。 Ebizo:Wavesとして、新しいプロジェクトをスタートさせることやリリースの予定はまだ立ててないのですが、ライブは可能な限りやっていきたいと思っています。
未発表曲もまだあるし、いいライブテイクもあるので、そういうものを集めた盤を作りたいなとも思っていますが、やはりライブかな。いいライブをやってWavesのサウンドをもっと多くの人に知ってもらえるように、活動していきたいですね。 Ebizo:バンドの活動は、前の質問で答えてしまいましたが、ライブを中心に。
自分自身としては、Kuniyukiさんやみどりんのサウンドを触発するような低音の研究を進めます!最近のベースのテクノロジーは本当にすごいことになっているので、これに関して話しだすと長くなるのでやめておきます。

Kuniyuki:Wavesでは、やはりライブでの発見と共に感じ合い、進んで行きたいですね。
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