INTERVIEWS

Dexter Story

- まずはリリースおめでとうございます。アルバムが発売されて、いまはどんな気持ちですか?

 ありがとう。これで満足してしまった、ということはないけれど、『Sessions』が世に出て、僕の音楽を多くの人に聴いてもらえるようになったというのは、とてもいいことだと思う。この作品のことをとても誇りに思っているので、それが皆さんの心にきちんと届いてくれたら、それほど嬉しいことはないね。
 
- 「DEXTER」というのは、あのジャズマンのデクスター・ゴードンにちなんで、お父さんがつけてくれた名前だとか。あなたの音楽キャリアにおいて、お父さんからの影響というのは、大きいものがあるのでしょうか。お父さんが昔聴いていた音楽を、覚えていたりしますか?

 そうだね。父親の存在は、自分の音楽的な成長にとって、とても重要だったと思うよ。幼少期、僕は音楽ではなくて、芸術の勉強をしていたんだ。水彩画や油絵、スケッチなんかを学んでいた。絵を描いたり、デッサンをしたりしているあいだに、父親がかけていたレコードが、自然と耳に入ってきた。父は、カウント・ベイシーとかビリー・エクスタインとかやデューク・エリントンとか、ビッグ・バンドやスイングが好きだったね。その当時の音楽の思い出といえば、父親に言われて、ランバート・ヘンドリックス&ロスとかエディ・ジェファーソンとか、あとはナット・キング・コールなんかの曲の歌詞を、一生懸命覚えようと頑張っていたことかな。
 
- カルロス・ニーニョとの出会いやライフ・フォース・トリオについて教えてください。ライフ・フォース・トリオとして現在でも活動は続けているのでしょうか。また、他にも継続中のプロジェクトがあったりしますか?

 
 最初は90年代だったね。僕はそのころドゥワイト・トリブルのバックで演奏していた。ニーニョは当時ダブラブでDJをしたり、楽曲制作を行ったり、ショウのブッキングを手掛けたりしていて、近いところで活動していたんだ。でも本格的に交流を深めるようになるのは、2004年の後半に僕がロサンゼルスに戻ってきてからかな。その前、2001年からしばらく、僕はニューヨークで暮らしていたんだ。ロスに戻ってきて、あるとき、ニーニョがビルド・アン・アークに誘ってくれて、ツアーに参加したり、セカンドのレコーディングにも加わったりした。その時とてもいい感触を持ったので、引き続いて、彼と一緒に、ライフ・フォース・トリオを、やることになった。それで、最初に、ドゥワイト・トリブル&ザ・ライフ・フォース・トリオとして、アルバムを作った。ライフ・フォース・トリオとしての活動は今でも続けていて、他に、それとは別に、ギャビー・ヘルナンデスの新作に取り組んだり、彼女とのデュエットのアルバムも、作ったりしているね。

 それ以外にも、いろいろと地元のグループで演奏したり、プロデュースを手伝ったりしている。その中でも気に入っているのが、エチオ・カリ・アンサンブルというグループ。これはトランペッターでアレンジャーのトッド・M・シンプソンがリーダーのグループなんだけど、その名のとおり、東アフリカの音楽や文化に焦点を当てているんだ。他にも、良き友人であるマーク・ド・クライヴロウとの演奏も、いい感じだね。
 
- 『Seasons』の制作は、いつごろスタートしたのでしょうか。

 2010年に、『トップ・ドッグ/アンダードッグ』で知られる劇作家のスーザン・ロリ・パークスについての記事を読んだ。そこで、彼女が2002年に取り組んだ、『A Different Play, A Different Day』というプロジェクトのことを知ったんだ。これは、1日にひとつ、脚本を1年間に渡って書き続けるという壮大な企画だったんだけど、これはいいなと思ってね。音楽でこれをやったら、どうなるのかな、と。それで、2010年から2011年にかけて、1日1曲、コツコツと作曲に取り組んだんだ。そうして出来上がった曲をカルロスが聞いてくれて、13曲をセレクトして、1枚のアルバム作品に仕立て上げてくれたというわけなんだ。
 
- アルバムに特定のテーマやコンセプトはありますか?

 『シーズンズ』を貫く1つのテーマが、自然界に存在するエレメント、元素といったものだった。音楽には、大いなる水や火の力、母なる自然がもたらすエネルギーといったものが、内在していると思っているんだ。アルバム全体では、表向きは愛について歌っているんだけど、最終的に、深いところでは、全ては大地や地球と人間との繋がり、というところに行きつくと思う。例えば、「Gyre Song」は海洋汚染の問題に触発されて、できた曲だ。「Water Bearer」というのは、水がめ座のこと。占星術の奥深さを歌った曲になっている。「Suijin」は日本の神道の「水神」からきている。
- 例えば冒頭の「Underwater (Love is…)」とか、ボーカル曲は、どんなことを歌っているのでしょうか?リリックは全部ご自身で書かれたのですか?

 すべての歌詞は僕が自分で書いた。「Underwater」のリリックのトピックは、人類が、いかにして愛と平和の旅に向けて歩みを進めはじめたか、ということを歌っている。それは、我々を地上の楽園へと誘う旅だ。ときには、文字通りの楽園であるかもしれないし、またあるときは、喩えの上であるかもしれない。いずれにしても、愛という人類の最終目的地に向けて、歩みはすでに始まっている。そしてそれは、ただ単に、他の人を愛するというだけでなく、人類のおかれた状況を改善していくための、自分自身への眼差しを含むものだと思っている。

  - ゲストの人選はどのように進めたのでしょうか。カルロス・ニーニョやギャビー・ヘルナンデス、ミゲル・アットウッド・ファーガソン、ドゥワイト・トリブルにマーク・ド・クライヴロウなど、日本でもおなじみのミュージシャンも見受けられますが、他には、どのような方々が参加していますか。

 ロサンゼルスの音楽コミュニティーやローカルなミュージシャンの縮図のようなゲストの人選になっていると思う。幸運にもロサンゼルスで活動していて、周囲にも素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、自然の成り行きで、このようなかたちになった感じだね。ニーニョやギャビー以外だと、Derf ReklawやJimetta Rose、Erik Rico、Alan Lightnerやi_Cedなんかが参加してくれたけど、僕が彼らのレコーディングに参加していたり、ゲストで演奏したことがあったり、という、みんな何らかのかたちで繋がっているアーティストばかりだよ。
 
- デクスター・ストーリーとしてのステージはどのようなかたちなんですか?

ライヴでは、レコーディングに参加してくれたミュージシャンやそのほかのメンバーを集めて、バンドセットでパフォーマンスしている。ステージは楽しいし、気分も上がるよね。コーラスやボーカルでJimetta RoseやFanny Fraklinがサポートしてくれることもあって助かっているよ。
 
- ここ数年、ロサンゼルスの音楽シーンからは、ジャンルを問わず素晴らしいアーティストたちが次々と出てきているような印象がありますが、そういった他のアーティストから触発されるようなことはあったりしますか?

 同郷のミュージシャンたちからは、常に触発されているし、影響も受けていると思う。今のロサンゼルスは、本当にいいヴァイブスを維持しながら、シーン全体が、成長してきていると思うんだ。僕らがやっていることを、メディアやクラブも、きちんとサポートしてくれているし、要因は、いろいろとあって、一言では言い表せないけど、とにかく、うまく噛み合っていると思うよ。素晴らしいことだよね。
- お忙しい中、いろいろと話してくれてありがとうございました。最後に、日本のファンにむけてメッセージをお願いします。

日本で初めてギグをしたのは2010年のことだった。ターン・オン・ザ・サンライトとしてカルロス・ニーニョ、ジェシー・ピーターソンと一緒にパフォーマンスしたんだけど、いまでも、とてもいい思い出だ。Disques Cordeのマサとハシムがツアーを企画してくれたんだ。本当に感謝しているよ。日本のオーディエンスは、音楽のことをとても大切にしているという印象がある。ディープなものであっても、それがいいものでありさえすれば、きちんとリアクションしてくれる。前回の来日では、神戸、大阪、京都、札幌と東京を廻ったけど、どこの町でも、そうだった。音楽に対する愛を感じたよ。是非また、この新しいシーズンズのセットで、日本でステージに立てることを願っているよ。あと日本のDJやミュージシャンのことをもっと知りたいな。サポートどうもありがとう。
- Information -

アーティスト:Dexter Story
タイトル:Seasons
レーベル:KINDRED SPIRITS / BBQ Music & Distribution
フォーマット:CD
価格:¥2,500-
発売日:2月23日


●トラックリスト
01. UNDERWAY (LOVE IS)
02. SUIJIN (INTERLUDE)
03. INTO THE HOUR
04. BLOOD DRIP
05. GOD SON
06. AS IN
07. GYRE SONG
08. PADDLE BOAT (INTERLUDE)
09. WATER BEARER
10. UNDERNEATH IT ALL
11. LOVE FORCE TRIO PT.1
12. SEASONS (MAKE THE MOST)
13. SPRING
14. UNDERWAY (REPRISE) FT. JIMETTA ROSE

■詳細ページ
http://www.clubberia.com/music/releases/4232-Seasons/


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