INTERVIEWS
< >

DJ Nobu

- 今作『DREAM INTO DREAM』を聞いて、いい意味で心臓に悪いミックスCDだと思いました。4つ打ちの割合も少なかったことや、普段あまり耳にしない音、それは、時代を感じるビーンテージな音だったり、アート的な前衛的な音だったり、言葉にするとたくさんの音楽が同居していました。おもしろかった反面、狂気さも感じ、最後まで動悸が止まりませんでした。今回は、フロアライクなミックスCDではないですが、ご自身の中で今作は、どういった作品にされようとしたのですか?

  フロアライクなものって結局Soundcloudでタダで聞けちゃうし、僕の考えでは今このタイミングでやってもおもしろくないと思ったんですよね。 俺がもし、お金を出すとしたらって考えて、1つの作品として映画を1本みるような体験ができるものにしようと思いました。 今、昔の電子音楽が再評価されていたり、世界中でエレクトロニックミュージックのおもしろいものがたくさん出てきているけど、日本だとまだ一部の人しかそこに気づいていない、楽しめていないっていうのもあったんです。 最近のハウス・テクノ系のDJミックスって4つ打ちのフォーマットを使って同じような表現しかしていないものが多いと感じていたんですよ。 だから俺は、変わったこともできるぞって。自分の表現の限界に挑戦したかったんです。 どうせなら人と違うことをやりたいじゃないっすか、やっぱり。
 
- 1枚で26曲と普段よりかなり多くのトラックを使用され、1分でミックスするものもあれば8分聴かせるものもある。それに比較的ミックスの間隔も2分~3分と短いですよね。それでCDの容量をいっぱい使っているなど、そういった構成にされた理由はありますか?

 俺が使おうかなって音源を集めて組み立てているうちに自然とこういう流れになった感じです。 あと意識的に聴きやすくしましたね。 普通の人が聞いたら、ぜんぜん意味わからんってなる、聞きにくい音源もけっこう使ってると思うから。 それを砕いて分かりやすくしたらこうなった感じかな。 使いたい曲も、もっとあったけど飽きさせずに聞いてもらうことを考えながら、できるだけたくさんの音楽を紹介したかったんです。
 
- 制作ツールは?

 abletonですね。 曲は、俺の持ってるものの中からピックして、レーベルにライセンスを取ってもらって。
- メジャーレーベル最王手のavexからのリリースですが、アンダーグラウンドのイメージがあるNOBUさんがavexからリリースされることに、驚かれる人が多いのではないですか?

 以前に、作品をavexから出してますよ。 楽曲に参加したり、リミックスだったり。 初めての仕事じゃなかったし、アンダーグラウンドな音楽に理解のある人もちゃんといるんで。

 ちょうど同じくらいのタイミングで 、他のレーベルからもミックスを出さないかオファーがあったんですよ。 出す趣旨だったり、この作品は、俺の好きなようにやっていいっていっていうのがあってavexからのリリースになりました。 もう少し万人受けするように作った方が売れたりはするんだろうけど、でもそれを今やって、わざわざお金を払わせることに、どうなの?って思うじゃないですか。 そのぶん人よりユニークなものが作れたんじゃないかな。 今は、能動的におもしろい音楽に興味を持ってくれる人って少なくなったんじゃないかな。 90年代賛美じゃないけど、90年代っておかしいことやったら「それ、おもしろい」ってどこかで反応があったものが、今は意味が分からないで終わっちゃうことが多い。でも、こういう音楽を広めたいじゃないですか? だからこの作品は、いい方向に転ぶかなって思ってます。
 
- 前作ONと全く違うようで、上音の要素は共通点があるんじゃないかと思ったりもしました。それは上音のセレクトなのかなと思ったりもしました。ご自身では前作と比べて共通点、相違点それぞれいかがですか?

 やっぱり、DJをやる時にレイヤーを重ねていくっていうのは、すごい意識しているんですよ。 それは、自然と出るというか。 レイヤーをうまく作るDJって聴いてて気持ちいいんですよ。 それはもう、俺の中に染み付いちゃってるのかもしれませんね。
 
- 今回NOBUさんの他に、MOODMANさん、SHHHHHさんがそれぞれCrustal Movementの冠のもと、ミックスCDを作り同時発売となるのですが、他のお二人の作品は聞かれました?

 聴きましたよ。 特にMOODMAN(のミックス)にはびっくりしたんすよ。こういった解釈でここまでポップに今出てるものを料理できるのって、この人、相当手練だなって。 金子ちゃんは、メジャーから出すっていうのを意識してだと思うんだけど、いつもよりもタイトルにあるパラドックスな部分を控えめにして聴きやすく楽しめるものにしたのかなと思いましたね。

 俺を含めて3人とも癖のあるDJじゃないですか。その色が3枚とも、うまく出てておもしろいなと思いましたね。日本だからできるんだろうな。海外でこういう解釈する人っていないんじゃないですか、こんなミックス作る人って。
 
- 最近海外は行かれてましたか?

 オーストラリアに行って、今度は台湾ですね。ヨーロッパは最近行ってないですね。 今年行けたら行きたいなって思ってるんですけどね。 何回か声もかけてもらってるんですけど、タイミングが合わなかったり、条件が合わなかったりで。 そんな無理して行ってもなっていうのがあるんで。
 
- ご自身のレーベル"Bitta"のレーベルメイトであるIORIさんの楽曲を使用されていますが。IORIさんは、BITTAの第1弾アルバムに起用されてもいますね。IORIさんと知り合ったきっかけなど教えてください。

 知り合ったきっかけは、2010年に初めてドイツ行く時に、Myspaceで泣かせるメールをくれたんですよ。 それで、この人ってなんなんだって思って。 曲とか聴いたらカッコイイし。 それで沖縄行った時に二人会をしてウマが合ったというか。 彼もストイックだし、ブレないし。 俺自身がIORIの曲は好きだし、クオリティーも高いし、日々成長していっているのが分かるし。
 
- ちなみにどんなことが書かれてたんですか?

あんまり外に言うものでもないと思うので、それは、元気の出る、やる気の出る内容だったってことで(笑)
 
- レーベル"BITTA"を始動させた目的というのは?

 自分でやりたいし、今やらなかったらタイミング的にも遅くなってしまうと思いました。自分で曲を作ってても楽しいし。
 
- 制作のツールは何を使用されていますか?

 おおざっぱに言うと、Machine DrumとMono Machine、Ableton、Reasonを使い分けてます。
 
- 今後予定されているリリースやアーティストは?

 やっと、このミックスが終わったんでこれからって感じですね(笑)。 あと海外のレーベルからオファーもあってオリジナルのトラックを作ってるところですよ。
 
- ちなみにどこから?

 まだ言えないっすね(笑)。 一度ボツにされてるしがんばります(笑)。
 
- 2010年は、ベルグハインへの出演、セカンドミックスCD『ON』のリリースと、NOBUさんにとってアーティストとしての転機だったと思います。もちろん、それまでの積み重ねが実っての実績や評価だと思いますが、それまでに、挫折や音楽活動に関して疑問を持ったことはありましたか?

 挫折っていうのは無いですね。 挫折っていうか興味が無くなりかけてた時期はずいぶん前にあったな、、、でもずっと音楽は聞いてたな。 気付いたら巻き込まれて楽しくなってきたというか。
 
- 音楽で飯を食べていけるようになったのはどれくらいですか?

 6年くらい前からですかね。 気付いたら毎週末ブッキングが入っていて、これなら生活できてるってなったんですよね。
 
- DJ自体を始めたのは、いつごろなんですかね。

 DJ自体は、20代の終わり頃からやってましたけど、DJって呼べるものになったのは、最近かと思います。 若い頃は、遊んでいる方が楽しかったし。
 
- Ron Hardyに影響を受けたという記事を読んだんですけど、どういったところに影響を受けられたんですか?

世界観とかが好きなのかな、あと狂い方とか。 いないじゃないですか、ああいう、マジかっ?てなっちゃうやつって(笑)。 なんだろう、やっぱりエディットとかにしてもおもしろいし。 だから変態性で考えたらRon Hardyかなと。 初めて狂ったことをやり始めた人というか、エディットもおもしろいじゃないですか。 俺にとってシカゴハウスの自由さ、暴力性を魅せてくれた人です。
 
- パーティーを主催しているオーガナイザーは、俺のパーティーを最高のパーティーだと思って作ると思いますが、NOBUさんが主催されている「FUTURE TERROR」は、体験者の話を聞くと、群を抜いてるように思います。私のある友人は、9周年に遊びに行ってパーティーの見方が変わったと言っています。そこまで言わせることってなかなかできないと思うのですが、「FUTURE TERROR」には、他のパーティーにない何があるのでしょうか?

 「FUTURE TERROR」は、選択肢がたくさんある中で、ある意味パーティーの正しい姿の1つなんじゃないですか。 ゲストやディスカウントゲストは、ほとんど取らずに500人くらいの人が遊びに来てくれる。 しかも、終わるまでみんな踊ってくれる。 1年半ぶりにやってみて「パーティーってこうだよな」って思い出したんですよね。 あの空間は、すごいピュアなものだと思います。 みんな純粋に踊りが目的で来ている。 だから、そこに対してお客さんの集中力がすごいんですよ。

 もちろん、来てなんとも思わない人もいるだろうし、そこで影響を受ける人もいる。 でもあれは見せないとなんとも言えない場。 最近のパーティーとかに多いけど、今の現場って1人のDJが1時間とかでタイムテーブルが組まれたりするのが多くて、現場にもよるけど、俺にとってそれは、物足りなく感じる時があるんですよ。 DJの実力ってロングセットありきだと思うんですよね。 現場で1時間で表現できるものってほとんど瞬発力だけじゃないですか。 「FUTURE TERROR」には、ロングセットできっちり世界を作れる人と、それを理解してくれるお客さんと、そのバランスが取れる情況があると思います。そういうのが最近の現場には無くなって来てるかなって思うな、価値観の違いもあると思うけど。 それの原因が何かは分からないけど、世の中の流れだったりするのか。 そういうのもあって「FUTURE TERROR」みたいなパーティーが珍しい存在になってきてしまっているのかなって思いますよね。
 
- 出演者を多くして、1人あたりの集客を増やすってことは、興行としてはありだと思うのですが、「FUTURE TERROR」も、始めた当初は、興行として成り立たせるために何かをやっていたのですか?それとも今と変わらないのですか?

 今と変わってないですね。 普通にお客さん来てたから。 赤字になった時はあるけど、ギャラの高い外タレを呼んだ時だけだからほとんどないよ。
 
- それは、時代が違ったって言えば済むことなのでしょうか?   

なんなんすかね。 なんか軽いものが多すぎる気がするんですよ。 その方が楽でいいんでしょうけど。
- 「FUTURE TERROR」が有名になることへの、寂しさのようなものはあったりしますか?好きだったインディーバンドが、どんどん有名になる時みたいな。

お客さんはあるかもしれないけど、俺はないですよ。 昔と全然変わらない! でも、歳や好みも変わって、来なくなる人もいるだろうけどね。 俺も40前になって、「FUTURE TERROR」の遊び方に関しては、キツイっすもん(笑)。
 
- 「FUTURE TERROR」のレジデントであるKURUSUさんとHARUKAさんに関して教えてください。

音楽性として2人とも個性があるし、東京で活動してるDJにはなかなかいないタイプですよね。 自分と2人を並べた時に、音楽的におもしろくなるんですよね。 KURUSUもやっぱりすごいなって思いますよ。 よそ行きのDJだと変におもしろくなくなっちゃうんですよ。 そういう意識がある時は、ほんとにおもしろくないんですよ(笑)。 でも何も気にせずにやっていると、ああいうテクノをプレイする人って世界的に見てもいないと思う。 HARUKAに関しても、やっぱりカッコイイですよね。 だから自然と一緒にやるようになったんですよね。
    
 この間の「FUTURE TERROR」は、日本人だけでやったんですけど、今の時代だからこそやる意味はあると思うかな。 「誰々が来たから、じゃあ行く」って、今はなってるのが多いと思うし、それだけだとおもしろくないしね。
 
- 今後のNOBUさんのビジョンだったり、予定は?

まぁ~、今をキープするだけで精一杯だからな~。。。 今を精一杯やってくだけじゃないですか? 俺はDJとして、まだ新人のつもりなんですよ。 だから、自分でできることや可能性はたくさんあると思います。 でもそれって意識するもんじゃなくて、勝手に自分が音楽とかパーティーのことで悩んだ時に自然と出てきてくるものだと思う。 それから、その努力により自然と成長してアップデートされるものだと思うんですよ。 だからそういうことってあんまり意識してないですね。 日々何かしらの課題じゃないですけど、こういうブッキングが入ったから、じゃあ俺はこういうことをしたい、とかってテーマが出てきてそれに真剣に取り組む。 それにより、いろんな発想が出てくるから。 制作面だと曲のクオリティーは上げたいとは常々思ってますよ。
 

 
- NOBUさんに影響をうけてDJを始めた若い人たちにアドバイスをするとしたらなんて言いますか?

 例えば、古臭い考え方かもしれないんですけど、初心者の方にはグルーヴを理解したいんだったらまず最初はレコードでやることを薦めたいです。 レコードとデータの善し悪しの話じゃないんですけどね、難しいな~(笑)。

 でも、俺は365日をDJの事で悩んでるんですよ。 絶対それは消えないんです。 365日悩めないんじゃダメじゃないかな。 こないだMOODMANも同じことを言ってたんですけど、やっぱりそうだよなって思うし。 答えって無いんですよDJって。 これやったら正解って絶対無いし。 だから飽きないで続けられるっていうのもある。 新しいツールや手法も出てくるじゃないですか。 速度はゆっくりかもしれないけど、日々変わっていってるわけだから。 そうなると、その都度自分も悩むわけじゃないですか。 だから、そこまで悩んで取り組めないんだったらDJには向いてないと思うんですよね。
 
- Information -

アーティスト:DJ NOBU
タイトル:Crustal Movement Volume 01 . Dream Into Dream
レーベル:tearbridge
フォーマット:ミックスCD
価格:2,940円(税込)
発売日:03月27日

●トラックリスト
1. Suzanne Ciani “Eleventh Voice: Sound Of An Old Man Loving” (Dead-CertHome Entertainment)
2. Tod Dockstader “Floating Up” (Cavendish Music)
3. Anworth Kirk “Catholics Guild” (Pre-Cert Home Entertainment)
4. Roly Porter “Arrakis” (Subtext)
5. Shelley Parker & Paul Purgas “Preternatural” (We Can Elude Control)
6. Yves De Mey “Past To A Halt “ (Sandwell District)
7. ADMX-71 “South 4st Connection” (Sonic Groove Experiments)
8. Cassegrain “Skin - original mix” (Prologue)
9. Acronym “Eukariota” (Dimensional Exploration)
10. Rrose “Cavity” (Eaux)
11. Silent Servant “Invocations Of Lust - Extended Mix" (Hospital Productions)
12. IORI “Froating Matter” (Semantica)
13. Shed “My R Class - original" (Ostgut Ton)
14. Mika Vainio, Kevin Drumm, Axel Dorner, Lucio Capece “Venexia” (PAN)
15. Bernard Gagnon “Gwendoline Descendue!” (Tenzier)
16. Francis Dhomont “Le Flux Des Sons” (Beniffer Editions)
17. Mist “A.M.” (Amethist Sunset)
18. Bee Mask “Vaporware” (Room40)
19. Jahiliyya Fields “Air On Earth” (L.I.E.S.)
20. Transilvanian Galaxi “Sequence 2” (Acido Records)
21. Klaus “Neph” (Tanum)
22. Professor Genius “Alamut” (L.I.E.S.)
23. Ssaliva “Ivory Tower” (Meakusma)
24. Svreca : Skirt “Hymen” (Semantica)
25. Metasplice “Thermite Jack” (Morphine Records)
26. Kangding Ray “Mirrors" (Raster Noton)

■Release Page
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4240