INTERVIEWS
>

Wonder World

 
- レコード会社やマネージメントや音楽出版社に縛られることなく、自分の出したい音を形にして、人種や言葉も越えて、それぞれが自由な楽しみ方をしてほしい。 -

 

- まずはインパクトの強いトレードマークであるアノニマス仮面を被るようになったきっかけを教えてください。

ジャニーさんに顔出しNGを出されてるからね(笑)。


- !?!? え、、、、っと。。。??

冗談、冗談。自分の作品は、変な先入観なんて持たずに純粋に音だけを楽しんでほしいから、「アノニマス」=「匿名の」って意味を持つあの仮面を着けました。
「自由」であるために、世界公用語である言葉のない「インスト」の音楽をやってるんだから、顔やファッションも含めたトータルイメージを打ち出すのって変でしょ? 作者なんてどんな奴でもいい、タイトルに込めた思いと違うことを連想したっていい、本当はアー写なんてなくたっていいと思ってるよ。でもレーベルの担当がうるさかったからね(笑)。それと、アノニマスの情報の自由に対して戦う姿勢にも共感してるよ。音楽はもっと自由になるべきだし。
- Wonder Worldさんにとって。「音楽の自由」とはどのようなものなのでしょうか?

言葉のとおりの「自由」だよ。レコード会社やマネージメントや音楽出版社に縛られることなく、自分の出したい音を形にして、人種や言葉も越えて、それぞれが自由な楽しみ方をしてほしい。その昔、Global Communicationが「76:14」をリリースした時のインタビューで「各曲のタイトルを楽曲分数にしたのは、なんの先入観も持たず、リスナーそれぞれが自由にインスピレーションを得てほしい」みたいなことを言っててさ。さっきも言ったけど、それが音楽の自由な形だと思うんだ。自分の作品を著作権登録もしてないのも、CDの中に書いてあるリンクから全曲のリミックスパーツがダウンロードできるのもその一環。まぁ、かといって「free」=無料を推奨してるわけじゃないよ。あくまでも「freedom」=自由ね。いいと思った音楽を楽しむ対価としては、しっかりお金を払ってほしいし。俺も今でもすげぇ!と思った作品はしっかりお金を払ってCD買って、チケット買ってライブに行ってるしね。
- なるほど。ちなみに、今回のミュージックビデオやアーティスト写真では、一部素顔を出していますが、今後は素顔を出していくんですか?

イベントでは出番まで仮面被ってないし、DJ中もすぐに息苦しくなってはずしちゃうからね(笑)。さっき言ったように、作品周りでは「アノニマス」=「匿名」でいつづけたいから、仮面は被ってくと思うよ。アノニマスに怒られない限り(笑)。あ~怒られるとしたら「Vフォー・ヴェンデッタ」の監督からかな?

 
- あの仮面、もともとは映画で使われてたものなんですよね?

そうそう。だけど、大元は1600年代にイギリスであった火薬陰謀事件の実行犯のガイ・フォークスの顔が元になってるみたいだけどね。この人の経歴は面白くて、エリアによっては国王を暗殺しようとした罪人、違うエリアでは自由を求めて戦った英雄って扱いなんだって。

 
 
- 原始的に音にのめり込んで、人間本来の欲望から生まれてくるミニマリズムには、無限の可能性を感じる。-
 

- ではそろそろニューアルバム『I'd Love to Turn You On』のお話を聞かせてください。ピアノ&ストリングスとエレクトロニックミュージックを煌びやかに融合させた本作により、Wonder Worldのアーティスト像が明確見えてきた作品に仕上がっていると感じました。今回はアルバムのテーマなどを決めて制作されたのですか?

テーマを決めて作ったりはしないんだ。頭に浮かんだメロディを形にして、骨組みを作っていく感じ。もちろん形なるにつれ、自分なりのイメージが沸いて、いろいろなものからインスピレーションを受けるようになってはいくけど。よし!「愛」をテーマにした曲を作ろう!みたいなのはないね。
「1stよりもアーティスト像が明確見えてきた」ってのは、純粋の今回はアルバムを作る、って決めて曲作りをしてたからじゃないかな。前作は、アルバムにするつもりなんてなかった楽曲たちを半ば無理やりアルバムってフォーマットに落とし込んだものだから。

 
- では、アルバムタイトルにも何かの意図やメッセージは込められてないのでしょうか?『I'd love to turn you on』は、「The Beatles/A Day In The Life」の有名なフレーズですよね?

あら、よく知ってらっしゃる(笑)。『I'd love to turn you on』の「turn on」には、「性的に興奮させる」と「幻覚症状を起こさせる」ってダブルミーニングがあるんだよね。俺はジョンやポールと違ってクリーンな人間だから(笑)、音楽でそれをやりたいと思って、このタイトルにしたんだよね。

 
- ちなみに、Wonder Worldは、The Beatlesからも影響を受けているのでしょうか?

全く受けてない(笑)。友達が忘れていった「LET IT BE」を1回聴いたくらいで、ほとんど知らないんだ。俺の世代は「Oasis」が「The Beatles」だったから。

 
- そうなんですね。ではここで少し音楽のルーツや影響を受けた楽曲やアーティストについて聞かせてもらえますでしょうか?

自分の影響の受けたアーティストについて語れ!なんて言われたら本当に朝になるけどいい?とりあえず居酒屋に移動して音楽談義でもする??

 
- いえ、、、限られた時間しかないので(笑)。。。では、影響を受けたアーティストを思いつく順に洋楽、邦楽で10名ずつ挙げて頂けますか?

洋楽だと、Oasis、Mineral、Derrick May、Kenny Larkin、Stacey Pullen、Ben Sims、Aphex Twin、The Black Dog、The Field、Jon Hopkins。邦楽だど電気グルーヴ、Ken Ishii、Yoshihiro Sawasaki、DE DE MOUSE、Serph、Fugenn & The White Elephants、envy、Rei Harakamiうーん、、、。Kiyoshi Sugo、★STAR GUiTAR(笑)。順不同ね、順不同。

 
- やはり、テクノ、エレクトロニカのジャンルからの影響が強いんですね。この中にBen Simsの名前があるのが意外過ぎますが(笑)。

そう?ミニマル大好き人間だから、本当はそういうDJやりたい。みんなドン引きしちゃうと思うけど。Ben Simsの「Riots In London」とか、爆音で聴いたら本当に気持ちいいのに。

 
- まぁ、リスナーはWonder Worldさんのエモーショナルなサウンドに魅かれているので致し方ないかと。。。そういてば先日「way to go」のPVがアップされましたね。ハっとさせられるストーリー性とモノクロと色彩豊かな柔らかな光で構成された美しい映像がマッチし、この楽曲を的確に表現していました。このPVに込められた思いや制作時の印象的エピソードがあれば聞かせてください。

う~ん、、、。意図してるものはあるんだけど、今回のMVでは完結してないので、詳細を話すのはナシで。撮影は超大変だったよ。寒いは、眠いは。あと、通行人によく笑われた。なんだあの仮面野郎は?もうハロウィン終わったぞ!って。
 

- では、その全貌は次回作のPVで明らかになるということで。Wonderさんのもう1つの特徴として、本作の「wiz」でも使用されている民族音楽のボーカルフレーズがありますが、エレクトロミュージックと民族音楽の親和性や可能性について教えて頂けますか?

うん、あると思いますよ。原始的に音にのめり込んで、人間本来の欲望から生まれてくるミニマリズムには、無限の可能性を感じる。今回は1曲でしか使ってないけど。そして、この先はなくなるかもしれません。なんかいいサンプリングCDあったら教えてください(笑)。

 
- 本作にはダンスビートだけでなく、「24」「tick-tock」「still」など、前作には無かった新機軸の楽曲も散りばめられてますね。これは先にあがっていたエレクトロニカ系アーティストからの影響も大きいのでしょうか?

うん、それは間違いなくある。家でのリスニング環境では、全くダンスミュージックを聴かないので、必然的に4つ打ちベースじゃない曲も増えてきちゃうよね。来年はエレクトロニカ軸のアルバムでも作ろうかな、と思うくらい。

 
 
- インストゥルメンタルの音楽は、言語を超越した唯一の「世界公用語」だって思ってるから。- 
 


- おお、それは非常に楽しみです。Wonder Worldさんの楽曲は、細かなジャンルは違えど、どの楽曲も美しいメロディーラインで、吸い込まれそうな心地良さを感じるのですが、やはりメロディへのこだわりは強く持たれているのでしょうか?

もちろん。メロディが全て。いいメロディを書けなくなったら音楽制作は辞めますよ。キャリアを重ねていくうちに嫌でも身についちゃう小手先の技術でごまかしたくないから。でも、「キャリア」と「小手先の技術」と「政治力」でサバイブしてくのも、音楽業界の1つの形だと思うけど。

 
- ちなみに、今作もPCのみでの制作されたのですか?

うん。基本はそう。音の加工するときにRoland SP-303と404を使ったくらいかな。基本はCubaseとNative Instrumentsのシンセで。

 
- ではライヴ&イベントについてきかせたください。ファーストアルバムリリース後は、ご自身でイベント「en」(エン)をスタートされましたが、このイベントを立ち上げたきっかけや、コンセプトについてお聞かせください。

「シーンを作りたい!」なんて大それたことは言わないけど、アーティスト同士、アーティストとお客さんが気軽にコミュニケーションできて、出来立ての曲を気軽にプレイできて、お客さんの反応がその後の制作にフィードバックされていくような、そんな環境が作りたかったから。
ノルマだ、ギャラだ、集客だ、なんてことを言ってたら、いつまで経ってもシーンなんてできないからね。
★STAR GUiTARとちょうどそんな話をしてる時に、本当にピュアなスタンスでイベント運営している「.annex」チームと出会って一緒にスタートさせたのが「en」(エン)。「.annex」みたいに、「イベント運営」と「自分たちも楽しむスタンス」が両できてるのってすごい大事。ああやって音を楽しんでくれる人たちを増やしていけたら最高だよね。あ、あとGlad/NEOの鈴木にも感謝してる。とってつけたような言い方だけど(笑)。こっちの無理な提案にも快諾してくれたので。
本人はいやいやOKしたのかもしれないけど(笑)。

 
- イベント名をタイトルにリリースしたスプリット「en001」を共にリリースし、「en」でもレギュラーで出演している★STAR GUiTAR, Kiyoshi Sugoのそれぞれの印象について教えてください。

★STAR GUiTAR=天才
Kiyoshi Sugo=鬼才
2人とも本当に才能豊かなアーティストだと思うよ。

 
- 3回目の「en」では、レギュラーメンバーに加え、RAM RIDER, DE DE MOUSE,TeddyLoidらも出演されていて、回を重ねる毎に規模が大きくなっているように思います。今後の「en」の方針などあれば教えて下さい。また「en」やライヴで共演したいアーティストについて教えてください。

理想論を言えば「いい音を鳴らしてるアーティスト」の登竜門的イベントになれば最高だよね。難しいことも十二分にわかってるけど。なので、出演者へのハードルはとても低いです。もちろんいい意味でのハードルの低さね。集客とか細かいジャンルを重視するんじゃなくて、広義で「素晴らしい音」を鳴らしてるアーティストをどんどん出演させていきたい。それこそLOW END THEORYみたいに「ダンスミュージック」って枠なんて飛び越えたって全然問題なし。ロックバンドにだって、ラッパーにだって出てほしいかな。日本って言語の問題もあって、ネットがどれだけ進歩したって世界と同時進行でアーティスト/ムーブメントを生んでいくのって難しいじゃないですか?若い頃は、世界のシーンの最前線とどれだけタイムラグなくリンクできるかが大事だ!って思ってたけど、今は日本独自のシーン形成をしていきたいって思ってるですよね。
なので、「このアーティスト/DJ出してほしい!」「俺を出してくれ」というご連絡お待ちしてます。連絡は「wonderworldisdead@gmail.com」まで!

 
- 最後に「From the Bedroom to the Whole Universe」をアーティストのテーマとして掲げているということで、今後はWonder Woldは世界を視野に活動を広げていくのでしょうか?

そうなったら最高だよね。「インストゥルメンタル」の音楽は、言語を超越した唯一の「世界公用語」だって思ってるから。あ、「宇宙公用語」か(笑)

 
- Release Information -

タイトル:
I'd Love to Turn You On

アーティスト:
Wonder World
発売日:
12月11日

価格:
1,995円(税込)

●トラックリスト
01. 24
02. way to go
03. fly coast
04. before the daylight
05. tick-tock
06. life in your way
07. wiz
08. out of the window
09. still
10. looper pooler
11. dice
12. no eixt

HMV

iTunes