INTERVIEWS
>

Satoshi Tomiie

 
- 2人のハウスミュージックアイコンがRepresentするDef Mixがあるからこそ今の自分があるのですが、「先生」が偉大であればあるほどその生徒は頑張んないといけないのです。 -
 
- こんにちは。ちょうどラテンアメリカのツアーを終えられたばかりでしょうか。富家さんは年に何度か南米に行ってますよね。あちらのクラブシーンはどうですか。写真で見るとかなり大規模なクラブが多そうですね。

こんにちは。今ちょうど南米ツアーと中東ツアーとの境目でNYの自宅にいます。今回の南米はアルゼンチン、チリ、コロンビアとまわりましたがラテンアメリカの国々はお客さんの音楽に対する姿勢と楽しいことに貪欲な国民性のおかげでいつもエネルギーもらってます。大きなクラブで回すことも多いですが500人規模の中ぐらいのパーティーもお客さんとの距離が近いこともあって最高です。エネルギーをまさに直で感じられるセッティングですね。

  - Frankie Knucklesが亡くなってから2週間が経ちました。多くの人が彼の死を嘆き、彼の残した業績の偉大さがわかりますが、富家さんにとってフランキーという存在はどういうものだったのでしょう。

想像すらできない、と言うのが本音ですが恐らくフランキーがいなかったら今のダンスミュージックシーンは全く違うものになっていたと思うし、大した才能もない自分が場所的にも音楽的にも今「ここ」にいることはなかったと思います。話し出すときりがないのですが、自分の人生で最初に聞いた、今で言う"International DJ"の衝撃はそれは強力なものでした。彼の東京でのパフォーマンスが僕の全てを変えたと断言できます。

  - 20年も前のこととなると間違った話が伝わっていることもあるので、「Tears」がリリースになったいきさつ、富家さんとフランキーとの出会いについて簡単に教えていただけますか。

先日亡くなられたDJの中村ナオさんとフランキーが一緒に日本ツアーに来た時に音楽制作でそのツアーのお手伝いをしたのが彼と知り合いになったきっかけです。ちょうどハウスミュージックのDJとプロダクションを始めたところでなんとも運のよいタイミングでした。初期のシカゴハウスとデトロイトテクノに憧れてもろに影響を受けた音作りをしていたのですが、その1曲が「Tears」だったのです。ちょうど大学生の時で、実家の一室に機材を並べて家族に迷惑をかけながら音楽を作っていました。その当時東京のクラブシーンですでに大活躍していた木村コウ君と仲良くなって、大学の夏休みのタイミングで彼と一緒にニューヨークにレコード屋まわりを兼ねてフランキーにデモテープをわたしに行ったのですが、そのカセットテープには2曲入っていて、その1曲が途中で入るピアノのフレーズのイメージで曲名をつけたTears。自宅録音のクオリティーの曲を気に入ってクラブでかけてくれたらしく「よかったよ~」とNYから電話をかけてくれたのです。それはアドレナリンラッシュとはこれのことを言うのか?という勢いのものすごい感動~!もともとインストルメンタルとして書いた曲だったのですが、調子に乗った勢いで大好きなRobert Owensのボーカルをのっけられないかな?とお願いしたところ全然オッケーということでまた感動。最終的にPete Tongのffrrからリリースされることになってナイーブな東京の一大学生にとっては、本当に本当にラッキーなスタートでした。

 

  - 音楽性の違いからDef Mixを離れることになったのだと思いますが、Def Mixという看板を背負っている時に比べると音楽制作やDJのプレイスタイルもより自由にやりたいことがやれるようになったのでしょうか。

God Father of HouseのFrankie Knuckles & Remix KingのDavid Morales、お二方からは本当にいろいろ学ばせて頂きました。DJにしてもスタジオワークに関しても実は「直接は」教わってないけど一緒にハングアウトしたり仕事したりして、こうやるのか~と観察して学習して来ました。2人の偉大な「先生」の影響は計り知れないものであると同時に個として表現活動するためには場所を移すことも必要なのかもしれないな、とは長い間ずっと考えてました。2人のハウスミュージックアイコンがRepresentするDef Mixがあるからこそ今の自分があるのですが、「先生」が偉大であればあるほどその生徒は頑張んないといけないのです。

  - 今回は富家さんからのご提案でフランキー・トリビュートを行うことになりました。フランキーが関わった楽曲で1番好きなのはTearsでしょうか。それとも他にあれば教えてください。

いろいろありますが、、やっぱり「Your Love」 でしょうか。

 

  - 最近、日本を離れて海外(とくにベルリン)へと移住するDJ、アーティストが増えています。言葉が通じない国で成功するのは非常に難しいのではないかと思いますが、富家さん自身の体験として苦労したことや、これから海外を目指す人たちへアドバイスなどあればお願いします。

ダンスミュージックに限って言えば20年前のNYは今のベルリンと同じような意味を持つ街だったと思います。移住する前にFrankie、DavidやJudyにすでに出会っていたのは大きなアドバンテージでしたが、言葉はやはり最初は苦労しましたね。克服すべき文化の壁もいくつかありましたが、作る音楽が僕のためにやはり1番モノを言ってくれました。
もはやDJになるのに極端な話でなくターンテーブルもレコードもテクニックすら不要になってしまった今、人と違うことをやることの重要性がより一層増していると思います。

  - Saw Recordingsのリリース予定や、ご自身の今後のプランなどお聞かせください。

最近のリリースはJoeskiと一緒に作った「Drummer EP」でしたが、次はレーベルパートナーのHecter Romero最新作、というか今世紀初のリリース「Seeds of Change EP」が予定されてます。自分のソロ作品としては現在アルバムを作ってまして、かなりいいところまでできてきました。他にはMatthias Vogtとのコラボ作品がLazy Daysから間もなくリリースされる予定です。

  - SAW@AIRでも若手アーティストをプッシュしてきましたが、最近お気に入りのアーティストがいれば教えてください。

たくさんいますがIori Wakasa君が最近のお気に入りの1人です。選曲のセンスもいいし、彼のプロダクションは個人的にかなりツボ。というわけで一緒にEPを作ってます。もう2曲ともほぼ完成しているので近くSAWからのリリースを予定しています。

  - 最後に、5月のパーティを楽しみにしている日本のファンのみなさんへメッセージをお願いします。

今年のAIRでのパーティーはFrankie Knucklesの、人と才能と彼のレガシーに敬意を表するものになります。彼の音楽で大いに盛り上がるのが最高の追悼になると思っているのでみなさん是非ご一緒に!

  - Event Information -

タイトル:Satoshi Tomiie presents Frankie Knuckles Tribute
開催日:5月24日(土)
会場:AIR
料金:10PM | ¥3500  w/f ¥3000  AIR members 2500  Under 23 ¥2500  After 6AM ¥1000

出演:【MAIN】  Satoshi Tomiie (SAW.RECORDINGS | from NY), DJ NORI, Ko Kimura (FUTIC RECORDINGS TOKYO), Robert Owens Live with Satoshi Tomiie, [LIGHTING] AIBA (TEAL | NITELIST MUSIC), 【LOUNGE】 KENJI TAKIMI (Crue-L | Being Borings), DJ KENT (The Backwoods | FORCE OF NATURE), Supermaar a.k.a. DJ MAAR (DEXPISTOLS), OSAMU M (Outerspace Records), USkey

■clubberia event page