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Tomo Hirata

 
- 世界中の国からEDMアーティストは出てきて、EDMシーンは活況を呈しているのに、90年代まではクラブ先進国のひとつだった日本が、そこに入れないでいる、そんな状況を打破したいと思ってここ数年は活動してきました。-

 
 
- タイトルからもわかる通り和をフィーチャーした曲だと思うのですが、なぜ和を取り入れたのでしょうか?

 
EDMシーンは今でもグローバルに拡大を続けていますし、「Tomorrowland」では数年前には見られなかった日本の国旗も珍しくなくなりました。しかし、音楽的にEDMシーンに日本の国旗があるかというと、ほとんどありませんよね。Steve Aokiは、海外では日本人と見られている向きもありますが、やはりアメリカ人です。
EDMシーン最大の魅力のひとつに、世界中のアーティストが一緒に活動できるということがあると思うのですが、日本はその点では蚊帳の外になっていしまっているんです。オランダ、スウエーデン、ドイツ、スペイン、イタリア、フランス、カナダ、アメリカ、ブラジル、オーストラリア、UK、南アフリカ、イスラエル、インドネシア、マレーシアなどなど世界中の国からEDMアーティストは出てきて、EDMシーンは活況を呈しているのに、90年代まではクラブ先進国のひとつだった日本が、そこに入れないでいる、そんな状況を打破したいと思ってここ数年は活動してきました。
では、どうやったらそこに入れるのだろうかということを考えたときに、やはりそこで問われるのは、どんな音楽でもそうですが、オリジナリティだろうと思ったんです。オリジナリティを出すために、もっとも強力な要素は、自分のアイデンティティから生まれるものです。僕にとっては日本人であることが最大のアイデンティティですから、そこで「和」を取り入れようと思ったのは自然な流れでした。 
   


  - 「TAIKO」は以前にリリースした曲と比べると、かなりアグレッシブなサウンドに感じましたが、曲のイメージが大きく変わった理由などはありますか?

僕が〈EDMF〉レーベルから出した最初の2曲は、リリース時にインタビューで答えていますが、自分の曲という意図で制作したものではなく、”典型的EDMをみんなに知ってもらおう”という意図で作ったものでした。次の2曲は、僕のルーツのひとつであるトランスの要素をミックスしたもので、そのうちの1曲「The Places」が、David Guettaのブレイクを支えた、フランスの大御所Joachim Garraudにサポートされ、『Amnesia Ibiza EDM Vol.1』コンピレーションに収録されました。
それで海外進出の足場ができたかなと思ったんですが、昨年「Tomorrowland」に行ったとき、トレンドが大きく変化していることに気付いたんです。よりハードでドロップが重視されるようになっていました。ダンスミュージックシーンでは、その時々のトレンドはとても重要ですから、今はメロディアスな曲を作るタイミングではないと思って、「Taiko」の方向性を決めたというのはありますね。
 
- 今回リリースされる「TAIKO」とは別に9月に「TAIKO TOKYO MIX」もリリースされますが、こちらはどのような差別化を図られましたか?それぞれの曲に持たせた役割があれば教えてください。

これは、まだ最終的なリリース日は確定していないのですが、UKのエージェントから「他のバージョンはないか?」と聞かれたので、制作したものです。みなさんご存知かもしれませんが、UKとヨーロッパでは音の好みが大きく違うんですよ。UKのほうがディープでハウシーなんです。だから、「TOKYO MIX」は、実際は「LONDON MIX」かもしれませんね。おかげでUKのDJからは200近いサポートをもらいました。
 
- 現場で何度かTAIKOを使っていたと思うんですが、フロアの反応はいかがでしたでしょうか?

「Taiko」は昨年「Tomorrowland」に行った後に作り始めたので、原型は昨年の11月にはできていました。最初にプレイしたのは11月30日の「EDMF」でしたね。トライバルなトラックは日本では昔から鉄板なので、最初から反応はよかったです。ただ、日本ではこういう曲をかけている人がまだほとんどいなかったので、「これは新しい方向性ですか?」とよく聞かれました。その後も、プレイのたびに修正を加えていって、最終型になったのが今年の3月末でした。
 
- 今作は、ご自身のレーベル<EDMF>からではなく、フランスの大手ダンスレーベル<DJ Center Records>からのリリースですね。以前にも同レーベルからリリースもされていますが、今回はリリースのオファーがあって作られたのでしょうか?
 
今のEDMシーンでは、オファーをもらって作るということは、よっぽどビッグなアーティストじゃない限りないですよ。みんなが知っているようなレーベルには、週に1000本もデモが届くんだそうです。当然、ほとんどは聴かれさえされずに放置されています。某レーベルのA&Rから聞いたんですが、なんとDiploやFirebeatzのデモでさえボツになっているそうです。その点では、〈DJ Center Records〉は、前作をピックアップしてくれたということもあって、今回もデモを聴いてくれたので、ありがたかったです。
 
- 本作は、かなり多くのアーティストのフィードバックを得ているそうですね?例えばどのようなものがありますか?
 
Sidney Samsonが、彼の「ROCK THE HOUZE RADIO」でプレイしてくれました。Quentin Mosimannからは「Full Support」、Justin Primeからは「Dope:)」という言葉をもらっています。彼らのようなビッグネームからのサポートは、影響力が大きいですね。他にもJetfire、Plastik Funk、Hotlife、Daniele Davoli(Black Box)などなど、海外からのサポートをいただいています。日本では☆Taku Takahashiさん、ジョンさんとYUMMYちゃんがサポートしてくれてます。とてもありがたいことです。
 
 
- EDMは世界中のあらゆる国の人が、何の予備知識もなくても、国境を忘れて共に楽しめる、人生を祝福する音楽なんです。 - 
 
- 作曲を始める時はどんな事がきっかけで始まるのでしょうか?
 
日本には海外と共有できるようなEDMシーンがあまりないので、「Tomorrowland」や「Ultra」といった海外フェスの中継からインスピレーションを得て作曲を始めることが多いですね。海外フェスに行ったことのあるキャリアのあるDJなら、その映像からヴァイブスを感じることは難しくないと思います。 
 
- 制作環境に関して教えてください。

大沢伸一さんからお借りしているMac Proと、Ableton Liveという、いたってスタンダードなものです。そういう機材まわりではなく、曲のアイディアが重要だと思います。ただ、パラアウトをサミングミキサーで混ぜてアナログコンプを通すという作業はしています。
 
- EDMのトラックを作る際に重宝するソフトなどはありますか?
 
Sylenth1とMassiveですね。普通すぎて、すみません。笑
 
- どのような工程で曲は作られているのでしょうか?

最初にアイディアかブレイクダウンのメロディがあって、そこからつくり始めますね。ドロップからつくり出すと、かなりの確率で煮詰まります。
 
- これからは、どのような曲を作っていきたいですか?
 
EDMシーンには、そのときどきのトレンドがあるで、それをつくり出せるような曲を作れればいいですね。トレンドと言うと毛嫌いする人もいますが、ダンスミュージックは時代の空気を取り入れてこそ輝くものだと僕は思っています。
 
- EDMが世界的にここまで大きなムーブメントになった原因は何だと思いますか?
 
EDMがポジティヴでわかりやすく、ダイナミックな音楽だからだと思います。EDMは世界中のあらゆる国の人が、何の予備知識もなくても、国境を忘れて共に楽しめる、人生を祝福する音楽なんです。あまり指摘されていませんが、EDMムーヴメントは現時点で、人類史上最大のダンスミュージックムーヴメントなんですよ。
 
 
- 才能ある者は、ベテランやレコード会社がピックアップするという構図ができています。ある意味、正しく縦社会が機能しているんです。日本のシーンには、それがありません。-
 
- 人によってEDMの解釈が違うと思うのですが、HirataさんにとってEDMの定義はありますか?

ジャンル論は不毛なのですが、EDMという略語が使われ始めたのは2000年代末あたりからだと思うので、それ以降のエレクトロハウス、プログレッシヴハウス、ダブステップあたりを指すと考えるのが適切だと思います。あと、アメリカではこれに確実にトランスが入ってきますね。
 
- 日本でのEDMシーンは世界と比べるとどうですか?

まだ爆発してませんが、今年後半に爆発するんじゃないでしょうか(笑)。やっとアーティストが来日してくれるようになりましたね。
 
- 同じ曲でも国によってオーディエンスの反応が変わったり、トレンドなどがあったりしますか?

ヨーロッパはハウスの流れがやはり強いですね。4つ打ちが80年代末からずっと人気です。EDMシーンでもオランダやスウェーデンのアーティストは主役ですよね。アメリカにはヒップホップの流れが入っているローカルEDMがあります。
面白いのは、ヨーロッパのビッグルームハウスはアメリカでも人気ですが、アメリカの非4つ打ち系EDMはヨーロッパでは、あまり人気がないということでしょうか。それで、今年はアメリカ勢がヨーロッパに進出すべくがんばっているように見えます。日本は良くも悪くもシーンがガラパゴスなので、まったく連動していないですね。
 
- EDMシーンではよく『PLUR』という言葉を耳にしますが、どういった意味なのでしょうか?
 
Peace, Love, Unity, Respect.
そのまんまです。だから、EDMフェスで喧嘩したり、ナンパしまくったりしてはいけません(笑)。
 
- 今、EDMシーンではMartin Garrixなどの10代若手DJたちの活躍が多く見られますが、それについてはどう思われますか?また、なぜ若いアーティストがトップへと駆け上がっていけるのでしょうか?それは、日本のシーンとは全く別ですよね?
 
TiëstoやDavid GuettaといったベテランEDMアーティストが成功しているからですね。彼らに憧れて曲を作り始める若手がたくさんいて、才能ある者はベテランやレコード会社がピックアップするという構図ができています。ある意味、正しく縦社会が機能しているんです。日本のシーンには、それがありません。
 
- 一線で活躍しているDJ/プロデューサーがEDMの要素を取り入れて活動していますが、純粋なEDMアーティストは、日本ではかなり少ないように思います。シーンがブームに乗る時には、ヒーロー/アイコン的存在が常にいたかと思いますがいかがでしょうか?Tomo Hirataがプッシュする日本人アーティストなどはいますか?
 
JapaRollくんですね。彼は世界に果敢に挑戦しています。あとはSQUARE FACTORYやGTの成長にも期待したいです。
 

■JapaRoll
http://www.clubberia.com/ja/artists/5148-JAPAROLL/
  - 今年はEDMアーティストの来日が急激に増えたと思うのですが、それは日本でもEDMがかなり浸透して来たという事なんでしょうか?また、それについては、どう思われていますか?
 
浸透してきたのは事実だと思います。世界の流れには逆らえませんから。一方で、トップ40箱がEDMアーティストをブッキングするのは、アジアのVIP重視箱に共通の現象のようです。つまり、そういった箱は、VIPを満足させるためにも世界的トップDJをブッキングしなくてはいけないんです。VIPの方々にとって、DJは世界ランキング上位なら誰でもいいわけで、それがたまたまEDM DJだったということではないでしょうか。
 
- 今度、世界的に有名なフェス「UMF」が日本でも開催されますが、どう思われますか?

EDMの最大の魅力は、やはりフェスじゃないと伝わらないと思うので、素晴らしいことだと思います。今回の「Ultra Japan」は、超強力なラインナップなので、少なくとも音楽的魅力は正確に伝わるだろうな、と思っています。これがきっかけとなって、日本のEDM DJのスタイル、お客さんの楽しみ方も大きく変わると思います。
 
- 「UMF JAPAN」はどんなフェスになってほしいですか?また、どんな楽しみ方をすれば良いですか?
 
とりあえずトップDJのプレイを見てほしいですね。日本の多くのEDM DJのように、そのままヒット曲をつないでいくようなことはしませんから。参加する側はPLURの精神を忘れずに、パーティーを楽しんでほしいです。 
 
- どのようなDJの方と共演してみたいですか?または、どんなDJプレイに魅力を感じますか?
 
僕は2001年にTiestoの前座をやらせていただいたことがあるんです。なので、いつの日か、またTiestoと同じステージに立ってみたいですね。DJプレイは、オリジナルの良い曲をかける人のものが好きです。今だったらAlessoのプレイとか、オリジナルとトレンドのバランスがよくて素晴らしいと思います。
 
- これから日本のEDMシーンがもっと広がっていくと思いますか?
 
そこには疑問の余地がないと思います。世界中どこでも、EDMシーンは若者に支持されていますから、衰えるとしたら彼らが30代になる10年後以降じゃないですかね。
 
- すばり、EDMの魅力とはなんでしょうか?
 
世界中の人々を音楽で結ぶことができることだと思います。「Tomorrowland」に来ている約240か国の人は、そこで共に人生最高の瞬間のひとつを味わうわけですよ。その体験が現実の生活にも良い影響を与えないわけはありません。こうした現象が世界中でおこれば、世界は良い方向に回るようになると、僕は信じています。
 

■Tomo Hirata / Taiko
http://www.beatport.com/release/taiko/1342978


■新曲「Akafuji」のFREE DOWNLOAD中
https://www.facebook.com/tomohirata

■Party Info
8/15(Fri) REVAMP PRESENTS DASH BERLIN IN TOKYO 2014 at Womb
8/22(Fri) SHIBUYA MIXX x GLOBAL EDM2 with Justin Prime at T2 Shibuya
8/24(Sun) HAMELN at module
8/30(Sat) OTODAMA BEACH PARTY at Makuhari