INTERVIEWS

Koichi Shimizu

ヒリつくノイズ、沈みこむ低音、歪だが美しい異形なサウンドが収められたKoichi Shimizu
によるアルバム「Otolary」。Numbが主宰するレーベル「Revirth」からのリリースされた本作は、モジュラーシンセをメインに使用したライブ的手法で制作され、本人がゆうように出音のエグさを体感できる稀有な作品となったのではないだろうか?現在はタイ・バンコクにて活動を続けるKoichi Shimizuに、作品のことやタイのシーン、モジュラーシンセについてなど話を聞いた。


Interview & Text : yanma (clubberia)
 

 

 

 
- NYの専門学校でNumbと知り合い、彼の影響でヒップホップやダブなんかを聴き始めてずぶずぶとハマっていきました。若かったし、難しいことは考えてなかったですが、とにかくあの2年間は様々なことを吸収しまくりました。
-
 

 

 

- 本作を聴いて、音楽に対する初期衝動のような勢い、キレイにまとめるというよりか、裸でぶつかる、全霊を込めたような印象を受けましたがご自身の中ではどのような作品にしたのでしょうか?今回、原点回帰とプレスリリースに書かれていたのですが、Shimizuさんの原点とは、どのようなものなのでしょうか? 

制作はライブ的な手法で、リアルタイムでシンセのつまみ等を弄りながら、長いテイクの録音をどんどん重ねて曲にしていきました。最終的なDAW上でのエディットやミックスもライブ感を殺さないように気をつけました。初期衝動的な勢い、まさにその通りだと思います。

90年代後半、00年代頭に東京でRevirthの活動を通じて学んだことがいまだに自分の基礎であり、アーティストとしての原点だと思います。音で言うと当時聴いていたTechnoやHip Hopの影響はいまだに強いと思います。

ただ今回Revirthからのリリースだからという理由でビート主体の音楽に戻ったという訳ではなくて、自然とそっちに惹かれていって、Revirthと繋がったという感じです。
 

 

 

 

- 活動のキャリアは長いですが、リリースは決して多くないと思います。それが事実だとしたら、その活動スタンスには何かお考えがあるのでしょうか?

タイに拠点を移してから、レーベルやイベントの運営、映画やCMの音楽制作等でだいぶ忙しくなり、自分の作品を作る時間がどんどん減っていったっていうのが一番の理由です。自身の音楽活動とそれらを上手く両立してやっていければいいのですが、なかなか難しいです。ただそういう活動を通じて得た物も非常に大きいですし、さまざまな活動全てをひっくるめたものが自分のスタンスで、作品のリリースもその一部と考えたいです。
 

 

 

- 生活の拠点をタイ・バンコクへ移されてどれくらい経ちましたか?

2003年にバンコクに引っ越してきました。東京で何年か生活して、また冒険に出てみたいって思ったのがきっかけだったと思います。それ以前にも何年かバンコクに住んだ経験があったので、タイ語も話せましたし、知り合いも大勢いたので移住は比較的スムーズでした。

普段はCMや広告用の音楽制作をしながら、インディーズのレーベルを運営したり、イベントの主催などをしています。 タイは東南アジアの中ではインディーズのシーンが1番盛んな国です。ロックが中心ですが、最近ではモーラム(タイの伝統音楽)のリバイバル的な動きがあったり、新しい物がまだまだ生まれてくる勢いを感じます。クラブミュージックシーンも盛んですが、ほとんどがDJ主体で、世界に出て行く様なトラックメイカーはまだ出てきてないです。でもこれからの若い世代に期待したいです。 タイの音楽やアートシーンはタイ人と外国人がごっちゃになって形成されてるんで、面白い出会いが非常に多いです。やっているイベントを通していろいろな国のアーティストとも出会いますし、そういう出会いや一緒に仕事をして受ける影響ってのが一番大きいです。
 

 

 

- 1991年から1993年までニューヨークでサウンドエンジニアをスタートされたそうですが、当時のニューヨークは、さまざまな音楽が隆盛期を迎えていたと思います。実際に生活されて、どのようなことを感じましたか?  

高校を出てすぐアメリカに留学したので、NY/NJでの生活は、特に音楽に関しては刺激だらけでした。高校時代はギターを弾いていたので行ったばかりの頃はロックばかり聴いていました。当時はアメリカではグランジ、UKではマッドチェスターやシューゲイザーなどが流行っていて、ライブも毎週行っていました。
その後NYの専門学校でNumbと知り合い、彼の影響でヒップホップやダブなんかを聴き始めてずぶずぶとハマっていきました。若かったし、難しいことは考えてなかったですが、とにかくあの2年間は様々なことを吸収しまくりました。その後94年に初めてタイに渡りました。

 

 

- ライブはもちろん、TVCM、映像作家とのコラボ、レーベル運営、さらにはギャラリースペースSOLまでオープンと音楽に付随する多くのことをやられているのにはびっくりします。いろいろやられるのは、なぜでしょうか? 

イベントをタイに来てすぐ始めたんですが、そこでの出会いがいろいろな形で広がっていった感じです。出演してくれた映像作家とコラボすることになったり、出会ったバンドの作品を出す為にレーベルを始めたり、自分たちが自由に使えるスペースを作ったり、活動の幅は広がってますがすべては繋がっていると思います。またそういう、いろいろなことに挑戦出来る可能性がタイにはあるってことだと思います。意外な仕事やプロジェクトのオファーを受けることも多くて、できるだけトライするようにしてきました。 ただ今後は広げるんではなく、焦点を絞った活動をしていけたらなと思っています。
 

 

 

 
- 自分達が良いと信じる音楽はリスナーが求める音ではない場合でも自身を持ってリリースしていきたいです。
 -
 

 

 

- バイオを読んでいるとサウンドデザイン、サウンドデザイナーという言葉が出てきますが、Shimizuさんにとってどういった行為ですか?一般的なDAWやハードを使い楽曲を作る行為とは異なるのでしょうか?

サウンドデザインに関しては定義は広いと思うんですが、楽曲を制作することもサウンドデザインの1つになり得ると思います。音をデザインする、スペースをデザインするのと一緒で、人や場所や作品が必要とする音空間を様々な素材や手法で作り上げるのがサウンドデザインなんじゃないかと思います。
 

 

 

-今回モジュラーシンセをメインに使用されているそうですが、いままで愛用してきた機材を教えてください。また、それらの機材を経て今回のモジュラーシンセというのは、どういった音を求めた経緯なのでしょうか?また、YOUTUBEのこちらのチャンネルはご自身のものでしょうか?
https://www.youtube.com/user/eastablishrec 

音楽を作り始めた当初はAkaiのサンプラーや、Korgのシンセを使っていました。その後コンピューターベースに移行して、ロジック、リアクター、Max/MSP等をメインに使っていました。特にMax/MSPはライブやインスタレーションなどでも積極的に使っていました。 ただ出音には常に不満を持っていて、次第にハードに興味が戻っていき、ライブではラップトップではなく、ハードのシンセやサンプラーを使うようになりました。
モジュラーシンセは最初は抵抗があったんですが、友人の物を使わせてもらった際にその音作りの自由さと、出音のエグさ、あと見た目は複雑ですが考え方は非常にシンプルな所に惹かれて使い始めました。音に関してはソフトのシンセでも素晴らしい音は出せると思いますが、モチベーションを上げてくれるっていう理由で自分はハードを使っています。音も大事ですがハードウェアーの楽器としての魅力に惹かれてるんだと思います。  シンセオタクなので、Youtubeで素人の人が撮影した楽器のデモ動画を観るのが好きなんですが、たまに自分でも撮影してアップしています。

 

 

- レーベルSO::ON Dry FLOWERはどのような経緯や意図で立ち上げましたか?また10年以上レーベルを続けてきて、見えてきたことはありますか?

先程も触れましたが、イベントを通じて知り合った仲間の作品を出していくうちにレーベルになっていきました。なので基本はアーティスト集団で、ビジネスやマーケティングに関してはいまだに素人同然です。音の方向性に関しては基本的にはオープンで、自分たちが気に入った音楽を作っているアーティストと話が合えばリリースっていう緩い感じです。

今回の僕のアルバムに関しては、普段うちらのレーベルの作品を聴いてくれてる子達は違和感を感じてるかもしれませんが、でも敢えて今時分が作りたいと思う音を正直な出しました。それは他のアーティストの作品を出す時も一緒で、自分達が良いと信じる音楽はリスナーが求める音ではない場合でも自身を持ってリリースしていきたいです。

10年続けてきて思ったことは、、、10年ってあっという間だな、です。

 

 

- 15年前にRevirthからHanumand名義でリリースされていますが、Revirthとご自身の出会いはどのようなものでしたでしょうか?

Numbとアメリカで知り合ったのが、その後Revirthに参加させてもらった1番の理由です。でももし知り合いじゃなかったとしても、当時彼がリリースした"Illfusion"を聴いたらシスコにデモを持っていったと思います。それほど衝撃的だったので。
 

 

 

- Release Information -

アーティスト:Koichi Shimizu
タイトル:OTOLARY
レーベル:ULTRA-VYBE, INC. / REVIRTH
発売日:3/18
価格:2160円

[トラックリスト]
1.Primeval
2.1995
3.Froth Dub
4.Otolary
5.Mantimbre
6.Unmanned
7.Sa
8.128

■amazon
http://www.amazon.co.jp/OTOLARY-KOICHI-SHIMIZU/dp/B00SKP96E8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1429247481&sr=8-1&keywords=koichi+shimizu

■itunes
https://itunes.apple.com/jp/album/otolary/id973403253

■Revirth
https://soundcloud.com/revirth
https://www.facebook.com/revirth1997
PREV
〈Carpet & Snares Records〉 João Maria
〈Carpet & Snares Records〉 João Maria
NEXT
Kyoto Jazz Sextet
Kyoto Jazz Sextet