INTERVIEWS

〈Carpet & Snares Records〉 João Maria

 ポルトガルの全人口の約27%を占め、陽気な人々が集う歴史ある街リスボンは、ヨーロッパの大都市の中では最も西にある都市である。そのリスボンのシアードは昔からの商業地であり、ブティックや老舗ブランドが立ち並ぶ中心地。そこにレトロでゴージャスな造りの旧ショッピングセンターがあるが、現在は破綻し、空いている店鋪も少なくはない。そのかわりギャラリーやクリエイティブなショップが自分たちのビジネスを思い思いに展開している。その一角にハウスやテクノをメインにしたヴァイナルのみを扱う”Carpet & Snares Records”がある。そこのスタッフでありDJ/アーティストとして活動するJoão Mariaと、ポルトガルのニュージェネーレーションJorge Caiadoの2人に、レコードショップのおいたちや、彼らの活動、リスボンのシーンについて、現地にて話を聞く機会を得た。

Text by Nori (posivision), Interview & Translation by Kumi Nagano
Photo by Asami Uchida, Special Thanx: DJ PENA (Flow Records)
 

 

 

- 3人ともレーベルや音楽のプロデュースをしていたし、レコードを愛していたから次のステップとして、ここを開くことにしたんだ。 -
 

 

 

- 簡単に自己紹介を。
 

 

 

João Maria(以下JM):
僕、João MariaとJorge Caiado、Zé Salvador(インタビュー時は不在)の3人でここに、”Carpet & Snares Records”をオープンしたのが、2014年の2月頃。僕は、〈Assemble Music〉というヴァイナルオンリーのレーベルもやっていて、アーティスト/DJとしても活動している。君ら東京から来たんだろ?僕は東京で4月25日(土)の「TRESVIBES@WOMB」の4Fでプレイするよ。( 渋谷”WOMB”オフィシャルページ:http://www.womb.co.jp/#!/calendar/2015/04/25 )
 

 

 

 
- 本当ですか、ナイスタイミング!
 

 

 

Jorge Caiado(以下JC): 僕も音楽をプロデュースしていて、ハウスが好きで レーベル〈Groovement〉と〈Balance〉、そのサブレーベル〈In a balance〉で主に活動している。Red Bull Music Academy 2011(Madrid)を卒業したよ。
 

 

 

 
- お店の設立について教えてください。
 

 

 

(JM)3人ともレーベルや音楽のプロデュースをしていたし、レコードを愛していたから次のステップとして、ここを開くことにしたんだ。ヴァイナルオンリーのレコードショップで、ハウス、テクノを中心に、少しヒップホップやブラックミュージックのセクションがある、でも特にハウスに強いかな。店が大きいとそれだけ収入がないと難しいだろうけど、ここは“こじんまり”やっているので、安定している。店にはいろんな人が立ち寄ってくれるけど、若い人もたくさん来る。ここで、音楽の歴史やレーベル運営についてなど、若い人に教えているんだ。最近は家でコンピューターだけで音楽をやっている若者も少なくないだろう?ここで会話して、お互いに教え合うんだ。いい経験となっているよ。
 

 

 

 
- レコード屋さんの良いところはフェイス トゥ フェイスで会話できるところだし、そこから何か始まることも多いですよね。アーティストもよく訪れますか?
 

 

 

(JM)そうだね。来店してくれたのは、TiNi, Dyed Soundorom, Shonky, Steve O’Sullivan, Faze Action, Pablo Valentino…などなど…まだまだたくさんいるよ!
 

 

 

- 店名”Carpet & Snares Records”の由来は? 
 

 

 

友人のアイデアだったんだけど、店の床にはレトロなカーベットが敷いてあるだろう?それと「スネア」を組み合わせたんだ。スネアはダンスミュージックのレコードでよく聞く音だしね。
 

 

 

 
- 何枚くらいのレコードを扱っていますか?
 

 

 

毎月だいたい500枚くらいオーダーする。セールスは400~450枚とか。ストックはすべてここに置いている。1ヶ月に、250枚ほどのオーダーを2回することも多いけど、1つ前にオーダーしたときは、400枚オーダーした。
 

 

 

- セレクトは誰がやっていますか?
 

 

 

(JM)僕ら3人ともがセレクトしている。日々、新しいタイトルと古いタイトルをオンラインで調べてドイツのウェアハウスから買っていて、2週間以内に送って来てくれるんだ。
 

 

 

 
- お互いどれを買うか相談しますか?
 

 

 

(JM)僕らはそれぞれが買いたいものを買っていて、事前に相談はしないよ。
(JC)自分が良いと信じているものを買っているんだ。
(JM)でもバランスは取れていると思う。僕はドイツ系がメインで、Jorgeもヨーロッパのも多いけれど、もっとハウスにフォーカスしていて、アメリカものをよく買う。それとお互い信頼し合っているからね。
 

 

 

 
- お店のセールスについてですが、割合は店頭とオンラインどれくらいでしょうか?
 

 

 

(JM)オンラインはdiscogsでのみ販売しているけど、世界中にお客さんがいるよ。店頭にも人はたくさん来るけど、日によるよね。いい作品は、ベルリン、ロンドンからも買う。ここを利用してくれる常連客は、何千枚ものリリースの中から自らで探すのは困難だから、僕らのセレクションを信じて買ってくれている。もちろん新譜と中古の両方を扱っている。 
あと、リスボンはツーリストが多いから、ヴァイナル好きの旅人もここを訪れてくれる。広告関係は一切出していないけれど、世界中からたくさんの人が訪れてくれるようになった。そう、この建物の同じフロアにも、オールジャンルのレコ屋がある中古盤専門店だよ。
 

 

 

 
- ここでさまざまなジェネレーションのたくさんの人たちと出会うことができて、お互いにインスパイアし合うことができること。ここが無かったら会えなかった人もたくさんいる。 -
 

 

 

- お互いどうやって知り合ったんですか?
 

 

 

(JM)Jorgeは今25歳で、僕は38歳。もう1人のスタッフ、Zé Salvadorも古くからの友人だよ。Jorgeはここ2年で知り合ったけど、いい友達であり、有能な若いプロデューサーで、Red Bull Music Academy 2011に参加したんだ。
(JC)そう、その年は東京で開催される予定だったんだけど、津波でキャンセルとなり、マドリッドで参加することになった。Mathew Jonsonとトラックを制作したりして、すごく良い経験になったよ。
(JM)僕は98年くらいにDJとして活動しはじめた。もう1人のスタッフのZé Salvadorは、90年初頭にはDJとして活躍していたからよく知っていた。彼はポルト出身で、僕はファロ出身。10年ほど前にリスボンに来てから仲良くなった。僕は96年くらいからロンドンに住んでいて、全てはそこでスタートした。それまではヒップホップが好きで、パンクロックのバンドもやっていたけど、ロンドンでクラブカルチャーと出会ってしまった。”Ministry of Sound”でDJ Harveyがやっていて、素晴らしかったよ。そこでレコードを買うようになってDJをやりはじめた。ロンドンのレコードショップに影響を受けた”Vinyl Junkies”でよく買っていたよ。アメージングなセレクトで、日本人がやっていたんじゃないかな? ソーホーにあったけど、ちょっと前にクローズしてしまった。テクノでなく特にハウス、ソウルフルなセレクションがすごく良かった。あと当時あったのは、”Black Market Record”とか、現在有名な”Phonica”は、ここ最近のお店だよね。はじめてレジデントとしてDJをやったのは、”cafe 1001”。5年後にファロへ戻って、そして10年前にリスボンへ移ったんだ。
 

 

 

 
- DJ時プレイするのはレコードだけですか?
 

 

 

(JM)8、9割がレコードで、あとの1割くらいはMP3でプレイしている。プロモや友達からもらう音源がデジタルだったり、リスボンではボートでのパーティもたくさんあるからね。
(JC)ボートでのパーティは、大体100人くらいの規模だけど、船の上だと揺れるからレコードでプレイできないんだ。
 

 

 

- ポスターが貼ってありますが、パーティーもやっているの?
 

 

 

(JM)僕らは、レコードショップと同じ名前でパーティもやっている。お店、レーベル、パーティ、あとはエージェントにコマーシャルもやっている。すべて音楽に関わっている業務だね。他の友人とリスボンでもフェスティバルをやっているよ、9月頃。今年2回目を開催予定。ガーデンでパーティー。Daniel Bellも来るしディスコ、ハウスなど楽しめるものを中心にセレクトしているよ。 
 

 

 

 
- レコードのどんなところが好きなのか、教えてください。
 
  

 

 

(JC)ヴァイナルの音がデジタルに比べて好きなのと、僕は16歳からレコードを集めているから、コレクションが3,000枚以上あることが大きいかな。プレイする時はそこから選ぶんだけど、デジタルだと選曲が難しい。曲名はアルバムカバーのビジュアルで覚えていたりするから…。
(JM)僕もほとんど同じだね。音の良さと選曲のしやすさ、そしてコレクションがあるから。僕は本当にヴァイナル中毒なんだ。他の街へ行くときは必ずレコードショップがあるか調べて訪れるけど、1日中掘っていても、1枚のレコードをずっと探しつづけることは全然苦じゃないよ。新しいのはオンラインで比較的簡単に手に入るけど、中古盤はそうじゃないから特別だよ。だから探す時も中古のものを中心に探すようにしている。まさにヴァイナルジャンキーだよ(笑)。特に新しい街で、はじめてレコード屋に行く時はすごくドキドキする、小さい子供みたいにね。
 

 

 

 
- レコードショップをやっていて大変だと思うこと、それとよかったと思うことを教えてください。
 

 

 

(JC)大変だと思う点は、利益があまりないことかな。音楽への愛のためにやっているよ。
(JM)よかったと思うのは、地元の人からツーリスト、アーティストに至るまで、ここでさまざまなジェネレーションのたくさんの人たちと出会うことができて、お互いにインスパイアし合うことができること。ここが無かったら会えなかった人もたくさんいる。レコードが人と人とを繋いでくれて、音楽を中心として、いろんなものが始まっている。ここにはいいエナジーが溢れているんだ。
 

 

 

 
- リスボンのシーンについて教えてください。
 

 

 

(JM)リスボンにはたくさんのDJがいて、若いプロデューサーもよくやっている。Jorgeは、「secretsundaze」でリミックスもやっているし、リミックスワークにリリースを重ねているね。Cleymooreも若いアーティストでレーベル〈Pluie/Noir〉をやっている。他にもDe Los Miedos, Trikk, Ivvvo, Purple, Diogoなど、まだたくさんいると思うよ。毎年日本にも行ってプレイしているTiagoは、リスボンのクラブ”LUX”のレジデントだけど、”LUX”はリスボンで1番大きなベニューでもある。”Music Box”でもコンサートやいろんな種類の音楽やっている。”europe sunrise”もいい、”europe bar”も同じオーナーがやっている。特に”europe sunrise”は、昔リスボンのとっても古いクラブでメインクラブだった”KREMLIN”という名前だった。
 

 

 

 
- 最後に、日本の音楽ファンにメッセージを。
 

 

 

(JM)僕の周りには、日本へ行ってプレイしたことのあるアーティストが結構いるけれど、話を聞くとみんな「すごく良かった」というんだ。日本人は親切でオープンマインドな人が多いし、パーティーではクラウドが音楽に集中してくれるから、アーティストが表現したいようにプレイできる環境がある。だから、とても良い経験ができるというんだ。最近、こういう場所は少なくなってきているように思うよ。ベルリンやロンドンは例外だけど、他ではクラブやオーディエンスに配慮した選曲に努めないとならないことも多くなった。だから、日本でプレイできること、そしてレコードショップ巡りを本当に楽しみにしているよ。
(JC)僕が関わっているレーベル〈Groovement〉も、今年の10月にジャパンツアーがあるんだ。レーベルからは、yohei saiという日本のプロデューサーもリリースしている。2013年に日本へ行ったときは、「groovement tokyo 2013」Tシャツを作ったけど、今年も作って東京へ行くよ。
 

 

 

 
- Event Information -


タイトル:TRESVIBES 8th ANNIVERSARY feat. tINI
開催日:4月25日(土)
会場:渋谷”WOMB”
時間:23時
料金:当日¥3500 WF¥3000
出演者:  [SPECIAL GUEST] tINI (tINI AND THE GANG) [RESIDENTS] SATOSHI OTSUKI (TRESVIBES SOUNDSYSTEM), DJ PI-GE (TRESVIBES SOUNDSYSTEM), KIKIORIX (TRESVIBES SOUNDSYSTEM) [VISUAL] REALROCKDESIGN 【VIP LOUNGE"ASSEMBLING TOKYO”】ST.JOSEPH (ASSEMBLE MUSIC/LIZE), JOAO MARIA (ASSEMBLE MUSIC/CARPET & SNARES), YOSHITACA (FASTEN MUSIQUE), SINOB SATOSI (FASTEN MUSIQUE / WORK THEM) 【MIDDLE LOUNG JUST ANOTHER FLOOR】 AJB, EAMES AQUATIC, JADJ, SAM FITZGERALD, GUI MARTINEZ, ROB JUDGES, KICCIO (WALKERS) 【WOMB LOUNGE】 SIN (WALKERS/GOLDENHOUR), DJ NOA, YOU FORGOT (UGFY RECORDS/UGLY.)

■clubberia event page
http://www.clubberia.com/ja/events/233949-TRESVIBES-8th-ANNIVERSARY-feat-tINI/
 

Links:
Carpet & Snares Records(run by João Maria, Jorge Caiado and Zé Salvador):
website - http://www.carpetandsnares.com/
facebook - https://www.facebook.com/carpetandsnares
soundcloud - https://soundcloud.com/carpetandsnares

Carpet Music (agency):
website - http://www.carpetmusic.com/
facebook - https://www.facebook.com/carpetmusicagency
soundcloud - https://soundcloud.com/carpetmusicagency

Assemble Music (run by João Maria):
facebook - https://www.facebook.com/AssembleMusic
soundcloud - https://soundcloud.com/assemble-music

Groovement (run by Rui Torrinha and Jorge Caiado):
website - http://www.groovement.net
facebook - https://www.facebook.com/groovementpt
soundcloud - https://soundcloud.com/groovement

Inner Balance (sub label from Balance Recordings / run by Chez Damier and Jorge Caiado):
facebook - https://www.facebook.com/innerbalancerecordings
soundcloud - https://soundcloud.com/innerbalancerecordings


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