INTERVIEWS

“The Studio Wizard”と呼ばれた男、Paride Saraceni

 最近、彼の名前をよく見かけるかもしれない。彼の名は、Paride Saraceni。Maya Jane ColesをはじめEnrico SangiulianoやNoir、Riva Starrといったアーティストのリミックスや、Christian Smith率いるTronicやAdam BeyerのTruesoulといった名門レーベルからのリリース、さらには昨年のSonarにおけるレーベルショーケースへの出演など、近年際立った活動をみせている。大御所ハウスDJのRoger Sanchezからは“The Studio Wizard”と評され、音楽活動と並行して現在ロンドンで建築士としての勉学に励んでいることも興味深い。その彼が、7月28日に表参道VENTで来日公演を開催。来日直前の彼に、これまでのキャリアやパーソナルライフ、そしてこれからの展望などについて聞いた。

取材・文:U:ICHI


ーーあなたのキャリアは、どのように始まりましたか?
友達とパーティーを本格的に始めたのが、10年くらい前だったかな。70年代や80年代、そうだね…テレビゲームのGrand Theft Autoシリーズの世界観に影響されたようなパーティーだった。すべてはそこから始まったんだ。


ーー昨年にTure SoulやTronicからリリースしたトラックが大ヒットしましたね。そこから何か生活は変わりましたか?
Adam BeyerのTrue Soulからリリースした「Burning EP」が物事を大きく変えたね。これによって僕の認知度が大きく高まったし、「このリリースがなかったら」って考えたら今のような成功への道のりはなかったと思うよ。ただ近頃は皆ブランドネームやその影響力に安心を求める傾向がある。本来そんな風にはなってほしくはないけど、僕のミッションは音楽を通してポジティブなエネルギーや、偏見などから解放して自由を感じもらうことなんだ。だから逆説的にこういったビックリリースは人に制約をもたらしてしまうのかもしれない。この傾向が続くともっと良いDJやデザイナー、料理人など、探せなくなってしまうからね。




ーーあなたの楽曲はとてもユニークで、時にメロディアスだったり、時にはアグレッシブなテクノだったりとさまざまな側面をもっていますよね。音楽を作る際、どのようにアイデアが生まれてくるのでしょうか?
ありがとう。でも楽曲スタイルについて、話せるようなことは、あまりないかな。でも、季節が影響していると思う。冬であれば、DJセットでもプロダクションでもダークで攻撃的になるし、夏であれば、ゆったりとしてディープでメロディアスな感じになるね。あとは外を散歩してるときとか、今後の人生を想像してみたりとか。そんなときにアイデアが降りてくるんだ。残念ながら、いつでもそのアイデアをマネージメントできるわけではないけどね。作り始めたトラックが全然違う方向性にいくこともあるし。それもプロセスの一部分だしね。


ーーここ最近でのベストギグはなんですか?
それは難しい! たくさんあり過ぎだよ(笑)。強いて言うなら、Egg Londonは、いつでも最高のクラブだね。あとこの前最高の3公演をアルゼンチンでやってきたばかりだよ。ブルガリアも楽しかったし、もちろんLoveland BarcelonaのDrumcodeステージでのギグも最高だった。でも僕自身が地元で企画してるCasbahプロジェクト、アブルッツォのビーチで開催するパーティーが最高だね!


ーーCasbahプロジェクトとはなんですか?
Casbahプロジェクトは、イタリアのパートナーたちと夏にビーチで開催しているワンナイトパーティーさ。とくにパーティーの構造やデザインにフォーカスして、地元の歴史的な建造物や歴史、物産を取り入れてるんだ。僕の地元は、元々歴史的に貿易の盛んな中心地で、Casbahプロジェクトではそんな側面を楽しみながら知ることができる。昼の部ではローカルアーティストや名産ワインを紹介したよ。もちろん音楽はオリエンタルなムードを大事にしている。




■Post Scriptum Music
https://www.postscriptummusic.com/home


ーーこのPost Scriptum Musicとはどういった位置づけなのでしょうか?
Post Scriptum Musicは、Casbahプロジェクトに続く、僕のレーベルとして立ち上げていく予定のプロジェクトさ。コンセプトはストーリーテラーであること。何かしらのロケーションがイメージできるようなかっこいい音楽で探検するようなイメージだね。僕はスタイルやトレンドに関係なく、物語のような音楽を世に出していくことを本当に楽しみにしている。Post Scriptum Musicのパーティーをやるなら、そのコンセプトは四次元の世界観になるかな。


ーー初来日公演の際に会ったとき、すでに日本にもの凄く興味をもっていたけど、きっかけはなんだったのでしょうか? 
日本の文化には本当に興味があってね。昨年、U:ICHIがWOMBでのパーティーに僕を呼んでくれて、プレイできたことは本当にハッピーだったし感謝してるよ。日本の伝統的な建築様式とサムライ的な文化にすごく興味があったんだ。




ーー今回の東京公演では何を楽しみにしていますか?
僕は日本の文化を全然理解していないからもっと学びたいし、僕たちヨーロピアンに影響を与えるような人たちともっと知り合いたいね。食文化にも興味があるし、びっくりするような料理も食べてみたい。そこで、僕は2012年に作った「Bushido」って曲を紹介したい。以前君に聴かせたら、「これは武士道というよりも、侘び寂びを連想させる」って言われたけどね(笑)。でもこの曲は、僕が古代の日本にフォーカスして、対象的にエレクトロミュージックとして映画音楽のような雰囲気をコンセプトに仕上げた曲なんだ。そんなわけで、また日本に戻れて嬉しいし、昨年会った人たちや、新しいクラバーのみんなと素敵な時間を過ごせることが本当に楽しみだよ!




ーー今後の展望を教えてください。
リリース関連でいうと、まずTronicから新しいシングルがリリースされるよ。あと、2曲ほどビックレーベルでのリリースを調整しているんだけど、ビックリさせたいからそれはお楽しみに! 将来的なことでいえば、今建築の勉強をしてるんだけど、修学後に建築物やデザインと音楽をうまくコラボレートできないかなって考えてる。あと、クラブ文化のネガティブなファクターがなくなって、五感をフルに使って楽しめるようなエンターテイメントになればいいなと思ってる。何か新しいものを見せていけたらいいな。



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