Interviewer: Masaaki Obari, Aj, HRK
「Out of Orbitというプロジェクトは、コロナ禍になってから、またクラウドに会いたいという強い衝動、踊ってくれるオーディエンスに会いたいという気持ちから生まれた。」 - Eitan Reiter11月6日(土)、新木場ageHaの最後の周年パーティー初日「ageHa 19th Anniversary “THE FINAL” DAY1 - WE ARE ALL CONNECTED -」開催に先駆け、先日インタビューを公開したサイ・トランスシーンの王者ASTRIXと共に、イスラエルからリアルタイムの双方向バーチャルセットで登場するEitan Reiter。トランスシーンの枠を超え、テクノシーンでもSebastian Mullaertなどとのコラボレーションで知られる。
6日にageHaで聞ける彼の新しいプロジェクト「Out of Orbit」としてのリアルタイムストリーミングライブは世界初の試みとなる。そのプロジェクトについてや彼の生い立ち、ageHa閉館への思い等をZoomを通して、11月6日のパーティーのプロデューサー小張とそのクルーがインタビューした。
―― Eitan Reiterとはどんな人なのか?教えてください。
年齢は38歳。ハイファ近隣のクレイヨットに住んでいる。テルアビブから一時間の小さい街だね。東京に比べたら尚更小さい。妻がいて、娘が二人。上の子はエリヤ、7歳。下の子はミラ、もう4歳だね。超溺愛しているよ。
――好きな音楽や、音楽に関するバックグラウンドは?
音楽家の家庭で育った。父親はクラシカルギタリスト。その影響は大きかったと思う。
あと、アメリカに住んでいた子供の頃、音楽を集めていて、ヒップホップが始まりだった。
初めて音楽に夢中になった。十代でイスラエルに戻り友達の影響でトランス・パーティーにハマった。
それがすべての始まりと言えるだろう。
自分が住んでいるハイファの周辺地区は、ここが出身地のアーティストが他にもいる。たとえば、Infected Mushroom。俺の家から、いくつか通りを隔てたところに、デビューしたての彼らがいた。最先端の音を作っていて、かつご近所さんである彼らに大いにインスパイアされた。先輩として尊敬していた彼らに、プログラムや知識をもらい放題だった。
好きな音楽は何かと言えば…全部かな。クラシカルからロック、70年代の古いやつも含めて。東洋音楽も。
自分のスタイルを簡単に説明できないのは、拘りなく色々な音楽に魅了されてるからだ。
――何歳から、サイケデリック音楽を作り始めたのですか?
15歳だったかな。Impulse TrackerというDAWをゲットした。Infected MushroomのErezからのプレゼントだったんだ。早速、色々いじり始めた。その後イスラエル人なら誰もが通る、兵役義務で徴兵の訓練に行った。
しばらく作曲のことを完全に忘れていて。徴兵が終わろうとしていた頃、なんとなくまた作曲に惹かれていることに気がついた。まさか音楽が人生になるとは思ってもみなかった。純粋に作りたかった。それだけだね。旅行で友達と南米に行った。イスラエル人が兵役の義務を終えると、みんなそうするように。
半年も南米で過ごして、色んなことを経て、最終的には音楽スタジオを作ると決意した。
2005年のSolarisというブラジルの大きいパーティーは、イベントのスケールはすごかったし、美しかった。何人いたかは知らないけど、みんなカラフルな格好をして踊っていた光景は衝撃的だった。兵役義務のあとの、6ヶ月間の旅行。そして最終日のあの巨大なパーティー。この不思議な流れが、帰国後のスタジオを作る原動力になった。ミュージシャンになるという新しい夢はもう、叶えた。そう思った。お金や財産はなかったけど、どうでも良かったね。
Eitanに作曲面での影響を与えたInfected Mushroom、写真右がErez
――コロナの影響により私生活や活動には色々変更があったと思いますが、どうでしたか?
家族と過ごす時間が増えたのはよいことだったね。上の娘が育っていくのをあまり見られなかったことに対して、下の娘とはしっかり向き合う時間が持てている。とは言っても、どっちもお母さんの方が好きだから娘たちにとっては、どうでもいいことかも知れないけど、家族との時間が増えたのは贈り物のようだったね。
コロナになる一年前はツアーを止めていたんだよね。常にツアーをしていて、ある日限界に達した。コロナの前に自分自身で、既にロックダウンしていたようなものだった。一年間、スタジオにこもって作曲に没頭していた。とにかく他のことをせず、音楽を作ることに専念した。思う存分スタジオで作曲をやって、そして終わった後は、再びツアーに出たがっていた。早く飛行機に乗ってツアーをしたい!そういう気分だった。
鬱とまではいかなかったけど、ある日スタジオの機材を全部売り飛ばしたんだよね。今は新しいスタジオが出来ているんだけど、あの時はゼロから再スタートしたかった。世界に起きていること、どう解釈したらいいか分からなかった。
――Eitan Reiter、Out of Orbit二つのプロジェクトの違い、また、Out of Orbitのプロジェクトを始めたきっかけなどありますか?
Eitan Reiterに関していうと。それは常にいる存在。LOUDをやっている時も。
いつでも自分自身でいられるプロジェクト、そういうものなんだ。
Out of Orbitに関しては、踊ってくれるオーディエンスに会いたいという気持ちから生まれた。サイ・トランス・ファンのためのプロジェクトで、何年もやりたかったんだ。努力のすべてを注ぎ込んでいるね。
LOUDとのツアー活動を止めた頃、クラウドへの熱意を感じなくなっていた。他の道を模索していたかもね。トランスや音楽。これからも作り続けるのか?それさえ分からなかった。時を経て、またクラウドに会いたいという強い衝動が生まれた。そしてOut of Orbitが誕生した。『Wisdom of the Crowds』とは、クラウドからもらった、多大なる知恵の結晶。クラウドの皆はアルバムの創造にとって必要不可欠な一部分。プロジェクトの違いはそんなところかな。どっちも、違う面の自分自身。いつか、これらとは違う自分を発見したら3つ目のプロジェクトもできるだろう。
――ASTRIXのAviとのエピソードを聞かせてください。
前に話したブラジルで行われたSolarisから戻って、早速スタジオを作って作曲に没頭した話、さっきしたよね?そこでDJをしていたのがASTRIXことAviだったんだ。セットの最後をはっきりと覚えているよ。作曲しようと決意した瞬間だったからね。ASTRIXのセットがすべてのきっかけだった。
Aviという人、そして彼のやることには特別な何かがある。自分の中に火を灯してくれたんだ。
ASTRIXとEitan2人がスタジオにいる様子。Photo by Shahar from Trancentral
――Out of Orbit として、Shamanic Talesからリリースすることになった経緯は?
俺がアルバムを製作中と聞いたAviから連絡が来た時、彼は「レーベルを新しく作るんだ」と。しばらく話してたらAviのレーベルから出すのが最も自然な選択肢と思うようになった。常にインスピレーションを与えてくれてる。昔からずっと、支えの存在。簡単に言えば、良い友達だ。彼のことが本当に好き。
これ以上の理由はないんじゃないかな。
――ageHaがクローズすることについて思いを語ってもらえますか?
ageHaはずっと昔からプレイしたかった場所で2回もそれができたのが嬉し過ぎる。素晴らしかった。スケールと音響、すべてがね。無くなるのは寂しいけど、今回のイベントでプレイできるのは光栄だ。
残念なことに、物理的にageHaに行くのはできないけど…
たくさんの楽しい思い出をみんなに与えられた。本当にありがとう。俺らの音楽を人に伝える機会も与えてくれて心から感謝してる。俺らだけじゃなくて、オーディエンスにとっても、大事なことだよね。
――ファンへのメッセージをお願いします
音楽を作る時は、聴き手のことをかなり考えて作っているんだ。聴き手とはつまり、あなた達。
それが俺のプロセス。特別な体験になるように頑張って作り上げるんだけど、クラウドがいなきゃできないことだ。また早くみんなとこうやって対話して、コミュニケーションを取りたい。
またいつか日本で会おう!
11.06. Sat. #ageHa19th Day 1 "WE ARE ALL CONNCTED”
実験的で挑戦的。最早、現実よりもリアルでマッシヴ。
最高にして最後の、歓喜の一夜を体験せよ!!
ageHaでのリアルイベントと、イスラエルからのヴァーチャルセット、
オフライン・オンラインパーティーの両方で楽しめる
ageHa19周年 - WE ARE ALL CONNECTED -
■ageHa でのリアルパーティー、通常前売 ¥3,800 (開催日前日11/5 23:59までの販売。)
https://ageha.zaiko.io/_item/343458
■世界中どこからでも、パーティーに参加ができる “Globa Streaming”
当日ageHaのARENAを6時間放送!配信後3日間はアーカイブも視聴可能。
配信チケット / STREAMING TICKETS ¥1,500
https://ageha.zaiko.io/_buy/1rlE:Rx:7364c
ageHaで、自宅で、歓喜の一夜に参加しよう!
■Supported by
Maison Mumm:https://www.mumm.com/
駐日イスラエル大使館文化部:https://www.israel-culture-japan.com/