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​「ageHa THE FESTIVAL」が目指すものとは?〜ageHaクローズのその後〜

 10月の連休に開催される注目のフェスティバル「ageHa THE FESTIVAL 2023」。8月の初旬、そのリリース情報がクラベリア編集部に届いた時、3日間のフェスで毎日内容がガラリと変わるという、今までにないフェスの開催形態に興味がそそられた。10月7日(土)、8日(日)、9日(月・祝)の3日間にわたって東京・お台場の特設会場にて開催されるこのフェスティバルは、日本を代表するクラブ・ブランドageHaによるフェスティバル・プロジェクトだ。

 3日日間異なる内容で開催される同フェスティバルは、1日目に音楽、アニメ、ゲーム、バーチャルなど、さまざまなカルチャーを巻き込んだモンスタークラブパーティー「暴力的にカワイイ」、2日目に2006年に幕を閉じた伝説的スーパークラブ「velfarre」とageHaによる年に一度のコラボ「agefarre」を開催。そして、最終日となる3日目には、6年ぶりの来日となるFatboy SlimとDJ HARVEYの世界初となる共演が決定している。

 フェスの開催まではあとわずかとなった9月末、今回の主幹となっているアゲハプロダクションズ・小張氏にコンタクトを取り、話を聞くことができた。小張氏は新木場スタジオコーストで開催していたageHaの最後のプロデューサーであり、今もそのブランドと共に活動している株式会社アゲハプロダクションズの役員である。小張氏はこれまでにもクラベリアに、海外フェスのレポートなど様々な記事を寄稿してくれている人物。

 そんな小張氏に、アゲハプロダクションズが「ageHa THE FESTIVAL 2023」を通して実現しようしていることはなんなのか? 興味と疑問をぶつけてみた。



ーーまず読者のために、アゲハプロダクションズの成り立ちを教えてください。

株式会社アゲハプロダクションズは、スタジオコーストの閉館が決まる以前の2018年に、スタジオコーストを運営する株式会社マザーエンタテイメントからageHaの企画部門だけが分社、独立した会社です。現在は弊社がageHaのブランドを引き継ぎ、 ダンスミュージックシーンの活性化をミッションとしてイベントのプロデュース事業等を行っています。特定の箱で活動しているわけではなく、イベントごとに会場を借りて企画をしたり、様々なパーティーやフェスの運営のサポートなどもしています。
 
ーー新木場での活動修了後、アゲハプロダクションズの皆さんやスタジオコーストの皆さんはどんな動きをされているんですか?

私たちアゲハプロダクションズは、昨年11月に上映会をしたageHaのドキュメンタリーを作ったり、ageHaの後処理に費やした一年でした。他の運営を担当していたスタッフは、マザーエンタテイメント所属として、横浜にできた「YOKOHAMA COAST garage+」の運営で残った者もいましたが、多くは退社して、新しい仕事に就いています。また、音響や照明など制作を担当していたスタッフは会社を興したり、フリーになったりという形で、今も多くがクラブ・ライブ業界で仕事をしています。

昨年10月には「ageHa THE FESTIVAL」の初回として「アゲファーレ」を開催し、バラバラになったスタッフの多くが集結し、ageHaとして初の野外フェスティバルを一緒に盛り上げてくれました。クローズ後のageHaについても、ドキュメンタリー「ageHa THE MOVIE」で少しだけ描かれています。YouTubeで全編公開していますので、是非見て欲しいです。


ーーなるほど。スタジオコーストとageHaの運営が違う。というのは聞いてはいましたが、改めて聞いてその複雑な状況がやっと理解できました。では早速ですが、今回の「ageHa THE FESTIVAL」はどういった経緯で、どういったコンセプトで進んできたプロジェクトなのですか?

そもそも昨年の話から始める必要があると思うのですが、昨年の「ageHa THE FESTIVAL」は、元々お台場で開催予定だった「Body&Soul」に、ageHaが後から乗っからせてもらう形で実現したものでした。

新木場が終わる前から、この先何をしていこうか? と模索する中で、野外フェスに挑戦しよう。というアイディアは持っていましたが、ageHaがクローズしたその年に、フェスをゼロから作るほどの時間もパワーもありませんでした。しかしその中で、「Body&Soul」lが単体でお台場の会場を借りている10月の週末。土曜日が空いているという情報を知り、その日程をageHaで使わせてもらえたら、ステージをはじめ様々な会場の経費をシェアできて、「Body&Soul」にもプラスになり、私たちもフェスを形にできるかもしれない。そんなアイディアを「Body&Soul」に打診してみたところ、快く受け入れてくれた。というのが始まりなんです。

結果的に残念ながら「Body&Soul」は海外アーティストの来日が叶わず、イベントの内容を変えて開催することになってしまったのですが、「agefarre」はゲストのSystemFことFerry Corstenも無事来日し、大盛況でフェスを終えることができました。

昨年の10月はまだまだコロナの影響下にあった時期で、不安もありましたし、参加を控えたというファンの方々が多くいたとも聞いています。円安や戦争。難しい社会情勢は一年たった今も相変わらず続いていますが、これからの時代はこうやって、シーンの横の連携で、シェアと協力の精神でフェスを実現していくべきなんだな。と強く実感した初回の「ageHa THE FESTIVAL」でした。



今年、「Body&Soul」は場所を変え、豊洲で6月にフルメンバーでの開催を実現しました。そのお手伝いはageHaでもさせてもらいました。そして、今度はageHaが主幹となり、3つの全く異なるイベントを誘致し、開催できることになりました。実は開催に至るまでにここでは書けないトラブルや予想外の事態もあって今に至るのですが、何にせよ、形になり、開催まで漕ぎ着けられそうなのであとはやるだけです。

ということで、決して全てが思い通りに形になってきたわけでもなく、偶然も重なって今の形に落ち着いたともいえ、来年のことも今年が終わってみないとまだわかりません。ただ、こうしてみると、見事なまでに毛色の違うイベントが並ぶこの三日間は、それもまたageHaらしいフェスティバルになっているな。と思っているところです。

ーーでは、小張さん自身の目で見た、それぞれのイベントの注目ポイントを聞かせてください。

初日の「暴力的にカワイイ」は新木場における後期ageHaの象徴的イベントだと思っています。日本のインターネットカルチャーと結びついたダンスミュージックがageHaの表舞台に出たのは2013年に秋葉原のMOGRAさんが主催した「あきねっと -秋葉原インターネット音楽祭-」であることは間違い無いでしょう。ネット界隈、アニソン界隈では当初ageHaは「怖いところ」みたいなイメージで捉えられていたと思いますが、その後の10年でネットレーベル、ボカロPなどが注目を集め、様々なイベントがageHaでも開催されるようになり、やがて聖地化していきます。

そして2020年11月、2021年の10月とageHaで開催され、「あきねっと」以来の熱量でシーンを賑わせたイベントが「暴力的にカワイイ」でした。渋谷のクラブエイジアさんがオーガナイズするパーティーで、系列店のLOUNGE NEOからスタートし、ageHaでの開催を経て、今回ついに初の野外がお台場となります。信じられないほどの勢いでチケットが完売し、熱狂的な盛り上がりは約束されたも同然です。




2日目の「agefarre」は、元々は六本木ヴェルファーレで開催されていた「CyberTrance」というイベントがベースとなり、今年で12年目を迎えるモンスターパーティーです。ageHaでの開催も最初の2回はCyberTrance」の名前で開催でしたが、3回目に現在の「agefarre」がスタートし、今やヴェルファーレの時代よりも「agefarre」の歴史の方が長くなってしまったというから驚きです。メインゲストのヨハンギーレンはこのパーティーの象徴的存在で、今年も間違いなく盛り上がると思いますが、この盛り上がりはまだまだ数年は衰えることはなさそうです。



3日目のFatboy Slimは、Nina Kraviz、Peggy Gouなどを立て続けに招聘し話題となっているクラブブランドACiDがプロデュースするパーティーです。
Fatboy Slim がその地元、イギリスのブライトンを盛り上げるために手がけたBigBeach Boutiqueの動画を初めて見たのは、自分がageHaに入社する遥かに前でしたが、個人的にとてつもない衝撃と影響を受けました。もしまだその動画を見たことがない人がいたら、絶対に見て欲しい動画です。自分にとって人生を変えた動画のベスト5に入る動画です。


Fatboy Slimは2004年にageHaでプレイしたことがあります。ageHaとしてはそれ以来の縁となるFatboy Slimは今年60歳。そこに加えてDJ HARVEYの追加出演もメガトン級のニュースです。一体全体どんなことになっちゃうのか? 今からドキドキしています。



ーーこれら3つのイベントで「ageHa THE FESTIVAL」が目指すものは何なのでしょう?

ageHaが2002年末にオープンしてから現在に至るまで、会社としての組織の変遷、そしてクラブシーンの移り変わりと共に、ageHaというものもその在り方を変え、より広範なジャンルとコミュニティーを受け入れる器、あるいはプラットフォームのような存在になってきたと思っています。その意味で、初期にあったageHaの独自性は失われたかもしれませんが、今のageHaの使命、存在意義はシーンやジャンルを超えて共通する。ダンスフロアの一体感や、そこに生まれるダンスフロアの価値を守り、高め、可能性を広げていくことにあるのだと思っています。

新木場時代は、フェスをやろうと思っても出来ないことでした。会場を失ったことは本当に大きく悲しいことではありましたが、そのことによって今新しい挑戦ができることにワクワクしていますし、協力してくれる皆さんにとても感謝しています。ageHaでしか体験できなかった大箱のスケール感と。ビッグフェスでは薄れがちな一体感、パーティー感。その両方を3日目を通して体感できるようなフェスにしたいと思っていますし、そうなると確信しています。

ちなみに、agefarreは年齢制限が20歳以上なんですが、Fatboy Slimの日は未成年者でも入場できます。ageHaを体験したことない若い人たちにも僕たちが作る新しいageHaを体験して欲しいです。




ーー最後に来場するお客さん、興味を持っているけれどまだ参加を決めかねている皆さんにメッセージをお願いします。

来年のことも今年が終わってみないとまだわかりません。とは言いましたが、もちろん来年もお台場に帰ってきたいです。そのためにも一人でも多くの皆さんに参加して欲しいし、次に繋がる最高なパーティーを一緒に作って欲しいです。そして、パーティーやフェスティバルがコンサートと違うところは、何よりお客さんが主役だということです。だからこそ、協力しあって、最高なダンスフロアを作って欲しいです。

去年も昼間は日差しがすごく強かったので、今年はそれ以上かもしれません。体調管理は万全に!!天気予報しっかりチェックして、気候に合った服装で参加してくださいね!!参加を迷っている人は……迷っている場合じゃないですね(笑)。ageHaの名に賭けて、期待を裏切らないことを約束します。


 ということで、小張氏へのインタビュー、そこから垣間見えたageHaのビジョンは、これからのクラブミュージックシーン、業界関係者にとっても興味深い話となったに違いない。そんなageHaの創るフェスティバルを体験するために、クラベリア編集部もフェスに参加予定だ。是非後日レポートを楽しみに待っていて欲しい。

特設サイトでは3日間のタイムテーブル、エリアマップも公開されている。
さあ皆さん、お台場で会いましょう!!


​「ageHa THE FESTIVAL 2023」特設サイト
https://www.thefestival.ageha.com/

 

■「ageHa THE FESTIVAL」
 

DAY1「暴力的にカワイイ 2023」
日時:2023年10月7日(土)
OPEN & START 12:00 / CLOSE 20:30
会場:東京・お台場 青海R区画

詳細はこちら
http://www.ageha.com/schedule/event/?id=347726


DAY2agefarre 2023」
日時:2023年10月8日(日・祝前日)
OPEN & START 12:00 / CLOSE 20:00
会場:東京・お台場 青海R区画

詳細はこちら
http://www.ageha.com/schedule/event/?id=347068


DAY3「FATBOY SLIM LOVES JAPAN」
日時:2023年10月9日(月・祝)
OPEN & START 12:00 / CLOSE 20:30
会場:東京・お台場 青海R区画

詳細はこちら
http://www.ageha.com/schedule/event/?id=347721