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ONE-ARMED BANDIT

JAGA JAZZIST
ONE-ARMED BANDIT

ノルウェーの至宝としてその音楽史にその名を刻み、今や国民的バンドとして絶大な人気を誇るジャガ・ジャジスト。15年前に活動をスタートさせ、<Ninja Tune>、<Smalltown Supersound>からのリリースで知られるこの9人の革新的インスト・バンドは、彼ら自体がノルウェーで最もエキサイティング且つ洗練された音楽集団というだけでなく、各メンバーが異なる音楽プロジェクトに属し、北欧地域から発信される重要な音楽作品のほとんどに様々な形態で関わっていると言っても過言ではない。こうしたサイド・プロジェクトとの強い関わり合い、そして多彩な音楽スタイルとサウンドを共存させることこそが、ジャガ・ジャジスト・サウンドを決定づけるキーであり、そのサウンドをオルタナティブでオリジナルたらしめている理由である。

2001年のデビュー作『A Livingroom Hush』を発表して以来、そのユニークなサウンドとエキセントリックな世界観は多くの音楽リスナー、メディアだけでなく、The Mars Voltaのオマー・ロドリゲスを始めとするビッグ・アーティスト達からも常に賞賛を浴びてきた。トランペット、トロンボーン、エレキギター、ベース、チューバ、バスクラリネット、サックス、キーボード、ビブラホン、そして豊かな表情を見せる電子音を自由自在に操りながら、ジャンルという境界線を打ち破り、時代を超越したタイムレスな音楽、メロディックで催眠的でデリケートで巧妙なアンサンブルを生み出してきたジャガ・ジャジストは、<Ninja Tune>からリリースした『The Stix』、、『What We Must』等を経て、2010年1月に通算6枚目となる待望のニュー・アルバム『One Armed Bandit』をリリース!トータスのジョン・マッケンタイアをミキシングに迎え、エレクトロニック・ジャズ/ロック、プログレッシヴ、音響、ポスト・ロック、更にはエレクトロニカ、シューゲイザー、ブレイクビーツまで、メンバー9人それぞれの類まれな才能と技術、そして抜群のセンスで多様な要素を消化し、よりドラマティックに、よりダイナミックに、またもや新しい独自の世界観を提示する!! 
 
ラーシュ・ホーントヴェットが、新作の作曲作業に取りかかったのは2008年初頭。Øystein Moen(キーボード)とStian Westerhus(ギター)の二人を新メンバーに迎え、スウェーデンに家を借り、新作のリハーサルを行った。本作は彼ら自身による『What We Must』への回答と言っても過言ではない。『What We Must』のロック・スタイルと、『The Stix』のエレクトロニック・サウンドを含みつつ、また新しいサウンドを追い求めた姿勢がしっかりと反映された作品だ。この作品を語る上で、最も重要な楽曲は、タイトル・トラックであり、1stシングルでもある「One-Armed Bandit」。フェラ・クティのアフロビートからの影響を感じさせながらも、生み出されるサウンドは、間違いなくジャガ・ジャジストのスタイルである。ワグナー風のファンファーレとアルペジオは、スロットマシーンの音を意識している。“ワグナー・ミーツ・フェラ・クティ”風なそのサウンドは、今作全体のテーマとも言える。2008年12月、バンドは再びJørgen Træenとレコーディングをするため、Cabin Recorders(スタジオ)を訪れたが、その3週間後にJørgen Træenが病(耳鳴)でダウン。ここでジャガ・ジャジストの頭に浮かんだのは、トータスのジョン・マッケンタイアだった。彼はこの作品のミックスを引き受けるのに前向きで、2009年4月にバンド・メンバー3人がシカゴのSoma Studioを訪れ、ミックス作業が始まった。興味深いエピソードを1つ。ノルウェーのガレージ・ジャズ・バンド、ザ・シング(The Thing)がローカルのジャズ・クラブでライヴをした際、ジャガ・ジャジストはそこを訪れ、持っていったラップトップとマイクで、レコーディングをした。それがアルバムのイントロである。
 
この作品の中心にあるのは、あらゆる方向に同時に展開しながら、かなりの速度で常に前進し続ける魂だ。ジャガ・ジャジストは常に自分たちの可能性を音楽的にも、人間的にも押し広げてきた。だからこそ、彼らはカテゴライズ不能なのだ。そして、だからこそ彼らは特別な存在となったのだ。ジャガ・ジャジストは、自然で美しい。それはバンドにとっても、私たちリスナーにとっても欠かせないことである。
 
ジャガ・ジャジストはこれまでに様々なサウンドと比較をされてきた。その中には、ソフト・マシーン、エリック・サティ、ジョン・コルトレーン、チャールズ・ミンガスからエイフェックス・ツイン、ステレオラブ、スクエアプッシャー、アイソトープ217、トータスなどが含まれる。1つ確かなのは、ジャガ・ジャジストのサウンドが、それらすべての影響を感じさせるということだ。彼ら自身は、最も重要な影響として、スティーヴ・ライヒ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、フェラ・クティ、ドゥンエン、ジャン・クロード・ヴァニエ、トータス、コーネリアス、ソニック・ユース、レディオヘッド、MGMTの名を挙げている。