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StarFes'14

まさかNasが! まさかErykah Baduが! Public Enemyが! ニュースの記事を用意していて、公開後に読者からそんな反応があるだろうと想像できた「StarFes'14」が、9月20日(土)に幕張海浜公園で開催された。

会場となったのは、昨年までBig Beach Festivalで使用されていた砂浜。今年はビーチパーティーの規制も加わり、海辺で音楽を楽しむこともめっぽう少なくなったと思う中でのビーチフェスティバル。心配されていた天気も、たまに小雨がパラつく程度で夕方以降は、東京湾に沈む美しい夕日も見れるなど、なんとか持ちこたえてくれた。


Photo : Masato Yokoyama, Atsuko Tanaka, Masanori Naruse
Text : yanma (clubberia) BOREDOMSのライブが終わり、メインステージではZAZEN BOYSが、セカンドステージではVAN CLIFFE/ELLI-ROSEのパフォーマンスが始まった。会場に着いて間もなかったこともあり、両者少し見た程度だったがVAN CLIFFE/ELLI-ROSEのディスコ寄りのプレイに、早起きから間もない午前中というこもあり、眠気を少しくすぐられるかのような心地よいプレイだった。

Big Beach Festivalの会場を1/2~2/3程度にコンパクトにした規模でもやはり大きい。両ブースのちょうど中間くらいに、SEVEN STARが特別に作ったラウンジスペースがあり、こちらは喫煙スペース有り、イスやテーブル有り、DJブースありと、1日限定の海の家のような雰囲気があった。

序盤は定位置にいるというようりはブラブラして過ごし、LINDSTROMからDJ NATUREに変わり、曇り空だからこそ似合う粘度質高めのドロっとしたハウスにハラハラし、DJ KRUSHの90年代を意識したかのようなアブストラクトを中心としたセットの中にブルースやロック、そしてコンドルは飛んでいくまでミックスする、独自の解釈となるDJプレイを見せてくれた。
 


DJ KRUSHが終わり、次はERYKAH BADU。おそらくNAS以上のオーディエンスがメインステージに集まっていたと思う。バンドメンバーが先に登場し、演奏を始めるのだがいっこうにエリカ嬢が出てこない。5分経ち、10分経ち。。。ドタキャン??という言葉があの場にいた多くの人の頭をよぎったことだろう。しかし、じらしにじらされた、私たちが彼女の姿を確認した時の大歓声たるや。彼女の歌声が空気を伝わって鼓膜を振動させた時の大歓声たるやこの日1番のハイライトと言ってもいいだろう。巨大なアフロ、ド派手な衣装、横に置いてある謎の脳みそ、歌い終わる度にとる謎のポーズ。もちろん声や歌い方、立ち振る舞いに至るまでその全てがアーティストで、まるで裸の彼女自身を見せられている、ぶつけられているかのようだった。

ERYKAH BADUが終わり、暫く放心状態が続いた。なんならもう帰ってもいいとも思えるほど満たされたパフォーマンスだった。その空気を切り裂いたのがPUBLIC ENEMY。DJ LORDと生バンド、そしてChuck DのMCに気持ちが弾む。これほど踊りたくなる早いヒップホップも新鮮で、そのままNASの前に踊り納めとDADDY GのDJへ。

太陽が東京湾に沈みかけ、セカンドステージの後ろには虹がかかる。野外だからこそ実現した特別な演出を受けDADDY Gのドラムンベースをはじめとしたベースミュージックで今日一で踊った。終盤には、Massive Attack「Teardrop」をプレイするなど粋な選曲でファンを楽しませてくれた。

 
日もすっかり落ち、いよいよヘッドライナーであるNASのパフォーマンスが始まる。デビュー作にしてヒップホップ史に名を残す名盤『Illmatic』の20周年を記念した再現ライブということもあり、「The Genesis」「N.Y.State Of Mind」とアルバムどおりに始った。マイケルジャクソンの「Human Nature」と「It Ain't Hard To Tell」のマッシュアップを魅せ沸かせるなどのサプライズもありつつ、完璧なパフォーマンスは進んでいく。後半は、「HATE ME NOW」や「ONE MIC」などアルバム以外の名曲も惜しみなく披露してくれた。
ちょうど「ONE MIC」だったか、何かを歌い終わった時だったか、客側にやや背を向けマイクを握った左手を斜めに上げたNASの姿を見た時、ラッパーはマイクをもっとも美しく持つ人種なんだとふと思った。それはNASだったからかもしれないが、その洗礼された形に感動したのを覚えている。

すごく私的な経験になってしまうが、以前、タトゥースタジオでアルバイトをしていた事がある。彫師の先生は、もちろん絵が好きで絵の学校にも通っていた。でも画家ではなく、なぜ彫師を選んだのか聞いたら「自分は裸になれないないから、だから職人の道を選んだ」と言っていた。アーティストの定義は人それぞれ持てばいいのだが、この経験をしてから私の中でのアーティストの定義は「裸の自身を見せてくれているかどうか」になった。
今回、BOREDOMSの無邪気さを見て、ERYKAH BADUの歌声や立ち振る舞い見て、NASのスマートでも感情的なラップを見て、先生の言葉が自然と彼らのパフォーマンスに重なる。「STARFES.14」は、音楽的魅力はもちろんあったが、私にとってアーティストという言葉を可視化してくれたフェスだったのかもしれない。

 
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