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Ministry of Sound Year End Party

 
ロンドンを代表する世界的クラブMinistry of Soundと音楽キュレーターFreedom Musicによる豪華パーティー


「あなたにとってFreedomとは何ですか?」
 喫煙エリアで煙草のサンプリングをしていたお姉さんに聞かれて、筆者の頭に真っ先に浮かんだのは、水泳の授業の自由時間でした。
 質問から5秒くらい考えるふりをして「何でしょうね…」と濁しました。30を超えたいい大人がキレイなお姉さんに向かって、「水泳の授業の自由時間!」とは言えません。小学生の頃の自分にとっては、あの時間は本当に楽しかったんですけどね…。自分も大人になってしまったなと思いながらフロアに戻ろうとすると、ある映像が流れていました。そこにはKogoro Kurataというロボットを作っている自分よりも10は年上の人が、インタビューで同じ質問を投げかけられていました。
「モノを作ること自体が自由。無かったものを作るわけだから」
かっこいい……(少し自分が恥ずかしくなったのは言うまでもありません)。この人の物作りに対する純粋さが表れている言葉でした。この言葉を借りるとしたら、今日「Ministry of Sound Year End Party」のステージに登場するアーティストたちもモノ(音楽)を作っているわけだから、普段から自由を感じている人たちなんですね。

text by yanma
photos by Shota Kai(JAMANDFIX
 
 12月30日、場所はTABLOIDで開催された「Ministry of Sound Year End Party」は熱狂に満ちた年の瀬に相応しいパーティーでした。

 会場はコンクリート打ちっぱなしの倉庫や工場といった雰囲気だけど、壁の色や置いてあるちょっとしたものが可愛らしい。フロアは青くライティングされ、青の洞窟にちなんで青のフロアとでも言いたくなるほど。もちろん音楽に合わせて、さまざまなラインティングで空間は演出されていたので、最後まで飽きません。そして驚いたことにVJの映像は天井に映し出されている! 作り込まれた空間にロンドンのクラブってこんな感じなのかな、なんて想いを巡らせてみたり。
 
 
 このパーティーの目玉は、3組の外国人アーティスト。まず登場したのは、Tara McDonald。目を見張ったのが彼女の存在感。全身タイツ?にファーの様なジャケット。メイクをバッチリして髪も編み込んで。いわゆる奇抜。でもアーティストならこのくらいぶっ飛んでいないと、と嬉しくなります。ライブなので自身の曲を行うのは当たり前なのですが、その楽曲で彼女に関わっているアーティストを考えると超豪華。David GuettaやSnoop Dogg、Nicky Romeroなどなど。この日、パーティーが開始される前に関係者を招いてプレパーティーが開催されたのですが、そこでMinistry of Sound Japanを運営するJAXX DA FISHWORKSが彼女の声を「白人のシンガーだけど黒人シンガーのようなソウルフルな声が魅力」と言っていたこと、まさにそのまま。圧巻のライブをみせてくれました。
 
 
 ライブからバトンを受け取るのは、ダーティーディスコというジャンルをプレイするThrottle。ダーティーディスコとは何ぞや? と思っていましたが彼のDJプレイを聴いて納得。Earth & Wind & Fireといったディスコクラシックスをベース強めのハウストラックと掛け合わせた、いわゆるマッシュアップ的な手法の楽曲をよく使うのです。Dirty=汚れたとまでは言いませんが、濁した、荒々しいといった印象です。そういった楽曲の合間にTiëstoなど現行のダンスミュージックも織り交ぜるユニークなDJでした。
 
 
 目玉最後はShaun Frank and Delaney Janeですが彼らの美男美女さにびっくり。Shaun Frankは180センチ後半くらいでしょうか。一見、クールかと思ったらプレイスタイルはかなり激しく、ブースに乗ったり、マイクパフォーマンスしたり、ステージから飛び降りたりとやんちゃそのもの。ブロウステップのような、ベースやドラムがかなり激しいトラックを多くプレイして盛り上げます。15分くらいするとDelaney Janeが登場。Shaun Frankとの楽曲「Shades Of Grey」を披露。この日一番の盛り上がりをみせたでしょうか。ただ、1曲披露してステージを下りました。あれ…、トラブル? それとも、もともとその予定? なんて心配になりましたが、終盤に再び登場して約30分、会場を盛り上げていました。彼女は関係者席からTara McDonaldのライブを見ていたのですが、Taraの盛り上げっぷりに驚いていました。だからTaraのライブに触発されたのでしょう、キュートなルックスなのに激しく踊ったり、ファンにステージから飲み物(たぶんお酒)をあげたりとファンサービスもしてくれたり。最後はChinsmokersとの共作である「Closer」でしめ彼らのパフォーマンスは終了しました。
 
 
 この3組が自身や人の手によって作られた音楽(自由の象徴)で年の瀬の空間を彩っていました。いや〜、盛り上がってました!このMinistry of SoundとFreedom Musicのコラボレーションイベントは2017年も開催予定なので、今後の展開にも注目ですね。