REPORTS

「DJ RINA」
新しいことに挑戦するDJのためのプラットフォーム Red Bull 3Styleを制した新女王



取材・文:yanma(clubberia)
写真:JASON HALAYKO(
Red Bull Content Pool
 
 
「今までみた3styleの出演者で一番カッコよかったです。優勝できることを願っています」
 
 パフォーマンスを終えたDJ RINAに思わず声をかけた。文字にすると、よくこんな照れくさい言葉を初対面の人に言えたなと思ってしまうが、やはり本心であったし、彼女のプレイには心が踊った。しかし、ファイナリストの実力は均衡していた。最後の最後まで勝敗は分からなかったが、チャンピオンの発表でDJ RINAの名前が呼ばれたときは、手が痛くなるほど拍手をした。ステージ上で泣く彼女の姿に、こちらまで目頭が熱くなる。2012年から同大会を追っかけているが、こんな「Red Bull 3Style」は過去になかったように思う。
 
 Red Bull 3Style Japan Finalは10月13日に札幌KING XMHUで開催された。ファイナリストはSHOTA、MoB、A2C、RINA、TAMA a.k.a. SPC FINEST、KAZUYAの6名。この猛者どもの中からDJ RINAが勝利を掴んだわけだが、彼女のプレイはなぜオーディエンスを魅了したのだろうか?


Red Bull 3Style Japan Finalの舞台となったKING∞XMHU(キングムー)

今を表現した選曲センス

 DJ RINAの選曲センスへの評価は、現場に来ていた3style歴代チャンピオン誰もが口を揃えて言っている。
 
「今を表現しようとしている選曲がすごくよかった。ワールドファイナルを見据えてではなく、今日この日にフォーカスして、今日を一番盛り上げた。カッコ良かったし、俺は好きですね」(SHINTARO)
 
「最初のJP THE WAVYのダブでそこからCardi B、この入りがやばかったですね。あと体を揺らす系のFlipだったり大ネタ使いのFlipだったりと今のトレンドを出していた」(DJ REN)
 
「なにより選曲が新鮮だった。ソフトウェア、ギアも新しくて、すべてが新しかった」(DJ BYTE)
※DJ RINAは大会前にシステムをSeratoから一新。Pioneer DJのrekordbox DJとDDJ-XP1を導入した。
 
 これに私の解釈も述べておきたい。彼女の選曲に面白さを感じたのは、曲よりも音でグルーヴ作っていく箇所がいくつかあったことだ。これは3Styleにおいて新しかった。太鼓のソロパートだったり、笛のソロパートだったり、ときには吐息だったり。それらのソロパートを使用し、少ないエレメントでも盛り上げていく。それはトーンプレイなどのビートメイクではなく、あくまで曲のなかのシンプルなパートを使い構成に加えていること。また、DJ RINAのプレイは聴きやすかった。スクラッチやトーンプレイなどのテクニックは、適材適所に加えている。手数が増えるとクラブDJ的グルーヴが失われてしまう。スクラッチも下手をすればノイズになるし、ジャグリングもビートが少しでもずれると、受けてのリズムも崩れる。エフェクトをかけすぎるDJはかっこ悪い、それと同じだ。またアフロビートの要素を取り入れた選曲も新しかった。このチョイスは目からうろこというか、逆にいままで無かったのが不思議なくらいだ。
 
 ターンテーブルスキルでいったらTAMA a.k.a. SPC FINESTが群を抜いていた。審査員の評価も高かったし、会場を盛り上げていた。そして世界大会でも会場を盛り上げる姿も思い浮かぶ。しかし今、新しいと感じられる要素は選曲性だったのだ。
 
「私が生きるのは選曲。だから選曲で勝負したいと思っていました。3styleといったらこの曲、このテクニックのように、傾向って固まってきていると思ったので、クラブで出会うかっこいい曲を3Styleを通じて届けたい、勝負したいと思ってました。」(DJ RINA)
 
 ここ数年、クラブスタイルのDJプレイが3Styleでは評価されている傾向にある。その要素に持ち時間15分という3Styleならではの制約がある。この15分という時間は出演者にとってどのような時間なのだろうか?
 
「スキルも見せつつプレイできる、ちょうどいい時間だと思う。詰め込みすぎると後半ダレるから、理想は階段を登るようにどんどん積み重ねて、最後まで駆け抜ける。スキルと選曲のバランスを考える、そして人の心をどうやって動かせばいいのか?ということも考えてプレイしないといけないんです。」(SHINTARO)
 
 世界大会はポーランド・クラクフで開催される。DJ RINAは「世界大会では守りに入っちゃうかもしれませんよ〜」と笑いながら話していたが、きっとそんなことはない。DJ RINAは新しいことに挑戦するDJであるし、Red Bull 3Styleはいつも新しいことに挑戦するDJを評価してきた場だからだ。
 
「世界の舞台を楽しみたいという気持ちもありますが、どうやって勝負していくか、これからまたストイックに追い込まないといけないですね(笑)。日本の代表はみんなイケてるねって言われるように全力で頑張ってきます」(DJ RINA)
 
「世界でもやっぱりあなたが一番カッコよかったです。」とまた言わしてくださいDJ RINAさん!


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