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タイ屈指のフェス「Wonderfruit 2018」体験記

取材・文:下山光順
写真:Wonderfruit


音楽を聴くことよりも、体験そのものを最大の魅力とするフェスティバル
 
 会場にたどり着くなり圧倒された。あの場所はどこだったのか。多様の人種が入り乱れ、無数の言語が飛び交うダンスフロア、広大な敷地に点在する多彩なステージ、どこを切り取ってみてもタイのフェスティバルに来ているという実感が持てない。「Wonderfruit」今年で5年目を迎えるというこのフェスティバルには、そんな開放的な空間が存在していた。
 
 4日間続くこの祭典は入念に作りこまれ、理想をそのままを表現したような集合体に映った。だからこそ世界中から集まる約1万7千人の来場者がWonderfruitという町に移住してきたかのように感じられたのかもしれない。音楽を聴くというよりも、体験そのものを最大の魅力としているのがWonderfruitなのだろう。
 
 



 
 主催者のピートとジェイが快くメディアの取材に答えてくれる時間があった。彼らは、Sustainability-持続可能性、Reusability-再利用性、つまりは環境に配慮した方法をもってフェスティバル運営がなされていることを強く訴えかける。そして、その中でのフェスティバルの体験、強いてはライフスタイルを提案する姿勢がそこにはあった。紙コップを排除しようと、ステンレスのコップを買い求めてもらう用に促しており、そうすることで毎回約50,000個ほどの紙コップを無駄にせずに済んでいるという。
 
「ヘッドライナーを見に来るためのフェスティバルじゃない。」ピートはこのように訴えかける。日本からも多くのアーティストをブッキングしていることからも分かるように、すでに知れ渡たり、みんなが望むDJや音楽よりも届けたいものが彼らにはある。そんな強い信念を感じられた。



 
 会場の中央に位置しているSolar Stageの最終日にはCraig Richardsが登壇。覚め切らない夢を見せられているかのように、みな踊り続ける。「オーディエンスのエネルギーでフェスティバルが成り立っているんだ。」目の前の熱狂に主催者のその言葉が思い出された。夜明け朝日も、晴天の空もすべて微笑みに換わってしまうような空間がそこにはあった。太陽が昇り切ったころ4日間の理想郷は幕を閉じた。
 
 この体験からアンダーグラウンドとされている音楽を耳にして、タイの若者は何を思うだろう? 今後タイの音楽シーンにWonderfruitのエネルギーは循環するだろうか。自国のクラブカルチャーが発展することに願いを込めて会場を後にした。
 
 Air Asiaでのフライトは格安航空にあるような不自由さはなく、特にバンコクのドンムアン空港での手続きや移動はシンプルだ。成田バンコク間の距離は思いのほか近く感じられるだろう。また空港から会場まではタクシーで約2時間。Wonderfruitは来年の開催もすでに発表されている。日本の冬の寒さを避けて年末はタイに行くのもいいアイディアではないだろうか。






 
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