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OUT PUT / Manami Sakamoto - vol.1
「ダンスミュージックとVRの可能性」

Clubberiaをご覧の皆様、初めまして。
今回からコンテンツに参加させていただきます。Manami Sakamotoです。

VJ MANAMIとしてクラブやフェスティバルなどでVJをさせて頂いたり、色々なイベントへ映像を作って提供させていただいたりしています。興味がありましたら、詳しくは記事下プロフィールを見ていただければ嬉しいです。

近年、クラブやフェスティバルなど、ダンスミュージックシーンにとっても映像が与える効果の比重は年々大きくなっています。
クラベリア編集部の方から音楽・照明と並ぶ大事な要素の1つであることを受け止め、映像を軸に色々お話してもらえればとのありがたいお話を頂きましたので、色々な表現方法や取り組みなどをご紹介していければと思っています。

また、普段たくさんの方々とお仕事をさせて頂く機会も多く、それぞれの価値観や表現についての考え方を伺う機会も多いので、自分自身のアウトプットだけでなく、色んな方々のアウトプットも共有していける場所になるといいなと思っています。

さて第一回目は、先週行われた名古屋発オンラインリレー式ダンスミュージックイベント「SWITCH」にて行われたVR配信についてのレポートです。

VRとは?
“VR=Virtual Reality(バーチャルリアリティ)”という言葉自体は、皆さん最近特に良く耳にする言葉だと思うのですが、実際のところ何がVRなの?と思う方もいらっしゃると思います。

一言でVRといってもその中にも色々なケースがあるのですが、世間一般ではVRゴーグルやスマホアプリを使用して仮想の空間がそこにあるように感じられるシステムのことを指します。
目の前に仮想世界の映像が見え、左を見れば左が見え、上を見れば上が見え、自分自身が仮想の空間の中にいるような感覚を得られます。
実際にはないものを、あたかも現実にあるかのように体験できるテクノロジーです。

映画「READY PLAYER ONE(レディプレイヤー1)」の世界ですね。 


しかし、仮想現実という広い意味でのVR表現はたくさんあり、様々な取り組みが世界中で行われています。


ダンスミュージックシーンとVR
普段私たちがいるダンスミュージックシーンにもVR表現を取り入れているイベントがたくさん出てきました。

VRは大きく分けて視聴型と参加型の2種類があり、視聴型は仮想空間の映像を見て楽しむパターン。参加型はゴーグルやアプリなどを使用して実際に仮想空間内を移動したりできる体験型パターンです。

映画を見ている時とゲームをしている時の感覚の違いというとしっくりくるかもしれません。

視聴型を最近の例であげると、オランダ発のテクノミュージックフェスティバル 「Awakenings Festival2020」のOnline weekenderや、圧倒的な世界観で有名な 「Tomorrowland2020」(こちらは7/29~8/12までアーカイブ視聴が可能)などです。

Awakenings Festival 2020 Online weekender
 

Tomorrowland Around the World : Charlotte de Witte(Teaser)
 
参加型を例にあげると、世界各国で人気のゲーム「Fortnite(フォートナイト)」内でラッパーTravis Scottが開催したLIVEイベント「Astronomical(アストロノミカル)」や、世界最大の音楽フェス「Glastonbury(グラストンベリー)」の一部エリアがバーチャル化され、様々なアート作品の展示やCarl Cox、Fatboy SlimやPeggy Gouら人気アーティストが登場した 「Lost Horizon(ロストホライゾン)」など。

Travis Scott and Fortnite Presents : Astronomical
Fortnite内でTravisのLIVEに遊びに行き自身のキャラクターを移動させながら好きな視点でLIVEを楽しめた

   
Lost Horizon Festival
ユーザーが自身のアバターを作成し参加しバーチャルLIVEを楽しめた


それぞれの世界観で作り出すバーチャルな世界へ国境や年齢関係なく遊びに行けるのが、バーチャル世界の醍醐味です。


前置きが長くなってしまいましたが、話を戻して今回オンラインイベント「SWITCH」にて視聴型VRを取り入れる企画の発案者兼VR開発をされたSYMBIOSIS INC.代表の中市好昭さんにお話しを伺いました。


Manami (以下M) : まず簡単に中市さんの自己紹介をお願いします。

中市 (以下N) : クリエイティブエージェンシー、SYMBIOSISの代表を務める中市です。映像全般の企画、演出、制作業務を手がけ、クリエイターマネジメントなども行っています。5年ほど前まではVJとして、Ultra Music FestivalやEDC、ZOUK OUTなど出演し、WOMB ADVENTUREでの映像演出なども手がけておりました。

M : 今回のイベントを企画したにあたっての経緯を教えてください。

N : 4月、名古屋のJWD event managementの山崎さんから連絡があり、オンラインイベ ントに企画性を持ちながら実験的に開催したいとの相談があって、スタートさせました。まず企画内容として、名古屋発信とドネーションを兼ねたイベントを計画したのですが、途中緊急事態宣伝が解除され、リアルイベントも再開するという流れにもなり、結果として名古屋の老舗クラブの4店舗(JB'S,MAGO,VIO,X-HALL)で行い、DJは全編JWDに所属するWATARU君で開催する事になりました。

M : 何故今回VRを取り入れたのでしょうか?

N : オンライン配信が軸だったので、普通のDJ配信イベントではリアルとの差別化が測れない事もあり、オンラインでしか出来ない事を提案しました。グリーンバックでのVJ合成やメジャーアーティストなどの配信VJもやりましたが、時代がドラスティックに変わる、「新しい世界や価値観」などを表現するには、VRのカタチが自分なりに最適だと思い取り入れました。

実際に行われたVR配信の様子。VJもkezjo村上と担当しバーチャル内に配置されたLEDにリアルタイムでプレイ。

M : VR表現の魅力を教えてください。

N : VRといっても様々あるのですが、例えば近い将来、リアルとバーチャルの垣根がなくなると考えています。VRは人間の感性を揺さぶり想像を掻き立て、新しい生き方や可能性、カルチャーやルールが生まれるような「期待感」を感じさせます。昨今、暗い話題や先々への不安を感じている中で、VRという未来が新しい何かを運んでくれるような、そんなワクワク感というのが、人間の生きる糧ややりがいに繋がっていくのではないかと思います。

実際の現場の様子。 グリーンバックで撮影したものをPCに取り込みソフト上でリアルタイム合成している。

M : リアルとバーチャルの垣根がなくなるとは具体的にどんなことですか?

N : 例えばバーチャルで自分が行動した履歴がリアルに反映されていたり、また逆もしかり。バーチャル渋谷で買い物をしたら、後日リアル渋谷から届いたり。今は既にありますが、バーチャルでUBER EATSしたらリアルで届いたり。リアルな世界で良い事をするとバーチャルでポイントがついたり、ステータスポイントみたいな?ものがバーチャルで反映されたり。

例えば自分だけのバーチャルコミュニティを形成すれば、リアルにもコミュニティ、サロンのようなものが形成されたり。リアルで服を購入すると、バーチャルアバター用の同じ衣装が着せ替えられたり。

あげたらもっと沢山出てきそうですが、エンタメだけでなく、新しい生活の在り方や、経済、仕事が生まれる可能性もとても高いと思います。コミュニケーションの形も大きく変わる。

M : 今回が第一弾のテストケースでしたが、やってみて感じたこと、見えたことはありましたか?今後の開発や方向性はどのようにしていきたいですか?

N : 僕達が一旦目指している方向性は、最高のエンタテイメントです。まずはそれを目指しています。しかし、見る視聴者によりダイレクトに届けるためにはリアルと同等、もしくは超えていく仕掛けが必要だと思います。

例えばあつ森(あつまれどうぶつの森)や、Fortniteのような、ゲームの中のバーチャルな世界にコミュニティがあるように、音楽シーンやエンタメシーンにもコミュニティを常に取れるような場所があり、その中に様々なクラブやフェス、パーティがあってもいいかも知れません。

今は沢山のコミュニティがあって、みんなが居心地の良い環境を選び、日々を楽しむ事が当たり前になっているので、その選択肢としてナイトクラブのバーチャルタウンがあるようなプラットフォームがあったら面白いですよね。そこもリアルと繋がっていて。

人が集まれば新しいものや価値観だってより多く生まれる。それがピュアにカルチャーを形成するプロセスに繋がっていくのではないでしょうか。最終的な方向性としてはそこですねかね。プラットフォーム作り。

M : 私自身よくいただく質問なのですが、例えば2年後に今の状況が落ち着いてリアルの世界が戻ってきたときにバーチャルとリアルの表現はどうなっていくと思いますか?と。中市さんの考えを教えてください。

N:リアルに出来ない事をバーチャルでやるというのが基本的な考え方なので、両方とも立つんじゃないでしょうか?例えば東京のクラブでリアルに行われている事をバーチャルで配信したとして、それを誰に届けるか。例えば地方に住んでいて参加できない人達、例えば世界中の人達に東京のナイトカルチャーを体験してもらえたり、それってオンラインならではですよね。それをバーチャルで没入感やリアリティを用意してあげる事で、よりファンになる、みたいな事の一助にはなると思います。

リアル、バーチャル、どちらがメインかということではなく、どちらもパーティを表現する為のツールとして機能する。そんな時代になりえますよね。

M : 最後に一言あればお願いします。

N : 自分の今までの仕事や行動が、コロナによってより明確に次へのステップへと導かれているような気がしています。今回取り上げていただいた事はほんの一部で、新しいカルチャーを作るための仕掛けを作っています。様々なクリエイターや業種の人達と意見交換しながら世界標準のコンテンツを作れるように進んでいきたいので、もし興味があれば是非一緒にカルチャーを作りあげていきましょう!!


中市さんのお話にも出ていたように、リアルとバーチャルの垣根がなくなりつつある今、 新しいエンターテイメントの形の1つとしてVRを今回はご紹介しました。

リアルとバーチャルが共存していく世界、未知数な分可能性も無限大にあります。

今年4月に中止発表がされたアメリカ・ネバダ州の砂漠で毎年開催されるアートの祭典 「Burning man(バーニングマン)」もオンラインフェスティバル「Virtual Black Rock City」として開催されることが発表されたり(内容はまだ未定です)、今年はバーチャルフェスティバルやイベントがまだまだ増えていきそうです。

場所や国境、年齢、キャパシティなど制限がない分、演出もリミットがありません。バーチャルな世界もこれからのニューノーマルなエンターテイメントの楽しみ方の1つとしてより深く根付いて行くのではないのでしょうか?



Manami Sakamoto / VJ MANAMI

「Awakenings Festival」(Amsterdam)、「NOT YET FREE」( New York )、「Zouk Out」(Singapore)等海外での様々なフェスティバルにVJとして出演。国内では「Fuji Rock Festival」にVJで出演すると共にFuji Rock Festival”19のコンセプトビジュアルを担当。「Summer Sonic」、「Ultra Japan」、「MUTEK . JP」などのフェスティバル、都内クラブイベントにも出演している。

BerlinのアートプレイスSpreeでのインスタレーションビジュアル展示、テクノDJ Joris Voornのツアービジュアルのデザイナーとして参加するなどアーティスト活動でも精力的に活動しFENDI、DIESEL RED TAG x A COLD WALL等ファッションブランドなどにも映像作品を提供。
GRADATION代官山で行われたアートフェアイベントにて可動式LEDと照明、音楽、映像が同期したAVインスタレーション「Dot by Dot」を展示した。

ジャンルや枠にとらわれないボーダレスな世界観、VJならではの空間演出されたデザイン性の高い映像が評価されている。