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OUT PUT / Manami Sakamoto - vol.2
「ARエンターテイメント」Interview - REALROCKDESIGN

Clubberiaをご覧の皆さま、こんにちは。

毎日とてつもない暑さですがいかがお過ごしでしょうか?

さて、初回の記事は“VR=Virtual Reality(バーチャルリアリティ)” についてご紹介をさせて頂きました。
VRの話になった時によく一緒に語られる事が多いもので、ARと呼ばれる技術があります。

第2回目は、そんなARについてご紹介できればと思います。

ARとは?VRとの違いは?
ARは“AR=Augmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ) ” の略で、一般的に「拡張現実」と訳されます。
VRは、現実とは全く別の仮想空間を作り出すのに対して、ARは現実の世界の中にCGなどで作るデジタル情報を加える技術です。仮想空間が主体のバーチャル表現 =VR、現実の世界が主体のバーチャル表現 =ARがこの2つの大きな違いとなります。
ARと聞くと、特に印象が強いのが世界中で大流行したゲームアプリ「Pokémon Go」や「ドラゴンクエストウォーク」などではないでしょうか?リアルの世界に、人気キャラクターが現れPLAYできるのでゲームに対する没入感がより感じられ子供だけでなく大人も巻き込んでの社会現象となりました。

Pokémon Go


ドラゴンクエストウォーク


またより身近なものとして、近年ではInstagramやSnowなどのSNSでもフェイスフィルターと称して気軽にARが楽しめるシステムが提供されています。(こちらはやる気になればオリジナルのARフィルターが作れたりもします)


 
また、様々な企業でもAR技術が取り入れられ更に質の高いサービスが提供されています。
部屋の映像の上に購入を検討する家具の映像を重ねて、部屋とのマッチングを試せるIKEA Placeや、スマホのカメラを向けるだけで、CGのスニーカーが足に重なり実際に履いた時に近い感覚を試せるGUCCIのアプリなど。
海外通販でしか手に入らなく現地での試着が難しいときや、高額なので特に念入りに検討したいときなどとても便利です。


IKEA Place


GUCCI アプリ


ミュージックエンタメとAR
ミュージックエンタメシーンでもARの表現は近年積極的に取り入れられています。
例に挙げると、PerfumeのCoachella2019でのLIVEやeスポーツ(ゲーム界のオリンピックのようなもの)の世界対戦のオープニングセレモニー内で韓国発4人組POPグループBlack PinkがK/DA名義で披露したAR LIVEなど

Perfume - Live at Coachella 2019


POP/STARS - Opening Ceremony Presented by Mastercard | Finals | 2018 World Championship

(余談ですがこのAR LIVEでパフォーマンスしたK/DAはLeague of Legendsというオンラインゲーム内の特別ユニットでミュージックビデオ内のキャラクターはUK発バーチャルバンドGorillazのデザイナーがデザインしてたりします。)


また先月、カナダ建国記念日を祝して毎年行われる”Canada Day”内でのAvril Lavigneのショーでは初回でご紹介したVR技術との組み合わせでARコンサートが行われました。

Avril Lavigne - We Are Warriors 2020(Canada Day)

毎年行われるCanada Dayは、カナダを中心に活躍するアーティストを集結させ行われるショーだが、今年はコロナパンデミックにより移動できないアーティストを遠隔で撮影し、モントリオールにあるスタジオにてAR技術を使用して実際のステージ照明、セット、ビデオプロジェクションを使用し再現された。観客はバーチャルで作成され観客席内にマッピングされている。



そんなミュージックエンタメシーンに長く携わりクラブでのVJとしても活動してきた中、ダンスミュージックの配信イベントへもいち早くAR技術を取り入れたREALROCKDESIGN代表、千葉利之さんにお話を伺いました。

Manami (以下M) : まず簡単にREALROCKDESIGNと千葉さんについてご紹介お願いします。

千葉(以下C) : REALROCKDESIGNはクラブでのVJのほかに、映像制作やグラフィックデザイン、照明演出などのさまざまなクリエイティブを手掛けているデザイン会社です。DJのSatoshi OtsukiやKikiorix、レーザーアーティストのYamachang、VJのComboyといったダンスミュージックシーンでも活動するアーティストたちも所属しております。スタッフ一同、さまざまな視点から一緒に発信を続ける特徴的な会社です。僕はその代表をしています。

M :リアルロックさんが、初めてARを導入したのはRainbow Disco Clubが今年4月に行った動画配信イベント"somewhere under the rainbow!"でしたよね。
当時、コロナがまだ日本でも流行りだした頃で多くの人が混乱している中、いち早く配信イベントでARという技術を取り入れダンスミュージックシーンを盛り上げようと取り組まれた姿が印象的でした。
まず何故ARという表現を取り入れようと思ったのでしょうか?

C : 大きく2つあったと思います。ひとつは、映像クオリティーが高く無料で見られるDJ配信サイトが多くあるなかで、どうしたら有料のチケットを買ってもらえるか? もうひとつは、収録・配信だからこそできる表現は何か?これらを考えた結果です。

たとえば、超絶景のロケーションで世界的DJがプレイしている映像を鮮明に映しYoutubeで無料配信しているCercleがありますが、あれと同じことをしても意味がない。映像の鮮明さ、さまざまなカメラアングル、音質といったリッチ感やリアルさに力を注いでも、お金をもらうことは難しいだろうと思いました。じゃあ、どうする?ってことになるのですが、今回のRDCは、収録した映像を使用するという制約があったので、その制約を活かすとしたら、編集だろうと。何か人為的に手を加えて作品性を高めようという方向性が見えてきました。事務所で意見交換をしているときに、REALROCKDESIGNでグラフィックデザイナーとして活躍してくれているKikiorixが「グラフィックやモチーフを登場させてもいいかもしれませんね。RDCのテーマがBeyond Space and Time.(時空を超えて)なんで」とポロっと言ったときに、一気に視界が開けました。リアルでは起こり得ない世界を作ろうと。
その後、共通言語である同じ音楽のシーンの中で共に磋琢磨してきた盟友のCosmic LabとARの共同開発を始め、現在に至ります。



12時間に及ぶ配信内で美しい伊豆の景色にプラスで突如現れるAR。
レジデントDJとして携わりながら、グラフィックデザイナーとしてRDCのアートワーク全てを手がけるKikiorixのグラフィックやRDCにまつわる様々なモチーフが空間内に現れパーティの世界観を表現。
ARは収録時リアルタイムで生成されフレキシブルに変化。時には時空を飛び越え完全なバーチャル空間に瞬間移動するようなシーンも。見ているものを飽きさせない演出だった。


M : AR表現の魅力とはなんでしょうか ?

C : 繰り返しになりますが、リアルではありえないことが起こせることですね。向こうの世界をこちらの世界に召喚できる、もはや魔法ですよね。

M : 先日のJP THE WAVYの配信LIVEも拝見しました。空中に浮かぶ素材の豊富さやカメラワークの同期など演出内容が更にパワーアップされ短期間でのアップデートのスピード感に驚きました。このLIVEのような大規模なセットに沿ったARは勿論、伺ったお話では、既にケータイベースでARが楽しめるアプリやVJソフトのようにPC1台で完結できるARシステムも作られているとのことですがそこまで幅広いユーザー層に向けて開発をされている理由はなんでしょうか?

C : デジタル技術の良さって廉価版が比較的簡単にできることだと思います。お金がある人たちだけが、扱える技術じゃないのがいいですね。僕たちはクラブから叩き上げられたタイプのチームなので、やっぱり最終的にはクラブカルチャーに還元したい。VJや箱の人たちに興味を持ってもらって簡単に導入してもらえる環境は作りたいと思っているからです。

JP THE WAVY  : LIFE IS WAVY VIRTUAL SPACE TOURS - Dijest

演奏される各曲のイメージに合わせ現れるCG、カメラワーク、照明の全てが連動されショーケース化されたシステム。曲への没入感をより増幅させた配信LIVEとなった。



PCとカメラ1台ずつのみで扱える簡易的なARシステムも。
こちらはより直感的にARシステムが触れるのでVJライクな作りの印象


M : 差し支えない範囲で今後の開発や方向性はどのようにしていきたいと考えていますか?

C : 問い合わせが多くて、今、僕たちが作っていることを説明するのに時間が割かれているんですけど、いろんな人がこんなことはできるの?といい意味で無茶難題を言ってくれるので、少し落ち着いたら、とりあえずは検証の日々ですね。乞うご期待です。

M : 少しだけ話が逸れてしまいますが、ARは勿論、VRやXRなど最新のバーチャルテクノロジーが急速に進化しているのを感じています。普段、私たちがいる音楽業界においても以前よりもグッと浸透してきました。

好意的なご意見もあればやっぱり生の現場が一番という声も同じくらいいただくことが多かったりもします。どの意見が正解とかもなく、私たちに今一番必要なものってニューノーマルな環境に慣れていくマインドチェンジなのかなとも思ったりもするんですが、千葉さんが考えるリアルとバーチャルの1番良い共存方法とはなんだと思いますか?

C : 別物と考えることですね。DJカルチャーで言ったらアナログとデジタルどちらが優れているかで議論しても決着がつかないじゃないですか?それと同じ印象です。それぞれに良さはあるから。

今、世の中的にはバーチャルな世界や環境が求められているけど、人々の欲求ってフィジカルなものに向いているはずです。僕も、久しぶりにクラブでマスクを取って思いっきり遊びたい。コロナが落ち着いたときに「フィジカル最高!」ってなると思いますけど、カウンターカルチャー的にバーチャルで、すごい技術が出そうだなって楽しみにしています。僕が小さかったころより、面白い時代に生きてるなって思います。

M : 最後に一言あればお願いします。

C : ダンスフロアでREALROCKDESIGNが関わった技術で、みなさんが盛り上がってくれる光景を早く見られたら何よりです。


どんな状況でも「まず楽しむ」という一番根本の考えの大切さを改めて学んだ気がします。
長くパーティシーンに携わってきたREALROCKDESIGNだからこそシーンへと還元したいとポジティブに最新テクノロジーの開発に取り組まれる姿が勉強になりました。

VRとはまたいい意味で全く異なる表現方法なので、こちらも可能性は無限に広がっています。
渋谷にあるオフィスでは、常にARシステムの見学も受け付けているとのことで興味のある方は是非コンタクトしてみてください。