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KoyasのCultivate the Music - vol.3
JEFF MILLS presents PLANETS The Celestial Body Installation
60chを超えそうなマルチチャンネル・サウンドインスタ レーションの舞台裏に迫る


 

 しばらく間が空いてしまいましたが、僕は現在11/30-12/2にかけて開催されるTokyo Dance Music Eventの準備の真っ最中です。昨年は僕がオーガナイズしているAbleton Meetup Tokyo がプログラムで参加しただけでしたが、今年は縁あって運営もお手伝いしています。ダンスミュー ジックをただ踊るのではなく文化的な側面からとりあげよう...というこのイベント、Clubberiaもオーディオション企画などでがっつり絡んでいます。この手のイベントは最近海外で増えて来ていて、オランダのAmsterdam Dance Eventなども有名です。

 今回の記事はこのイベントの中で行われる、Jeff Millsがオーケストラと共演したアルバム”Planets”をマルチチャンネルのサウンドシステムで再現しようというサウンドインスタレーションについて取り上げます。 まずはこのインスタレーションがどのようなものなのか、拙文より引用します。 


この天体と名付けられたサウンド・インスタレーションでは、スピーカーを多数使用し たマルチチャンネルのサウンドシステムを使用して、伝統的なクラシック音楽と宇宙的なデトロイトテクノを高いレベルで融合させたJEFF MILLSの最新作”PLANETS”を再現する。

そのチャンネル数は40CHにも及び、楽器の配置も実際のオーケストラに添ったものとなる。その空間の中に電子音用のスピーカーが配置され、TR-909のキックやライド・シンバルを奏でる。ビジターはこのスピーカー群の中を歩くことができ、指揮台に登って指揮者の聞こえている音を聞いたり、特定の楽器に集中して音を聞くことができる。 
 

 ここでは控えめに40chと書きましたが、現状では使用するスピーカーが60chを超えそうで、かなり大掛かりなマルチチャンネルのインスタレーションです。このマルチチャンネルはサラウンドのように周囲を囲むのではなく、1本のスピーカーに1つの楽器を割り当てるといった考え方でスピーカーをアサインしていきます。今回はJeffから提供された実際のオーケストラの配置図にそってスピーカーを配置し、そのシステムでオーケストラを再現しようという試みです。 ただ、オーケストラを再現しても面白くありません。このインスタレーションでは中を歩きまわれるようにして、指揮者やJeffの立ち位置でどんな音が聞こえているか、そういった楽しみ方もで きるようになります。普通はオーケストラが演奏している中を歩き回ることなんかできませんからね。 僕もこんなクレイジーな企画を手がけることはそうそうないので、その舞台裏をいろいろな形で発信して行きたいと思います。

 この企画の始まりは、TDMEの運営チームでの企画会議の時に、プロジェクトマネージャーからぼそっと「Planetsをマルチチャンネルで聞きたいな」と出た発言でした。その後、別の人が Sympho Canvasの写真を出してきたところ、僕もよく知っている場所だったのでそこから話が動きだしました。

 このSympho Canvas® は新木場の秘密基地のような空間にあり(現在では一般公開していません)、宮本宰さんというPA業界では大ベテランで、現在もヒビノ(株)の顧問を務めている音響の大家と言える方が手がけています。 僕も何度か行ったことがあるのですが、これは最初に行った時の写真です。 



 部屋の中に無数のスピーカーが立ち並び最初は倉庫かと思いましたが、デモを聞いてみると音場にぶっ飛ばされました。1つ1つのスピーカーは小型でそんなに音量を出していないのですが、 Sympho Canvasは部屋全体から音が出ているような感じでかなりの音量感がありました。

 その後Sympho Canvasはトップ画像のようにスピーカーを塗り替えたりして、現在の見た目は倉庫感がまったくありません。
 Jeff Mills “planets”は、本物のオーケストラの演奏とTR-909やシンセの音が絡み合って構成されているので、Planetsを聞くなら確かにこのシステムしかないわけです。

 後から言知ったのですが、こういうのをアクースモニムというそうです。ただ、アクースモニウムと違うところは、無指向性のスピーカーを多く使っているところです。普通のクラブにおいてあるスピーカーは音を前に飛ばすため、指向性を持たせて設計されているのですが、このスピーカーは全体に音を広げるように設計されているので、部屋全体が鳴っているかのようなサウンドになるわけです。 また、アクースモニウムと違うところは、スピーカーが立ち並ぶ中を歩き回れるところ。フュージョンのデモは、ドラムセットの前に立つと遠くでギターの音が聞こえたりして、まるでステージ上を歩き回っているかのような体験ができます。 



 TDMEでもスピーカー群の中を歩きまわれるようにしますので、指揮者の立ち位置やJeffの立ち位置などいろいろな場所で音を聞いてみてください。逆に遠くで見ているだけだと面白くないですよ!



 さて、このインスタレーションにおいて重要なのはサウンドシステムです。この特徴的なスピーカーは、AgehaやVentのスピーカーを手がけたTaguchiによるもの。Taguchiはクラブ向けのスピーカーだけでなく、店舗やお寺などの設備用スピーカーやスタジオ用のスピーカーも手がけていて、 木工の仕上がりが美しいのが特徴です。特にモニタースピーカーはライブする時に音が取りやすい とても優れたスピーカーです。TaguchiはSympho Canvasと同じ敷地内にあり、Sympho CanvasのスピーカーもTaguchiによるものです。 



 このインスタレーションで主に使われるスピーカーはREXと呼ばれる筒型のもの。REXはこのユニットを上に向けていて、その上にある円錐型のディフューザーで音を拡散しています。また、ユ ニットは通常すり鉢型になっているものが多いのですが、このREXはフラットな形状のものを使用しています。

そのおかげでREXはクリアなキャラでありながらも指向性がないので、ふわっと包み込まれるような音場を作ります。レストランとかにも向いていますが、サブウーハーを足すことで小部屋でアンビエントがかかるようなパーティーにも使えます。 


 
 写真中央にある背の高いスピーカーは通称Micro Array(マイクロアレイ)。フェスなど大規模なコンサートではラインアレイというスピーカーを釣る方法で効率よく音を飛ばしますが、これはそのラインアレイを極小サイズにしたもの。Planetsのインスタレーションでは、こういった指向性のあるスピーカーも組み合わせて音場を作ります。 



 木工の仕上げが美しいLB300。スピーカーのユニットがフラットな形状で、スピード感のある正確なモニタリングができます。実は僕も新木場でマスタリングなどの作業をさせてもらうことが あるのですが、このLB300で作業するのが一番やりやすいです。 



 ”Planets”のインスタレーションでは、まだまだいろいろなスピーカーを使うのですが、中でもインパクトあるのは機雷という愛称を持つ12面体スピーカー。見た目も重そうですが実際に30kgを超える重量です。これは”Planets”にあいそうということで見た目で選んでいます。笑

 さて、ここまで機材面からPlanetsを紹介して来ましたが、単なるオーケストラの再現ではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。
 まだまだ話は尽きないくらい長いのですが 笑、次回はこれらのシステムを駆使して音響空間を作り上げるエンジニアを紹介して行きたいと思います。 



 最後に僕がオーガナイズしているAbleton Meetup Tokyoが、2周年を迎えて10/20に恵比寿のTimeout Cafe&Dinerでアニバーサリーイベントを開催します。 2周年記念のトークセッションは、Hiroshi WatanabeさんとInner Scienceのお二方をお呼びして、このクラベリアのコラムでも活躍しているDachamboのCD HATAさんがモデレーターとなり「どうやって曲を作ってる?」とそのものズバリなお話を伺います。 そのほかの出演陣も豪華で、Ableton認定トレーナーになんでも質問できる「Ableton駆け込み寺」 も開きますので、お時間ある方は是非お越しくださいませ! また、クラベリアでもアーカイブ動画が公開される予定です。現場の方が楽しめると思いますが、都合がつかず来れない方はこちらの公開をお待ちください。

 
Ableton Meetup Tokyo Vol.15 2nd Anniversary 2017年10月20日 午後6時開場
会場:TimeOut Cafe & Diner http://www.timeoutcafe.jp

料金:2000円/学生は無料(入り口で学生証を提示)

出演者
Talk Session: 「どうやって曲を作ってる?」
Hiroshi Watanabe, Inner Science Moderator: CD HATA

Presenters:
Josh Bess (Ableton認定トレーナー) 「デジタルでできた音楽にアナログシンセで質感を加えよう」 “Adding Character to Your Digital Music with Analog Synthesis”

TATEYAMA a.k.a DJ ULU 「ミニマリズム」

特別企画「認定トレーナーに聞け!Ableton駆け込み寺」 住職:森谷 諭

MC : CD HATA & 蜻蛉
DJ : akg+, Matsusaka Daisuke

Facebookイベントページ
https://www.facebook.com/events/118790458821188/ 

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