INTERVIEWS

Jonas Kopp

すべての始まりは、父が僕に80年代のディスコやファンクミュージックを聴かせたところからなんだよね。
それから12歳のときに父は僕にクラフトワークのアルバム「Trans-Europe Express」を聴かせてくれた。これはその後の僕の人生に影響するとても大きなできごとだった。その後はもっとディープなスタイルの違う音楽を掘り始めて、アシッドハウスやレイブミュージックに出会い、15歳のときにはすでにシカゴサウンドの熱心なファンになってたよ。 世界中の音楽から影響を受けて僕は音楽制作を始めるようになったんだけど、それらの音楽は僕にたくさんのアイディアをもたらしてくれたし、継続して音楽を続けていくためには必要不可欠なものだったと思うよ。
それに僕は独学で音楽を学んでいったんだけど、それを手助けしてくれたのは、いくつかの雑誌やデモのソフトウェアだった。1999年から制作をやり始めたんだ。僕が19歳のときからだね。僕は今29歳だからかなり昔の話になるけどね。 僕のトラックは全部ユニークだし、それぞれが異なる要素を持っていると思っている。曲ごとにその重要な要素は異なっているしね。大事なのは音楽制作する際、どのように頭の中のアイデアを音楽として表現してくか、その方法を自分でよく知っているかだと思うね。そしてもっと大事なことは音楽を聴いてくれた人に、そのアイデアがちゃんと伝わっているか、それを意識しているかどうかだと思っている。 プログラミングを始めるパートはドラムとベースからだね。僕はまず間違いなくそこから音楽を構築していく。最初にいいリズムパートを構築できたら、その後のコンセプトを締めくくっていく作業がとても楽になるんだよね。 僕はいつもソフトウェアで制作しているよ。数年前にソフトウェアで音楽制作する方法を学んだんだけど、そのときはハードウェアのシンセも何台か持っていた。だけど結局は音楽制作するにはソフトウェアがベターだという結論に達した。アイデアをアウトプットするときに、スタジオでいちいちケーブルを繋いでセットアップしていかなくていいし、最近では世界中を飛び回るようになってスタジオに長時間こもる時間もないから、僕はソフトウェアを使うことでダイナミックに音楽を制作することができるようになった。 僕は大きなモニタースピーカーが好きなんだ。低音の振動を身体で感じることができるからね。僕のトラックがよりよくなったのは8インチのモニタースピーカーを導入してからだと思うよ。 僕は何かしらのインスピレーションを持って制作に挑むのが好きなんだ。だからお気に入りのループが制作できる日もあれば、全然ダメな日もあって、そういうダメな日にはレーベル運営に関することや、メールを送ったりして過ごしているよ。 「M33」という最新トラックが今年のベストテクノレーベル"Stroboscopic Artefacts"からリリースされたばかりだよ。それから次に「Nibiru」というトラックが"Enemy Records"のコンピレーションとしてリリースされるよ。
それにリミックスもいくつか進行しているし、自分の新しいレーベルを始める準備をしたりしているよ。そのレーベルはヴァイナルだけでリリースする予定で、自分のトラックも別名義を使ってリリースしようと思っている。今はこれ以上のことは明かせないんだけど、楽しみにしていてほしいな。 アルゼンチンのテクノシーンはここ数年ずっといい状態にあると思うよ。とく首都ブエノスアイレスはいいね。90年代のアンダーグラウンドだった時期もすごくよかったよ。いろんな選択肢があったし、それらすべてがとてもいいものだったと思う。
今は、いろんな種類のトランスミュージックがメインストリームでは流行っていて、僕にとってはそれはあまり好ましい状況ではないんだけど、テクノとハウスにおいていえば"Cocoliche"と"Crobar"の2つのブエノスアイレスのクラブはとても信頼の置けるクラブだよ。
"Cocoliche"は地下にある箱でキャパシティーは400人くらい。有名なDJが純粋に楽しんでプレイしている箱だと思うよ。
"Crobar"はとても大きなクラブで建物自体もすごく大きい。毎週土曜日はテクノやハウスの世界的なDJがやってきてプレイしてるし、国内のDJもたくさんプレイしているね。
ウルグアイやブラジルにもとても興味深いシーンがあると思うよ。それにペルーやエクアドル、コロンビアは今急速に成長してきているところかな。 たくさんのアーティストを挙げられるけど、その中でも卓越しているのがFranco Cinelli、Andres Zacco、Leonel Castilloだね。その中でも最後に挙げたLeonel Castilloはアルゼンチンで今一番おもしろいアーティストだと思うよ。
Marko ZenkerとTom Diciccoという2人の若いアーティストもとても期待できるし、彼らにはアドバイスを送ったりしていて、いつも2人の音楽をチェックしてるんだ。 僕の友達や同僚たちはみんな、日本ではとても幸せな時間を過ごしたと言っているし、それに彼らは日本へ行くたびに驚かされるとも言っている。それを聞いて僕は日本にとても興味を持ったし、いつでも惹きつけられるんだよね。日本はアルゼンチンとは文化が違うし、その異なる文化のすべてを知ってみたいと思っているよ。人々について、歴史について、食べ物について、テクノロジーについて、それに東京という都市自体を一種の魔法みたいに感じるよ。
インターネットを使ってたくさんのパーティーの動画やクラブについて見たことがあるんだけど、クラウドは信じられないくらいかっこいいし、彼らは音楽的にもすごく先を行っていると思う。そんな日本のクラウドのために、僕は今すごくスペシャルなライブセットを用意しているところだよ! 僕がDJやトラック制作をやり始めたときに抱いた大きな夢や目標は、世界中を旅できるようになりたいというものだったんだ。この夢を現実にできて僕は今とても幸せだし、DJやアーティストとして生きている僕の人生の大事な瞬間を、みんなと一緒に楽しみたいと思っている。だから11月22日、Rockwestで開催される「FUSION 4th Anniversary」でプレイできることがとてもうれしいし、すごく楽しみにしているよ!