- 本作はJOUJOUKA名義での7年ぶりのフルアルバムとなっていますが、長い間の沈黙の理由があれば教えて下さい。
DJTSUYOSHI:別に沈黙していたわけではなくて(笑)…
前作の「NEVER LOOK BACK」リリース以来、FUNKY GONGはソロアルバムのリリースに着手していたり、僕はNumanoid名義でMaZDAとの共作のリリースがあったりと、それぞれ違う名義の活動があり「気が付いたら7年も経ってしまっていた」と言う感じですかね。
- CDの帯部分には「アルバム着手が3.11直前」という事が書かれていましたが『3.11』をきっかけに当初予定していた制作のコンセプトなどに変化はあったのでしょうか?
DJTSUYOSHI: そうですね、逆にアーティストを名乗る人たちは、3.11以降に何らかの形で制作コンセプトに変化が無ければならないでしょうね。
- では、3.11を境に、アルバム制作に限らずアーティストとしての立ち位置や、表現方法に変化が具体的にあるのであれば教えて下さい。
DJTSUYOSHI:去年のオーストラリアでの皆既日食を体験した際も感じたことなのですが、「一体この宇宙って!?、僕らが住んでいる地球ってなんなんだ!?」と…。
「なぜ、人間はこの世に生を受け。なぜ、自分はこの世に生を受け。生きているんだ?」という素朴な疑問が、ものすごい勢いで湧いて来ました。アーティストとしての制作に対するコンセプトもそうですが、自分1人の「いち人間としての立ち位置」を、改めて考えさせられるようになりました。
FUNKY GONG : 表現方法は基本的に変わっていないです。ただ、震災を境に「人の心に響く音楽とは何か?」「それが自分にはできているか?」自問自答の繰り返しでした。そういった意味では音に対して、より誠実に向き合えるようになったと思います。
MACKEEL : 今回のアルバムにも3.11の影響が歌詞に反映されている曲が数曲あります。一個人としては、 節電と復興支援に対する意識の変化が生まれましたね。
- アルバムタイトルとなっている『The Sound Kills Despair』に込められた思いを測するに『絶望的な状況を救うのは音楽である!』というメッセージを受け取ったのですが、そうした理解で間違いないでしょうか?また、皆さんがこれまで絶望的な状況に経った際に「音楽によって救われた」と言う経験があるならば、そんなエピソードを教えて下さい。
DJTSUYOSHI:はい。そうですね。僕は「これ!」っていうエピソードよりも、毎日生きている中で「音楽によって救われた」という気持ちにさせられることばかりです。音楽を聴いたり、ライブに出演したり、制作してたり…。そんな中で「救われるなあ…」と感じる事は日常茶飯事ですね(笑)
FUNKY GONG : 僕は震災後に、とてつもない絶望感を感じてしまいました…。感覚的に「こりゃ音楽をやっている場合じゃないな…」とまで思いました。
幼少の頃より音楽に救われている僕の精神状態は、まさしく絶望感に埋め尽くされていました。そんな中、マキール大佐が加入後、初となるJOUJOUKAのLIVEリハーサルがありまして、正直、そんな精神状態の最中に音楽の事を考える余裕等無かったのですが、リハーサルでJOUJOUKAの音を浴びているうちに、なんとも表現しようがない、瞑想しているような状態になり、体が軽くなり、不安が消え、目を閉じていた際に、例え話ではなく本当に一筋の光が目前に観えてきたんです。 もちろん、自分で作った音なので特別な思い入れはあるのですが、不思議な感覚でした。
MACKEEL : 私としては「音楽のみならず、音が一瞬でも絶望を消す」という解釈です。 「音楽によって救われた」という経験はありませんが、親しい人の声であったり、風の音、穏やかの波の音などで和む事はあります。
- 楽曲制作の行程は、どのような方法で行われていますか?歌詞の構想はMACKEEL TAISAが行うのですか?
FUNKY GONG : 全ての楽曲はトラック部分が先に作られます。TSUYOSHIさんと僕の2人で作り始める場合と、MACKEEL TAISAが作ってきたDEMOを元に作り始める場合との2パターンがあります。
僕とTSUYOSHIさんで作る場合、2人ともDJということもあり、DJ的な作り方をする場合が多いです。例えば、まずはBPMをいくつにするのか?というところから決めていったり、グルーヴの構築から始めて行ったり…
MACKEEL : そうして出来上がってきたトラックに、私が歌詞を書いてます。
- その場合、曲のイメージをMACKEELに伝えて詞を考えてもらうのですか?それとも、すでに詞の構想ありきで、曲に合うように当てはめて行くのですか?
DJTSUYOSHI : 曲のイメージは3人で話し合って決めることがほとんどですね。
- 制作の際、今回のアルバムをどのような人たちに聴いてもらいたい。というようなことをイメージしましたか?また、その歌詞が全編英語となっていますが、海外のマーケットを意識しての事なのでしょうか?
DJTSUYOSHI:クラブ層だけでなく、ロック層にも聞いてもらいたい一心で制作しましたね。
FUNKY GONG : できるだけ、たくさんの人に聞いてもらいたいと思い創りました。そういった意味でも海外のマーケットは当然意識しています。
MACKEEL : どのような人たちに聞いてもらいたいという思いはありませんが、多くの人が聴いてくれればと思います。そうした意味では、海外のマーケットに対する意識ももちろんあります。
- 先行シングルでのリリースもされている「NEW STANDARD」ですが、皆さんにとっての「NEW STANDARD(新しい標準)」とは、どのようなものでしょうか?
DJTSUYOSHI:僕にとっての新しい価値基準とは、全ての面において「もうこんな時代なんだし、そろそろクレバーに生きて行こうよ!」ということかな。例えば、世界は未だに国家の利益のために民が平気で犠牲になってしまってる状況だよね? そういう既存の悪しき基準を変えて行く。新しい価値基準の構築という意味でのNEW STANDARDがこれからは必要だと考えています。
FUNKY GONG : まずは、自分自身からから始めていかなければならないことですが、お互いを尊重し合い、共存共栄のバランスを取るということ。
MACKEEL : 安全神話の崩壊、莫大な情報量、マスメディアの情報提供の仕方など、今まで鵜呑みにしてきたことを見直すこと。あと、JOUJOUKA内部の事情で言えば、最近は3人共、作曲に関わるようになったことは、僕にとっての新しい基準ですね…。
- と、いうことは、MACKEELが作詞だけでなく、作曲もするようになったということですよね? 今回のアルバムでも、すでに作詞作曲のトラックがあるのですか?
MACKEEL : NEW STANDARD / AWAKEN BEAT / FAKES FOR SALEの3曲は作曲にも加わりました。
- そもそもJOUJOUKAの活動以前に、TSUYOSHI君もFUNKYもダンスミュージクのDJやクリエイターとして活躍しているわけですが、それと平行して「今、なぜデジタルロックというスタイルでアルバムを発表したのか!?」という意図を教えて頂けますか?
DJTSUYOSHI:僕はMADSKIPPERSというレーベル/イベントを、2003年から立ち上げた時から一環して「ロックとクラブミュージックの融合」がコンセプトであり、今もそれは変わっていません。特に日本は、ライブハウス系とクラブ系が二分化されすぎていると感じます。
FUNKY GONG : 僕は元々ロックギタリスト出身なので、楽曲にロック的要素のギターが入ることは、制作上とても自然なことなのですが、今回のアルバムにおいては「デジタルロックの集大成的な作品を創りたい」という欲求がありました。 ロックとダンスミュージックの融合は長年のJOUJOUKAのテーマでもあり、まさしく今回のアルバムは、その集大成であり、そのバランスが非常に良く取れた仕上がりになったと、自信を持って言えますね!!
- また、MACKEEL氏にとっては、これ迄のシーンとは少々勝手が違う部分もあったと思いますが、ダンスミュージックとロックのハイブリッドな現場を体験してみていかがでしたか?
MACKEEL : ステージに立っていることに関しての双方の違いは特にありませんが、クラブシーンはライブをする時間帯が遅い…。(苦笑)
- 通常、ライブは電車で帰れる時間に終わりますからね…。「ロックのイベントは夜通し開催されず、ダンスミュージックというジャンルだけが、夜通し踊る!という風潮…」日本以外でもそうした状況は同じなのですかね?
DJTSUYOSHI : 少なくとも、僕の経験上で言えば、海外ではそんなことは全く無いですね。ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアなどでロックとダンスミュージックが 二分されるような"風潮"は経験が無いです。確かに、デンマークのロスキルド、イギリスのグラストンバリー、オーストラリアのビッグデイアウトなどのオールナイトでの演目は、ダンスミュージックがほとんどですが、昼間と同じテンションと人数で、朝まで皆踊っています。日本のロック層にも、もっとダンスミュージックで朝まで踊り明かすという楽しさを味わってほしいですね。
- JOUJOUKAがステージに立つ際は、毎回スーツですが、そこに意味やコンセプトはあるのですか?
DJTSUYOSHI:これはある意味「FROM JAPAN」を意識した感じですかね。やはり、僕の中では日本と言えば、サラリーマン。日本の働く人たちの象徴としてね。
FUNKY GONG : 僕の場合、ビートルズやローリングストーンズも初期はスーツ姿だったし、スーツでロックなテクノのライブを演奏するギャップがおもしろい!と思っています。
- それは意外な解答です。以前TSUYOSHI君は、紋付袴の格好でDJをしていたことがありましたが「FROM JAPAN」ということで言えば、着物サムライという発想なのでは?とも思ったのですが…。TSUYOSHI君の日本人のイメージは「サラリーマン」で、JOUJOUKAは、そんなサラリーマンを象徴したバンドという立ち位置なのですか!?!?
DJTSUYOSHI:そんな驚かなくても。。。(笑)日本は着物サムライだけじゃないでしょう(笑)!かつてのYMOもサラリーマンのシュミレーションのような格好をしていましたし、発想はそこから来ています。
- まあ、そうですね。JOUJOUKAの音楽性やスタイルにも、スーツ姿はすごく似合っていると思います。アルバムリリースに併せた全国ツアーも組まれているようですし、サラリーマン的に言えば、日々出張続きという忙しい時期を迎えますが…。 ツアー日程は決まっているのですか?
今のところのツアーは以下の通りです。まだまだこれから決まって行くので、最新情報は次第随時MADSKIPPERS(http://www.madskippers.com/)のホームページで発表して行きます!
6月7日(金)Club Cave(鹿児島)
6月8日(土)Django(熊本)
6月14日(金)Madskippers@clubasia(東京)
6月15日(土)Force(浜松)
6月29日(土)T.B.A.(東京)
7月12日(金)Pepperland(岡山)
7月13日(土)Rock Allow(北九州)
7月20日(土)CLUB#9(福島)
7月27日(土)Matsuri Digital Open Air(長野)
8月3日(土)Juno Reactor Final Frontier Tour 2013 @ ageHa (東京)
8月10日(土)Circus(大阪)
- 既に盛りだくさんですね。体に気をつけて頑張って下さい。ありがとうございました。
- Release Information -
タイトル:The Sound Kills Despair
アーティスト:JOUJOUKA
レーベル:Wakyo Records / Fusion for Peace Productions
発売日:6月5日
価格:¥2,500-
■詳細
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4253-The-Sound-Kills-Despair/
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