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Daniel Avery

Daniel Averyは、2012年初頭にAndrew Weatherallが「Time Out」誌で「いま最も注目すべき新しいDJ」としてフックアップ、間髪入れずにUKの名門クラブFABRICのミックスCDシリーズ『FABRICLIVE 66』のコンパイルを手掛け頭角を現した。その後、Erol Alkan主宰の<Phantasy Sound>から『Drone Logic』でアルバムデビューを果たし、「FABRIC」でもレジデントパーティーをスタート。今年に入ってからもRødhådやFactory Floorが参加したリミックス企画『New Energy』、Volte-FaceとのジョイントユニットRote名義でのDJ NobuとSvrecaのリミックスを収録した『EP 1』と、立て続けに話題作をリリース。ロンドンのエレクトロニックシーン新世代を代表するDJ/プロデューサーのひとりとして、引き続き大きな期待を集めている。そんなDanielが10月2日代官山Air、3日大阪Circusで待望の初来日を果たす。来日直前の彼をキャッチして、自身の経歴やErolとの出会い、アルバムのこと、そして初来日への期待などについて語ってもらった。

 

 

 
「急に視界が開けたような気がして真剣に音楽と向き合ってみようかなと考えるようになった。そこからDaniel Averyとして音楽を作るようになったんだ。」


- 初来日おめでとうございます。まずはご自身の音楽との出会いのことから簡単に教えてください。ギターやピアノなど、昔から楽器をやっていたりしたのでしょうか。

10代のころMy Bloody ValentineやSpacemen 3、Kyuss、Black Sabbathなどのギターミュージックを聞いて音楽にハマりはじめた。そのころからサイケデリックな出音を持ったものが好きだったね。バンドをやりたくてベースを手にしたんだけど、まぁ本格的に活動するには至らなかった。それからしばらくしてDJやダンスミュージックに興味を持つようになった。きっかけはAphex Twin、Andrew WeatherallやIvan Smaggheあたりで、彼らのサウンドやプレイには、音楽を聴き始めたころにお気に入りだったギターミュージックと同じようなサイケデリックなエネルギーが宿っていると感じたんだ。それに気づいたときに「あぁ、こういうのも面白いかな」と思ってエレクトロニックなものへと傾倒するようになった。


- 初期のトラックはThe AsphodellsのTimothy J. Fairplayがエンジニアを手掛けていますが、彼とはどのようにして知り合ったのでしょう。

FairplayとはDeath In VegasのRichard Fearless経由で知り合った。Death In Vegasも僕もWeatherallのスタジオを使っていていたんだ。とてもクリエイティブで刺激的なスタジオだったから、いろいろなプロデューサーが顔を出していたよ。ちょうどDeath In Vegasが最後のアルバムをレコーディングしているときだった。スタジオでたまたまRichardと顔を合わせて、Fairplayを紹介してもらった。


- その後どのようにしてDaniel Averyとしてリリースをするようになったのでしょうか。また、<Optimo>や<Relish>をはじめ、いくつかのレーベルから楽曲をリリースをしてきたかと思いますが、その中から最終的に<Phantasy Sound>と契約してアルバムを出すことにしたのはなぜですか?

4年くらい前に人生のターニングポイントと言えるようなことがあった。18歳のころから趣味でDJをしていたんだけど、ある頃からかけていた音楽に少しずつ飽きてきて、刺激がなくなっていった。なので、その当時は音楽を作るなどということは全く考えもしなかった。でもあるとき働いていたレコードショップがクローズしてしまって、突然することがなくなってしまったんだ。しばらく何もせずにぶらぶらしていた。そんなときに偶然にも昔の友達にばったり会って、彼と遊び歩くようになった。一緒にいろいろなクラブやライブハウスに出入りした。そこでエレクトロニックもロックも含めさまざまな新しい音楽との出会いがあったんだ。急に視界が開けたような気がして、真剣に音楽と向き合ってみようかなと考えるようになった。それで、Daniel Averyとして音楽を作るようになった。頭に描いたサウンドをアウトプットできるよう、スタジオに入ってゼロからいろいろと勉強した。ちょうどそんなころにErolから電話をもらった。<Phantasy Sound>で新しいアーティストを探している、ってね。もし<Phantasy Sound>でリリースできそうな新曲があったら聴かせてほしいと言われて、『Need Electric』を送った。それが全ての始まりだった。もともと「Trash」によく遊びに行ったりして、Erolとはその前から親しくさせてもらっていたんだ。ちょうどいいタイミングでErolから話をもらって、もともと知り合い…というか大好きなDJのひとりだったし、是非という感じだった。
 

 

 

 
「今ロンドンのアンダーグラウンドエレクトロニックシーンではさまざまなジャンルが接近し合って、互いに影響を及ぼし合いながら新しいものが次々と生まれている。サイケデリックミュージックのニューウェイブだね。」


- 『Drone Logic』はいわゆるクラブミュージックのトラック集というよりも、楽曲がひとつひとつ有機的に結びついてアルバムとしてトータルでリスニングできる作品であるように思えました。単曲の制作にはないアルバムならではの難しさみたいなものはありましたか?

やっぱりLPはいいよね。昔からLPが好きで、たくさんのアルバムを聴いてきた。だから『Drone Logic』を作るときも、いちファンとしてLPを聴いていたときの体験を投影させたいなと思って取り組んだ。シンプルに音楽に没入できて、気が付くといつの間にか我を失っている。それはアルバムならではの魅力だと思う。そしてDJのセットにも同じような魅力があると思うんだ。2時間や3時間、知らぬ間にプレイに引き込まれてしまうという。アルバムもDJセットも、じっくりと聴き込むうちにどこか見知らぬ世界へと連れていかれる、という点で共通するものがあると僕は思う。そういった体験をこの『Drone Logic』でも味わってもらいたいと思ったんだ。


- 今年初頭にリミックス集『New Energy』をリリースしました。新旧多彩なリミキサーが参加していますが、いずれもご自身でチョイスされたのでしょうか。

ロンドンのアンダーグラウンドなエレクトロニックシーンでは、今とても面白いことが起こっていると感じている。テクノ、ドローン、アシッド、アンビエント、ノイズ…さまざまなジャンルが接近し合って、互いに影響を及ぼし合いながら新しいものが次々と生まれている。サイケデリックミュージックのニューウェイブだね。「Fabric」で自分のイベント「Divided Love」をはじめたのも、そんな新しい動きをいち早くオーディエンスに届けたいと思ったからなんだ。いろいろな場所で活躍しているタレントたちをひとつの場所に集めて、新たな出会いを通じてそれまでとは違う何かを作り出すことができるんじゃないかと思った。『New Energy』のリミキサーのセレクトもまったく同じ考えのもとで行った。多くは「Divided Love」でプレイしてもらったアーティストだ。彼らの鳴らしている音楽には、表向きのスタイルは違えど、どこか自分と相通じるものがあるなと思っていた。そんなプロデューサーたちにたくさん参加してもらえてとても光栄だよ。
 

 

 

 
「好きな音楽をプレイしながら世界中を旅できる。僕は本当に恵まれたポジションにいるとつくづく感じるよ。」

- イギリス国外へのツアーも多いのでしょうか。印象に残っている国や街はありますか?

ヨーロッパ各国はもちろんのこと、これまでにオーストラリア、ロシア、イスラエルやアメリカなどを巡ってきた。どの街もそれぞれに違う表情があって面白い経験をさせてもらった。ギグも同様で、ひとつとして同じものはなかったね。好きな音楽をプレイしながら世界中を旅できる。僕は本当に恵まれたポジションにいるとつくづく感じるよ。


- 日本に来るのは初めてですか?。パーティーに向けてメッセージをお願いできたらと思います。また、ギグとは別に滞在中に何かトライしたいことはありますか?

そう、今回が初めての日本だからとても楽しみにしている。日本の音楽ファンはとても熱心だという印象がある。そんな場所でプレイできるのはとても素晴らしいことだと思う。音楽を愛するひとりでも多くのオーディエンスと素晴らしい時間を共有できたらうれしいよ。実は10代のころ、外国のビデオゲームを輸入する会社でアルバイトをしていた時期があったんだ。その当時から日本のゲームや文化はすごいなと思っていた。空き時間に秋葉原に行ってストリートファイターをやりたいと思っている。