INTERVIEWS

YUTA

2004年よりDJキャリアをスタートさせて以来、オーガナイザー/ブッキングマネージャー/レーベルA&Rなど、さまざまな角度からゴアサウンドを浸透させるアプローチを仕掛けてきたYuta。特に、DJTSUYOSHIとともに主宰しているレーベルMatsuri Digitalは国内屈指のゴアトランスレーベルとして国内外から高く注目されており、ゴアトランス作品のリリースやイベントの企画/制作、サイケデリックアート作品の紹介など、現在も多岐にわたり精力的に活動している。そんな、国内トランスシーンの中核を担う彼が、今回新たにサイケデリックテクノレーベルLiquid Drop Groove(LDG)を始動。そのニューレーベルのキックオフパーティー「Liquid Drop Groove -Flip Out Gathering 2016-」が、9月10日(土)から12日(月)の3日間にわたり東京・八丈島横間海岸で開催される。サイケデリックトランスからサイケデリックテクノという音楽的アプローチの変化の背景や、アウトプットする音へのこだわり、そして新レーベル設立への想いなどについて、キックオフパーティーの開催を控える彼にインタビューを行った。この記事は、先日News&Topicsで紹介した「テクノ、トランス好き必見。新サイケデリックテクノレーベルLiquid Drop Grooveのキックオフパーティー開催!」で使用したYutaへのインタビュー全文を公開したもの。

Interview:Satomi 
Namba (clubberia)

 

 

 
ーーサイケデリックやゴアといったトランスからテクノやミニマル寄りのサウンドへ変化した背景を教えてください。
ゴアトランスのプロトタイプになっている音楽にEBM(Electric Body Music)という種類があります。1980年代の終わりから1990年初頭にかけてのテクノになるのですが、そのあたりのバイナルを2009年頃からDiscogsというサイトでヨーロッパのセラーから買い漁っていました。DJとしてテクノを始めたのもこの頃です。ゴアトランスの延長で聴き始めたEBMがテクノの始まりです。当時の時代の流れもあったと思うのですが、ゴアトランスという音楽は、90年代中期のトランス全般を指していて、ゴアトランスにもいろいろありますが大半は聴きたおしてきていて。自分の好みは音数が少なくアゲではなくハメのゴアトランスということに気付き、BPMがもっと遅く渋いゴアを探し辿りついたのがEBMでした。そして、レトロなテクノに数年間ハマり続けて、バイナルもCDもコレクションしていた同時期に聴き始めたのがCio Dorでした。ディープで壮大な世界観など、ゴアトランスに通ずるポイントを見つけて感動したことは未だによく覚えています(笑)。


ーー当時、どういったアーティストや、音を好んで聴いていたのでしょうか?
アシッドテクノだとEmmanuel Topがとにかく好きで、Richie Hawtinの別名義FUSEもキラートラックが多く、何年経っても色褪せない楽曲はいつまでも聴いていますし、使い続けています。 基本的に音数が少なく、音の抜き差しだけで大きな展開を作っていく楽曲がツボで、TB303やTRシリーズのローランドサウンドがたまらなく好きですね。自分のテクノのルーツはこれらになるのですが、楽曲制作に携わるようになってからは、より音へ配慮するようになり、レーベルを運営し始めてからは、自分がアウトプットする音のこだわりがより一層強くなっていきました。


ーー表現する音は、具体的にどのように変化していったのでしょうか?
サイケデリックな展開と、ゴアトランスを感じさせるテクノの楽曲がもっとほしくなっていったのが2013年。ゴアトランスとテクノを組み合わせDJとして表現をし始めたのが2014年からですね。こういった背景があってからは、今も変わらず楽曲を探し続けているものの、自分のストライクゾーンに入る楽曲を見つけるのが難しくなってきて。新しい音楽を見つけた時の刺激と興奮は、アーティストにとって常に必要なものだと思っているので、音楽としての振り幅がより広いテクノをDJスタイルに取り入れていきました。今のトランスシーンのメインストリームの音楽と自分のスタイルに違いがあるものの、DJセットを通してトランス体験に繋げるという意識は変わっていません。
 

 

 



“音楽に対してわがままでストイックに突き詰めていきたい”


ーーレーベルLiquid Drop Groove=LDGを立ち上げることになったきっかけ、心境を教えてください。
LDGを立ち上げるきっかけは、自分のなかで加速していくテクノワールドをアウトプットする場所が必要になったからです。音楽に対してわがままでストイックに突き詰めていきたくて。LDGやMATSURI DIGITALのほかに主催していたパーティーもいくつかあったのですが、もっとトランシーなテクノを本気でトライしたくて。トランスシーンで覚えたサイケデリックというキーワードはキープしつつ、音楽ありきのパーティーという考え方を形にするためレーベルワークも含めた活動を始めました。それがLDGです。新しい環境、新しい音楽、いちからのスタートを楽しんでいけたらと思います。テクノを取り入れたトランスパーティーはこれまでに何年も制作してきましたが、テクノパーティーとしてはまだ1年生なので、気持ちを新たに謙虚な姿勢で、ガンガンやっていこうかと思います! 自分が目指す音を自在に操るDJは、日本のシーンで昔から存在していて、自分のビジョンに近いことをやっていたのが「Space Gathering」、大阪では「Age Of Love」など。DJやアーティストはいるもののサイケデリックテクノと呼べるシーンは非常に小さいです。こういった音楽に特化したレーベル/パーティーは国内初だと思うので、応援してくれるみんなの期待に応えたいですし、すごくワクワクしています。


ーーLDGの今後の展望を教えてください。
LDGは、まず八丈島でのキックオフパーティーですね。年内は、Dommuneと代官山UNICEにてレーベルパーティーを開催する予定です。リリースは10月あたまに、ドイツのアシッドテクノマスターThomas P Heckmannの活動25周年を記念したセレブレーションアルバムをCDでリリースします。
来年の構想は、デジタル配信でリリース、いずれバイナルでの枚数限定リリースも視野にいれています。レーベルパーティーは、国内アーティストを招聘して大阪公演含めてクラブで数回、海外アーティストを招聘しての伊豆七島企画も続行する予定です。
 

 

 

 
ゴアトランスリバイバルの立役者が語る、国内パーティーシーンの現状とは?



ーー長きにわたり数々のイベントに出演、そしてイベントを開催されてきましたが、YUTAさんから見て日本のシーンはどのように変わってきたと感じますか?
日本のトランスシーンは、数年前と比較するとグローバル化が進んでいると思います。2012年のオーストラリアの皆既日食フェスティバル「ECLIPSE」をきっかけに、近年盛り上がりをみせているタイ・タオ島のカウントダウンパーティー「EXPEPIENCE」にも多くの日本人が足を運んでいます。世界中のフェスティバルが日本でプロモーションパーティーを開くことも盛んになりました。2015年から毎年1月にageHaで開催されているハンガリーの野外トランスフェスティバル「OZORA」による「OZORA JAPAN」は特に人気です。そのほかにも、イスラエルの 「Groove Attack」やフランスの「HADRA」、オランダの「Psy Fi Festival」など開催しています。今年のトピックスをあげるとポルトガルの人気フェスティバル「Boom Festival」が日本人を500名をフリーで招待していたことですね。そういったなかで、MATSURI DIGITALは、インドのゴアや、イスラエル、そしてオランダの「Psy Fi Festival」内でレーベルパーティーを開催している現状があります。2,000名規模の国内フェスティバル「MATSURI TRIBE FESTIVAL」や「Rebirth Festival」は、斬新なアイデアが詰まったフェスティバルなので、日本に在住する外国人や海外から足を運ぶ外国人も今後増えてくると予想しています。「Green Magic」や 「Dance On The Planet」というパーティーにも注目ですよ。


ーー今後、日本のパーティーシーンを活性化させるためには、一体どのような要素が必要となってくるのでしょう?
国内のビッグパーティーがなくなり、一部の間では盛り上がっていたものの、国内のシーンとして下降気味だった2008年から2010年あたりからは信じられないくらい良い流れになったと思いました。しかし蓋を開けてみると、オーガナイザーが著しく増えたのではなくて、クラブ主催や、オーガナイザー(同一人物)が名前を変えて別名義でパーティーを行いシーンを盛り上げているのがリアルな状況です。風営法の改正で、クラブシーンのこれからに期待がかかるなか、パーティーに足を運ぶニュージェネレーションが増えていくことを願っています。日本は島国で隣接国がないので、これから先のことを考えると、台湾や香港やシンガポールなどから日本に遊びに来る可能性のあるオーディエンスを取り込み、今後そういったアジア人の層が足を運びやすくなれる環境作りが必要になってくるのではないでしょうか。
 

 

 



キックオフパーティーに込められた、国内シーンの将来を案ずる彼独自の想い


ーー「Liquid Drop Groove」の開催にはどのような想いが込められていますか?
Liquid Drop Groove の由来は、「一雫が水面に落ちた時の波紋状のような音と空間」です。トランスシーンで培った経験を、新たなテクノというフィールドでトライしていきます。トランスシーンにおいて、2010年後期から2013年あたりにゴアトランスリバイバルというムーブメントのきっかけを自分や周りのみんなで作れたように、この活動が日本のシーンにとって新たな可能性になりますように! そんな思いを込めています。


ーー本パーティーでのブッキングではどのようなことにこだわりましたか?
ブッキングにおいては、トランスシーンを通過したテクノDJ/アーティスト、またはトランシーなテクノ楽曲をアウトプットしているDJ/アーティストに定めています。トランスで遊んでいたダンサーが、テクノで遊び始めています。これは大きな変化です。そういった新鮮さを求めてアンテナを張っている層が、ビンビン感じるようなラインナップ作りを国内外問わず心がけています。あとは、パーティーの流れがもっとも重要なので、ドラマティックな展開をパーティー全体を通して創り出すことを意識しています。


ーー今後どのようなイベントを開催していきたいですか?
八丈島のキックオフパーティーのタイトルが「Flip Out Gathering」なのですが、ネーミングの通り会場にきてぶったまげるようなパーティー作りを続けていきたいですね。ロケーション含めた環境や、装飾や映像やアートワークにも力を入れて、類をみないテクノパーティーになることでしょう。今後のリリースも期待して下さい! 「Liquid Drop Groove」お楽しみに!

 

 

 
- Event Information -


タイトル:Liquid Drop Groove -Flip Out Gathering 2016-

開催日:9月10日(土)~12日(月)

会場:八丈島横間海岸(東京都八丈町大賀郷)

時間:TBA

料金:前売 10,000円,  当日 15,000円 


出演:【Liquid Drop Groove】Ricardo GardunoIllegal Alien Records), MarcusHenriksson aka Nobody Home(Minilogue,Son Kite/Home Records), Sensient (Zenon Records), REE.K(Space Gathering), ARTMAN(Qooki Records), MAYURI(METAMORPHOSE), Q'HEY(Reboot), MASA(Space Gathering), FREEBASS(MoV), Yu-Ta(RESPONSE), NOCO(Paramount), YUTA(Liquid Drop Groove/MATSURI DIGITAL)【”Another Face Of Shiva” by Dance of Shiva】Calamar Audio(Antiscarp Records), Whiskey Baba(Antiscarp Records), No.9 (Liquid note records), Crystal Nada, Daleks(natural smile/dmt music/JP & US), Dragon(RikkaSaundi/HaTTiVaTTi), Jikooha(Panorama Records/SHAMANARCHY), KGO(Niceness Music), M∞m, HRK(MATSURI DIGITAL CHILL) aka DJ Mijinko, Seiji Animaminimal(Dance of Shiva/FUNLAND DISCO), Setsuo Miyashita(Santoor), SHO(Dance of Shiva/Mandalavision), TANNY(EVOLUTION/Equalize Music ex Samurai Tribe), Tomocomo(Panorama Records/SHAMANARCHY), YO!HEY!(Cocoon), 山頂瞑想茶屋, and more.


■「Liquid Drop Groove」オフィシャルフェイスブックページ
https://www.facebook.com/events/890722184387995/


■イベントページ

http://www.clubberia.com/ja/events/255364-Liquid-Drop-Groove-Flip-Out-Gathering-2016/
 

 

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