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砂漠で開催される奇祭「バーニングマン」。アート展覧会が、アメリカ・ワシントンのギャラリーで開催中!

 世界的なアートと自己表現の場として知られる伝説的な実験都市型アートイベント「バーニングマン」のアート展覧会が、 スミソニアン・アメリカ美術館内のレンウィック・ギャラリー(ワシントン)で開催されている。
 
 バーニングマンは、1986年にサンフランシスコのアンダーグラウンド・アートシーンでスタート。名称の由来は巨大な木人形「ザ・マン」を作り、最終日が近づくと燃やす儀式(会場内の建造物も完全に燃やされていく)から名付けられている。当初は、サンフランシスコのベイカー・ビーチで開催されてきたが、警察の取り締まり強化により1990年以降はネバダ州のブラックロック砂漠に会場を移した。
 
 毎年8月最終月曜日から9月第一月曜日に渡り開催されており、会場内のライフラインは整備されておらず俗世界からは遮断され、砂漠に街(ブラックロックシティ)が作られる。主催者から提供されるのはトイレと食材を腐らせない為の氷のみで、参加者は食料をはじめ必要な物資は全て自分たちで用意しないとならない。日中は40度近くまで気温が上がり、夜には5度あたりまで気温が下がる過酷な砂漠環境で、参加者同士が助け合い、コミュニティーを作り上げていくというのが、バーニングマンの基本コンセプトだ。
 
 そして会場内では貨幣の使用は禁止、NO SPECTETER(傍観者であるな)、なんでも自分が与え続ける事・見返りを求めない、1人1人が表現者という自覚を持つという共通精神の元に、彫刻などのアート作品や大道芸、音楽演奏、飲食物の配布などさまざまな形でコミュニティーに参加しながら共同生活が送られていく。アートの中には巨大なデコレーションや巨大なスピーカーを装備した乗り物などもあり、夜になると会場はイルミネーションで彩られ、至る所にあるステージからDJやアーティストの音楽が鳴り響いている。そして土曜日にはバーニングマンの象徴「ザ・マン」が燃やされ、日曜日には会場内で人々が祈りを捧げる場であるテンプルも燃やされクライマックスを迎える。そして最終的には基本理念である『跡は何も残さない』に沿って全ての物がなくなり元の砂漠に戻る。
バーニングマンの様子。中央に見えるのが「ザ・マン」
Photo by Neil Girling

 そんな奇祭バーニングマンのアート展覧会「No Spectators: The Art of Burning」は、バーニングマンで計9つの“テンプル”を作ってきたアーティストのデービッド・ベスト氏の作品をはじめとした「バーニングマン」のアートが展示されている。展覧会は3月30日から始まっており、2019年の1月21日まで入場無料で開催されている。
 
 毎年チケットの入手が困難なバーニングマン、言葉で表現するのは難しいイベントであり、参加した人の数だけのバーニングマンがあると言われている。ぜひその場所を訪れてみるのはもちろんだが、この展覧会で少しでもバーニングマンの精神に触れてみるのはどうであろうか?
 

"No Spectators: The Art of Burning Man" at the Renwick Gallery
https://americanart.si.edu/exhibitions/burning-man
 
Burningman HP
https://burningman.org/