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MADLIBが“ゴッドファーザー・オブ・ブラックムーヴィー”と共演!

カジモト、イエスタデイズ・ニュー・クインテット、マッドヴィレン、ジェイリブなど、いくつもの名義を使い分けながら精力的にリリースを重ねる西海岸のサイケデリック・プロデューサー=マッドリブ。彼が以前から黒人映画のバイブル的存在『スウィート・スウィートバック』をサンプリングしまくってるのは有名な話ですが、ついにその『スウィート・スウィートバック』の監督、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズとの共作名義のアルバムをリリースする、との情報を入手!

まずマッドリブはみんな知ってるだろうから置いといて、メルヴィンの紹介をしましょう。メルヴィン・ヴァン・ピーブルズとは、スパイク・リーやアイス・キューブをはじめとする黒人たちから“ゴッドファーザー・オブ・ブラックムーヴィー”として崇拝される存在。そもそも黒人映画自体は戦前から“レイス・ムーヴィー”との呼称でブラックコミュニティのなかだけで存在してはいたのですが、決して白人社会からは認知されるものではなかった。ところが71年、メルヴィンが発表した『スウィート・スウィートバック』は、主人公の黒人(メルヴィン自身が演じた)が白人警官を殺して逃亡を果たすという、あからさまに白人社会に喧嘩を売った作品で、当時としては“トンでもない”映画。メルヴィンはその後ハリウッドでの仕事を干されるほどの影響を引き出した、いわゆる問題作。しかもそれを激低予算の完全自主制作で仕上げ、あろうことか、上映館は全米で2館というハンデを負いながらその年の興業収入ランキング第1位をもぎ取ったスゴいお人なんです(メルヴィンがどれだけ無茶をしたかは、9月に公開されるメルヴィンの息子マリオが主演・監督した『バッドアス!』を観よう。『スウィート・スウィートバック』の撮影時の舞台裏が再現されています)。

そんなメルヴィンは音楽面でも革命を起こしていて、彼が60年代末からおこなっていたポエトリーリーディングと歌のあいだをいくような独自のスタイルは(アルバムも数枚出ている)、その後のラップ/ヒップホップの誕生を胚胎していたとも言えるもので、そんな理由で彼をしてラップの元祖的存在、という言い方もできるでしょう。

そんな彼にマッドリブのみならずヒップホップ・アーティストが敬意を抱くのは当然といえば当然で、マッドリブの今回の共演は本人にとってみれば夢のような出来事なのでは。そしてその気になる共演作は西海岸の名門銘柄ストーンズ・スロウから、『Brer Soul Meets Quasimoto』と、そのリミックス盤『Madlib Invasion Remix』という2タイトルでリリースされるとか。詳細を待とう!