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真のトランスフェスを体験したいなら、“ソルス”の愛称で親しまれる「SMF 2016」に行くべし

 1999年に群馬県・宝台樹キャンプ場で初開催されたトランスフェスティバル「Solstice Music Festival(ソスルティスミュージックフェスティバル)」。“ソルス”の愛称で親しまれた本フェスティバルは規模を年々拡大し、2002年の山梨県・本栖ハイランドでの開催時には12,000人を動員。以降も岐阜・めいほう高原明宝スキー場(2005年、2008年)、新潟県・妙高杉ノ原スキー場(2007年)と開催を続けていた。2008年には10周年をむかえ、それを機に開催を休止。日本のトランスシーンを牽引してきたソルスは表舞台から姿を消した。

 そして2015年、ひとつのニュースがクラブミュージックシーンを騒がせた。「ソルスが野外で復活」。会場は静岡県・自転車の国 サイクルスポーツセンター。ソルスの再始動を多くのトランスファンが待っていた。7月16日から17日にかけて行われ、6500人の来場者がソルス復活を楽しんだ。

 昨年の開催からちょうど1年。今週土曜日、7月16日に千葉県・幕張海浜公園特設会場で
Solstice Music Festivalから頭文字をとった「SMF 2016」が開催される。2年連続での開催。これだけでもトランスファンにとっては嬉しいニュースだが、これまで山で開催してきたソルスが、初めて海で開催するという試みも興味深い。  
 ソルスの生い立ちは1996年に遡る。当時、カナダに住んでChikaとAkiraが、カナダにトランスシーンがないため、自分たちでパーティーをスタート。ただ、パーティーといっても10人程度のホームパーティーのようなかたちだったという。しかし回を重ねていくうちに自宅でできるレベルではなくなり、会場を借りて行うようになった。このときに「ソルスティス」と名前が付く。命名はChika。当時日本で開催されていたトランスパーティー「
Equinox」へ遊びにいっていた彼が「Equinox=春分/秋分」にあやかり「Solstice=夏至/冬至」と名付けた。

 ソルスが誕生する1990年代前半にも、日本にトランスシーンは存在した。ただ、Chika、Akiraがカナダに滞在中にひとつの転換期をむかえていた。代表的なフェスティバル/パーティーだった、「
Equinox」、「マツリプロダクション」、「Rainbow 2000」。これら、日本のシーンの第一線を築いてきたイベントのオーガナイザーが次々と辞めてしまったのだ。それにより、ChikaやAkiraをふくめ、当時このシーンで遊んでいた人たちは、遊び場を失い、ソルスは必然的に本格的なパーティーをつくるようになる。  
 ソルスがトランスミュージックを広めたのはパーティーやフェスティバルだけではない。2000年からレーベルも開始する。当時まだ日本発信のレーベルというものがほとんどなかった。その状態からこれまでに100タイトル以上をリリースしているのも驚きだ。

 音源のリリースではないが、ソルスがリリースしたもので当時としては面白いものがある。フェスティバルを記録したDVDだ。内容は12,000人の来場者を記録した2002年の本栖ハイランド開催時のもの。しかもYouTubeにオフィシャルチャンネルで確認できる。2002年頃は、ダンスミュージックシーンでサイケデリックトランスをはじめとしたトランスミュージックが大きなムーブメントになっていた時代。ageHaなどでも開催されているテクノ/トランスパーティー「Mother」も2002年に立ち上がっている。この映像から、当時いかにトランスミュージックへの熱狂があったのか伝わることだろう。


 
 “ソルスは表舞台から姿を消した”と前述したが、正確にはそれは異なる。今回のように「Solstice Music Festival」と銘打ったわけではないがイベントは行っていた。そのなかには、トランスシーンのレジェンドRaja RamとSimon Posford によるユニットShpongleの来日公演(2014年)や名門トランスレーベルの代表アーティストを招聘させておこなった「Twistval Tokyo」(2013年)などがある。clubberia Party Awartで「Shpongle来日公演」は5位、「
Twistval Tokyo」は1位を記録している。そんなソルスだが、昨年の開催はどうだったのだろう?

「久しぶりの開催でアーティストも含め古くからの友人やファンが集まりました。そこへ新たなトランスファンも加わり、予想を超える人数の方々に楽しんでいただき、とても良い雰囲気が作り出せたと思います」(SMF 2016運営事務局)
 
 山から海に移動したソルス。今年の見どころは、まずはロケーションの変化だろう。そして海浜幕張公園という都内からアクセスしやすい環境は、トランスにあまり馴染みがない若い世代へアプローチすることも考えられていると思う。

「海外でのビーチトランスパーティといえばインドのゴアを筆頭に数々ありますが、トップアーティストのプレイを開放感あふれるビーチで体感できるのは日本ではなかなかない機会だと思います。広い砂浜ということでサウンドシステムも去年よりスケールアップ。迫力のあるサウンドを楽しめると思います。そのほかにもステージを彩るデコやライブペインティングのパフォーマンス、終演後に打ち上がる花火などが見どころです」
(SMF 2016運営事務局)

 アーティストも、ダンスミュージックだけでなく、映画「マトリックス」のサウンドトラックをも手がけるJuno Reactor。テクノ、トランス、アンビエントを内包し30年以上のキャリアをもつ超ベテランバンド、System 7。楽曲配信サイトBeatportが2014年のトップアーティスト第3位と発表したVini Vici。新世代のトランスアーティストの中でも群を抜く大器とも評判のZen Mechanics。1990年代前半からトランス界のレジェンド、Raja Ramから絶大な信頼を受け、世界中のツアーに同行しているDJ Lucas。アンビエントDJのカリスマMixmaster Morrisなど、11組が出演する。

 日本のトランスシーンの一時代を作ってきた古豪「Solstice Music Festival」。これまでトランスミュージックに馴染みがなかったという読者の方は、"ソルス”という本物から体験してみてほしい。




- Information -

開催日: 7月16日(土)
場所: 県立幕張海浜公園
時間:11時~20時30分
料金:一般前売チケット 10,800円 (購入はコチラ https://ticketpay.jp/booking/?event_id=3813

出演者:Juno Reactor, System 7, Zen Mechanics, DJ Lucas, Koxbox, Dachambo, Mixmaster Morris, Artman aka DJ K.U.D.O. , Ta-Ka

■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/251898-SMF-2016/

■SMF 2016
http://solstice23.com/