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石野卓球に「見どころは?」と聞かずに、今年の「WIRED CLASH」について聞く

 石野卓球は「WIRE」開催のときから、記者の「見どころは?」という質問への回答に消極的だ。正確に言うと“意図はあるが、楽しみ方を主催側で決めるものではない。来た人がおのおの楽しんでくれたらいい”と言うのだ。それは国内最大級のテクノパーティー「WIRED CLASH」も然り。たしかに国内外のトップDJ/アーティストがオープンからクローズまで出演するのだから、見どころは全部!と言っても過言ではない。だから今回も、その質問をすることはなかった。
 今年も「WIRED CLASH」が、9月3日(土)に新木場ageHaで開催を控えている。始動から3年。どうやら次のステージが見えてきたようだ。石野卓球のほかに「WIRED CLASH」オーガナイザーの荒木康弘に行った取材では、ダンスミュージックファンの期待が膨らむ言葉がこぼれた。


Photo:Namba Satomi(clubberia) 
ーー「WIRED CLASH」、今回で4回目ですね。

石野:2回目だと思ってた(笑)。
 
ーー今まで3回開催されてきて思うことだったり、今回のテーマだったりはありますか?
石野:そもそも「WIRED CLASH」をやったのは「WIRE」が終わって、「WIRE」に代わる何か大きなイベントができないか、っていうところから始まった。だから「WIRED CLASH」は番外編なんだよね。まだ、新しいイベントはできていないけど、ぼんやりとだけど少しずつ可能性は見えてきた感じかな。

荒木:じつは、今年「WIRED CLASH」をやるかやらないかみたいなこともあったんだけど、卓球さんがソロアルバムを出すタイミングにハマるかなと思って開催することにしました。それで1回目に出演してもらったWestbamとか、卓球さんオススメのDer Dritte Raumを呼んでやることにしました。

石野:Der Dritte RaumとWestbam以外は、お好きにどうぞという感じ。呼んでみたいアーティストって「STERNE」とかでできるし、「WIRED CLASH」に呼んでもパーティー中はちゃんと見れないから(笑)。
 
ーー1回目の時、「Westbamらしいプレイで楽しかった」と言っていましたが、今年もやはり楽しみですか?
石野:そうですね。

荒木:Westbamと卓球さんってそもそもどういった経緯で知り合ったんですか?

石野:最初に会ったのはドイツ・ベルリンのイーバークっていうクラブで、彼がディスコで一晩プレイしたクラシックセットをしたときだったかな……「Mayday」だったかもしれないな……。直接のつながりはなかった。最初にリリースしたレーベルも違うし。
 
石野卓球(写真左)と荒木康弘(写真右)。
  ーー親しくなるきっかけ何でしたか? 
石野:共通の知り合いがいたってことですかね。彼と知り合ったあとなんだけど、僕のマネージメントをしていたアンディという人が、途中からWestbamのブッキングをやるようになって。それが知り合ったあとだったから。5月にNew Orderの来日公演でDJをしたけど、WestbamはNew OrderのBernard Sumnerとも曲を作ったりしてるしね。マンチェスターとベルリンって自分にとって特別な街で、最初に行った海外がマンチェスターで、そのあとベルリンだし。偶然というか必然というか、今につながるようなところとかもあって…。この間、メールでやり取りしていたんだけど、Westbamが「兄弟みたいに感じるんだよね」なんて言ってたから「あ、俺もそんな風に思ったことがある」なんて言ってさ。「ただ、みんな違う国なんだよな。違う国で違う言語で育ってるんだけど」みたいなやり取りをしていた。

荒木:ベルリンで「Maxrave」っていう、Westbamの誕生日のフェスに卓球さんが出演していて。そのパーティーをageHaでも昨年やったんですよね。

石野:そうだ、「Maxrave」は彼の50歳の誕生日パーティーも兼ねてたんだよね。彼の誕生日が3月でベルリンでやって、日本でも開催したのが去年の7月だったんだよね(笑)。

荒木:「WIRED CLASH」で一回やったので、Westbamともすごく仲良くなれて。「WIRE」の時ってなかなかコミュニケーションとるタイミングがなかったから。
 
ーー「WIRE」の最後は2013年でしたが、今、思い返すことはありますか?
石野: 15年間毎年、横浜アリーナ(2002年、2003年は、さいたまスーパーアリーナで開催)に通ったけど、15年っていうその長さをあまり感じないかな。5年くらいかなって感じ。
 
ーー少し話を戻しますが「新しいイベントはできていないけど、ぼんやりとだけど少しずつ可能性は見えてきた感じかな」ってことで、できる範囲で詳細を教えてください。
荒木:これまでもずっと可能性は探っていたんだけど、今もまさに具体的な日程を探ってみたり、いろいろと動いてはいるんですが。いろいろなものが組み合わさらないと、なかなかそれを実現するのが難しくて。出演アーティストはもちろん、箱の状況もそうだし、いろんなタイミングを合わせようと頑張っているところです。やっぱりやるからにはちゃんと動員や収支をしっかり考えていかなければならないので、それも踏まえてブッキングや全体の予算のバランスを見て、「これならいこう」ってしっかり勝負できると思えるところまで持っていかないとならないですよね。それってけっこう難しいというか大変なことなんですよ。すごい大きなスポンサーとかがいて潤沢な予算があるっていうなら話はまた違うんですけどね。

石野:あ、それをこの記事で募集すればいいんじゃないの? 個人とか小口はダメです。一口30万円ぐらいからでお願いします。
――けっこう集まりそうですよ(笑)
荒木:いや、それじゃ足りない!もっと大口でドカンとお願いします(笑)。でもお金の話は置いておいて、ここまできたら慌てて無理してやるよりは、いいタイミングでいい内容のものをしっかり納得して作ったほうがやっぱりベストだと思うのでそこまで急いではいないです。とはいえ、そのチャンスがいつ来てもいいように準備、イメージは常に温めておきながら、まずはその時々にやれる事をしっかりやりながらちょっとずつそれに向かって前進してるという感じです。

石野:それだけ大きなものをやろうとなると、下準備も時間がかかるじゃないですか。あとは今あまりにもEDMが流行っているからそれに埋もれちゃう。

荒木:そういう意味ではちょっとずつ兆しが見えてきている気はします。でも冗談抜きで、アレくらい大きなムーヴメントになってしまうとどうしたって飽きられるというか、やっぱり長持ちはしないですよね。そういう変化は必然だと思うんですが、そこは僕らにとってチャンスでもあると思うんです。その時に次のムーヴメントになれたらとは思いませんが、少しでも多くの人に僕らのシーンが面白いと思ってもらえるような受け皿になれるかは重要ですよね。「ULTRA」がああやってRESISTANCEみたいのをワールドワイドに展開しているのもそういう事を考えてるんだと思うけど。とはいえEDMのことを僕らあんま分かってないですよね。

石野:実際、あまり知らないからね、仕方がないけど。

荒木:この間のラジオでも聞かれてましたもんね。

石野:そうそう。ラジオはね、きっと仲間だと思ってるというか。“やっぱりEDMは未来のミュージックシーンを担っていく最重要アイコンだ”みたいなね。

荒木:そんなこと一言も言ってないじゃないですか(笑)

石野:と言うことを望んでたんでしょ?
 
ーーえっと…、軌道修正して規模感などの詳細を…。
荒木:規模感だとやっぱり1万人ぐらい、「WIRE」と同じぐらいの規模は考えてますよ。それで屋内でオールナイト。この点は卓球さんがこだわっている部分ですよね。

石野:野外にしちゃって、悲惨な天気とかになったらさ…。立ち直れないよね。

荒木:寒い時期でも屋内だったらできるっていうのもあるし。

石野:あとは会場の問題。ちょうど建て替えてる時期ですし。2016年問題ってやつ。あ、じゃあ2016年問題って今年で終わるんだ?

荒木:一応終わるみたいですけど。

石野:じゃあ来年はできるの? 

荒木:どうなんでしょうかね。いずれにしろオールナイト公演はどこもハードルは高いみたいですけど。

石野:え、なんで?

荒木:やっぱり、設営とか時間の制約もそうですし、深夜となると苦情や騒音の問題もありそうですよね。

石野:じゃあ、スーパーアリーナで、ちっちゃい音でやります(笑)。みんな耳を澄まして踊ってください。足音が鳴るような靴は禁止。隣の人が聴こえなくなっちゃうから。裸足でいいんじゃないかな。ビニール袋を渡すのでその中に靴入れて、各自自分で管理してください。
 
――このインタビュー、オチができてしまいましたね(笑)

荒木:最後に。今年は「WIRED CLASH」開催前日に渋谷のWOMBで「STERNE」が開催されるんですけど、「WIRED CLASH」のチケット持参で2つのパーティーに入場できます。どちらのパーティーも満足していただける濃い内容になっているので「WIRED CLASH」の前売チケットを購入いただいて2日間におよぶ都市型フェスの様な感覚で楽しんでもらえたらと。

あとはお客さんからもよく求められますが、「WIRE」に変わるような大きなテクノフェスが早く実現できたらという気持ちは僕も強く持っています。その思いを持ちながらも、今やっぱり大事なことは普段行われているクラブやパーティーなど僕らのシーンがもっと盛り上がらないとダメだよなと思って頑張ってるんです。そうする事できっとその先にまた大きなフェスやいろいろと面白いことなど様々な可能性へと繫がっていくんだと思います。なのでまずは「WIRED CLASH」をしっかりと盛上げたいので、皆さんぜひ会場に遊びにきてください!!!!
 
 
- Event Information -

タイトル:WIRED CLASH
開催日:9月3日(土)
会場:新木場ageHa(東京都江東区新木場2-2-10)
時間:23:00
出演者:Takkyu Ishino(Tokyo/JP), WestBam(Berlin/GER), Der Dritte Raum(Berlin/GER), Popof(Paris/FR), Frank Lorber(Frankfurt/GER), DJ Cookie(Taipei/TW), DOZEGUISE(ASYLUM/Hawaii/US), Eric Hsueh(6AM/Guam/US), KEN ISHII(Tokyo/JP), SHINICHI OSAWA(Tokyo/JP), SUGIURUMN(BWR/Tokyo/JP), DJ SODEYAMA(Tokyo/JP), A.MOCHI(Tokyo/JP), OSAMU M(Tokyo/JP), DJ PI-GE & KIKIORIX(TRESVIBES/Tokyo/JP), SEKITOVA(Osaka/JP), SUNSEAKER(Tokyo/JP), NAO NOMURA(BWR/Osaka/JP), SAKIKO OSAWA(Tokyo/JP), KiTE(SUNNY/Tokyo/JP), QUE SAKAMOTO(Tokyo/JP), and more.
料金 :
当日:5,000円、前売り第4弾:5,000円 8/22(月)~9/2(金)
※前売チケットは「STERNE」、「WIRED CLASH」共通券として両パーティーでご使用いただけます。

■チケット購入はコチラ
https://ticketpay.jp/booking/?event_id=4975


■イベントページ
http://www.clubberia.com/ja/events/255980-WIRED-CLASH/