文:飯野篤紀
5月11日(土)、12日(日)千葉県・幕張にて、ダンスミュージックフェスティバル「EDC JAPAN 2019」が開催される。EDC JAPANは“EDMのフェス”というイメージが強かったが、今年は例年よりもテクノ、ハウス勢やベースミュージック、ヒップホップ勢と幅広く性質の異なるアーティストがラインナップされた。そのなかでも、特に注視すべき5組のテクノ/ハウス系アーティストをピックアップしてみたので、1組ずつ紹介していきたいと思う。
Josh Wink
90年代から活躍するMr. ACID
90年代テクノ/ ハウス黎明期からシーンの最前線で活躍してきたJosh Wink。アメリカのフィラデルフィアで生まれ、10代のころにキャリアをスタート。1990年に同郷のKing Brittとともに名門レーベルStrictly Rhythmから初となるシングルのリリースを果たす。1994年には、レーベルOvum Recordsを立ち上げ、今までに200枚以上のレコードをリリース。その後は、DJとしても世界中のクラブからオファーを得るようになり、一躍スターダムに登り詰める。
数々のヒット曲を生んだJosh Winkだが、そのなかでも外せない代表曲は、1995年にリリースされた「Higher State Of Consciousness」だ。彼がブレイクしたキッカケとなったこの強烈なアシッドトラックは、今までに世界中のレーベルから幾度となくリイシューされてきた。
同年にリリースされた「Don’t Laugh」も彼の代表作の1つ。ミニマルなビートに笑い声のサンプルを載せたこの曲は、いまだに世界中のDJたちにプレイされ続けており、その売り上げ枚数は50万枚にも及んでいる。
2000年初期には、当時の国内最大級テクノフェスティバルWIREやMetamorphoseに出演。どのジャンルにも偏ることのない彼のスタイルは、日本でも絶大な支持を得ており、今までに度重なる来日ツアーを敢行。現在においても旬な存在であり続ける彼独自のサウンドに注目したい。
Marcel Dettmann
現行テクノシーン最高峰にいる漢
現行テクノシーンにて、トップクラスの人気を誇るMarcel Dettmann。1999年から世界最高峰クラブBerghainでレジデントDJとして活躍。2003年からは、ベルリンの名門レコードショップHARDWAXに勤務し、2006年には自身のレーベルMDRを設立。ベルリンテクノシーンの最先端で活動してきたトップアーティストの1人だ。
プロデューサーとしては、自身のレーベルなどからリリースを重ねる一方で、Junior Boys、Fever RayやBen Klockなどのリミックスや共作を手掛け、フロアヒットを量産してきた。また、2018年にBerghainが運営するレーベルOstgut Tonからリリースされたアルバム「Test-File」は、より実験的な方向性を追求したものとなり、さまざまな方面から注目を集めた。
DJミックスに関しては、イギリス・ロンドンの老舗ミックスシリーズfabricやMusic Man、Studio !K7などのヨーロッパ主要レーベルからリリース。そのなかでも、2008年にOstgut Tonからリリースされたミックス「BERGHAIN 02」は彼の名を世界に広めるキッカケとなった。
初来日は2009年。その後も大型フェスやクラブイベントからオファーが絶えず、毎年のように日本でツアーを敢行してきた。長年のキャリアに裏付けられる新旧ジャンルを問わない大胆な選曲を、緻密なミキシングスキルでまとめ上げるプレイに期待したいところだ。
Peggy Gou
世界中が注視する才女
「今、世界で最も注目を集める女性DJ」と言い切ろう。韓国で生まれたPeggy Gouは、ロンドンで数年過ごした後、ベルリンに移動。2016年1月にRadio SlaveのレーベルRekidsからリリースした「The Art of War Part 1」でプロデューサーとしてデビュー。その後もコンスタントにリリースを重ね、ベルリンのBerghainやBoiler Roomへの出演、BBC radio 1での1ヶ月に及ぶレジデンシーを経たキャリアの持ち主だ。
2016年には、ロンドンの老舗レーベルNinja Tune傘下のTechnicolourから「Seek For Maktoop」をリリース。その完成度の高いサウンドが注目され、RA、Mixmag、FACTMagazineなどの国際的なメディアからの支持と、BBC Radio 1のヘヴィープレイなどの熱いサポートを受けた。
その後も多忙なツアー生活を送るなかで、ヒット曲のリリースを続ける。2018年にNinja Tuneからリリースされた「Once」は一時世界的に入手困難を極めるまでとなった。
2018年の来日ツアーでは、日本最大級の音楽フェスFUJI ROCK FESTIVALに出演。今最も波に乗る注目株、Peggy Gouのプレイは見逃せない。
ARTBAT
ヨーロッパから吹き込む新風!
ウクライナの首都キエフ出身のArturとBatishから成る2人組DJ / プロデューサー。2015年のデビューシングル「Mandrake」を皮切りに、リリースした曲は立て続けにDJ向け音楽配信サイトBeatportのチャート上位にランクイン。2017年には、テクノシーンのアワードを総なめにするトップDJ、SolomunのレーベルDiynamicからシングルをリリース。瞬く間に彼らの名は広まり、現在はヨーロッパを中心に世界中のクラブやフェスからオファーが絶えない存在だ。
Diynamicからリリースされた「Uplift」は、Beatportのオールジャンルチャートでトップ10入りを果たし、彼らのブレイクのキッカケとなった。Maceo PlexやRichie Hawtinといったトップアーティストも彼らの曲をプレイし、数々のダンスフロアをロック。作品のクオリティーの高さが証明された。
ARTBATは、今回が初来日。ヨーロッパテクノシーンでまさにアップカミングな彼らなだけに「あのときEDCでパフォーマンス見た!」と後々自慢できるものになるのでは!?と期待したい。
MARS89
世界で活躍する新世代クリエイター
東京を拠点に活動するDJ / プロデューサーMars89。UKベースミュージックを軸にトライバルやポスト・ダンスホールなど、さまざまなジャンルをクロスオーバーする。2016年にEP「East End Chaos」のリリースでプロデューサーとしてデビュー。その後に世界的人気を誇るファッションブランドUNDERCOVERのコレクション音楽制作を担当し、一躍話題となった。
2018年9月には、イギリス・ブリストルのレーベルBokeh VersionsからセカンドEP「End of the Death」をリリース。イギリスの名門レーベルWarpやThom Yorkeがプレイリストに抜擢し、彼の名を世界に広めるキッカケとなった。
現在はブリストルのNoods Radioでレジデントを務める一方で、Rinse FranceやSeoul Community Radioなどにミックスを提供。2018年には中国、韓国、台湾を巡る1ヶ月に及ぶアジアツアーを敢行した。ジャンルに捉われない新世代クリエイターの彼のプレイに注目したい。
これまで紹介した5組のほかにも、今年のEDCは今旬なハウス / テクノアーティストを多数ラインナップしている。Jamie Jones主宰のレーベルHot Creationsからリリースを重ねるWAFF(初来日)や楽曲「Call You Back」がBeatportチャートNo.1にランクインしたことで話題のBONTANもハズせない。国内からも、渋谷VISION で今年から始まったテックハウスパーティーEDGE HOUSEでレジデントを務めるDJ DARUMA+JOMMYや2019年3月にユニットとして初のアルバム「Modern Disco Tours」をリリースしたYOSA & TAARなども出演と盛りだくさん。今年はEDC JAPANもテクノ/ ハウス好きにとっても見逃せないフェスティバルだ。
EDC JAPAN
https://japan.electricdaisycarnival.com/
Josh Wink
90年代から活躍するMr. ACID
90年代テクノ/ ハウス黎明期からシーンの最前線で活躍してきたJosh Wink。アメリカのフィラデルフィアで生まれ、10代のころにキャリアをスタート。1990年に同郷のKing Brittとともに名門レーベルStrictly Rhythmから初となるシングルのリリースを果たす。1994年には、レーベルOvum Recordsを立ち上げ、今までに200枚以上のレコードをリリース。その後は、DJとしても世界中のクラブからオファーを得るようになり、一躍スターダムに登り詰める。
数々のヒット曲を生んだJosh Winkだが、そのなかでも外せない代表曲は、1995年にリリースされた「Higher State Of Consciousness」だ。彼がブレイクしたキッカケとなったこの強烈なアシッドトラックは、今までに世界中のレーベルから幾度となくリイシューされてきた。
同年にリリースされた「Don’t Laugh」も彼の代表作の1つ。ミニマルなビートに笑い声のサンプルを載せたこの曲は、いまだに世界中のDJたちにプレイされ続けており、その売り上げ枚数は50万枚にも及んでいる。
2000年初期には、当時の国内最大級テクノフェスティバルWIREやMetamorphoseに出演。どのジャンルにも偏ることのない彼のスタイルは、日本でも絶大な支持を得ており、今までに度重なる来日ツアーを敢行。現在においても旬な存在であり続ける彼独自のサウンドに注目したい。
Marcel Dettmann
現行テクノシーン最高峰にいる漢
現行テクノシーンにて、トップクラスの人気を誇るMarcel Dettmann。1999年から世界最高峰クラブBerghainでレジデントDJとして活躍。2003年からは、ベルリンの名門レコードショップHARDWAXに勤務し、2006年には自身のレーベルMDRを設立。ベルリンテクノシーンの最先端で活動してきたトップアーティストの1人だ。
プロデューサーとしては、自身のレーベルなどからリリースを重ねる一方で、Junior Boys、Fever RayやBen Klockなどのリミックスや共作を手掛け、フロアヒットを量産してきた。また、2018年にBerghainが運営するレーベルOstgut Tonからリリースされたアルバム「Test-File」は、より実験的な方向性を追求したものとなり、さまざまな方面から注目を集めた。
DJミックスに関しては、イギリス・ロンドンの老舗ミックスシリーズfabricやMusic Man、Studio !K7などのヨーロッパ主要レーベルからリリース。そのなかでも、2008年にOstgut Tonからリリースされたミックス「BERGHAIN 02」は彼の名を世界に広めるキッカケとなった。
初来日は2009年。その後も大型フェスやクラブイベントからオファーが絶えず、毎年のように日本でツアーを敢行してきた。長年のキャリアに裏付けられる新旧ジャンルを問わない大胆な選曲を、緻密なミキシングスキルでまとめ上げるプレイに期待したいところだ。
Peggy Gou
世界中が注視する才女
「今、世界で最も注目を集める女性DJ」と言い切ろう。韓国で生まれたPeggy Gouは、ロンドンで数年過ごした後、ベルリンに移動。2016年1月にRadio SlaveのレーベルRekidsからリリースした「The Art of War Part 1」でプロデューサーとしてデビュー。その後もコンスタントにリリースを重ね、ベルリンのBerghainやBoiler Roomへの出演、BBC radio 1での1ヶ月に及ぶレジデンシーを経たキャリアの持ち主だ。
2016年には、ロンドンの老舗レーベルNinja Tune傘下のTechnicolourから「Seek For Maktoop」をリリース。その完成度の高いサウンドが注目され、RA、Mixmag、FACTMagazineなどの国際的なメディアからの支持と、BBC Radio 1のヘヴィープレイなどの熱いサポートを受けた。
その後も多忙なツアー生活を送るなかで、ヒット曲のリリースを続ける。2018年にNinja Tuneからリリースされた「Once」は一時世界的に入手困難を極めるまでとなった。
2018年の来日ツアーでは、日本最大級の音楽フェスFUJI ROCK FESTIVALに出演。今最も波に乗る注目株、Peggy Gouのプレイは見逃せない。
ARTBAT
ヨーロッパから吹き込む新風!
ウクライナの首都キエフ出身のArturとBatishから成る2人組DJ / プロデューサー。2015年のデビューシングル「Mandrake」を皮切りに、リリースした曲は立て続けにDJ向け音楽配信サイトBeatportのチャート上位にランクイン。2017年には、テクノシーンのアワードを総なめにするトップDJ、SolomunのレーベルDiynamicからシングルをリリース。瞬く間に彼らの名は広まり、現在はヨーロッパを中心に世界中のクラブやフェスからオファーが絶えない存在だ。
Diynamicからリリースされた「Uplift」は、Beatportのオールジャンルチャートでトップ10入りを果たし、彼らのブレイクのキッカケとなった。Maceo PlexやRichie Hawtinといったトップアーティストも彼らの曲をプレイし、数々のダンスフロアをロック。作品のクオリティーの高さが証明された。
ARTBATは、今回が初来日。ヨーロッパテクノシーンでまさにアップカミングな彼らなだけに「あのときEDCでパフォーマンス見た!」と後々自慢できるものになるのでは!?と期待したい。
MARS89
世界で活躍する新世代クリエイター
東京を拠点に活動するDJ / プロデューサーMars89。UKベースミュージックを軸にトライバルやポスト・ダンスホールなど、さまざまなジャンルをクロスオーバーする。2016年にEP「East End Chaos」のリリースでプロデューサーとしてデビュー。その後に世界的人気を誇るファッションブランドUNDERCOVERのコレクション音楽制作を担当し、一躍話題となった。
2018年9月には、イギリス・ブリストルのレーベルBokeh VersionsからセカンドEP「End of the Death」をリリース。イギリスの名門レーベルWarpやThom Yorkeがプレイリストに抜擢し、彼の名を世界に広めるキッカケとなった。
現在はブリストルのNoods Radioでレジデントを務める一方で、Rinse FranceやSeoul Community Radioなどにミックスを提供。2018年には中国、韓国、台湾を巡る1ヶ月に及ぶアジアツアーを敢行した。ジャンルに捉われない新世代クリエイターの彼のプレイに注目したい。
これまで紹介した5組のほかにも、今年のEDCは今旬なハウス / テクノアーティストを多数ラインナップしている。Jamie Jones主宰のレーベルHot Creationsからリリースを重ねるWAFF(初来日)や楽曲「Call You Back」がBeatportチャートNo.1にランクインしたことで話題のBONTANもハズせない。国内からも、渋谷VISION で今年から始まったテックハウスパーティーEDGE HOUSEでレジデントを務めるDJ DARUMA+JOMMYや2019年3月にユニットとして初のアルバム「Modern Disco Tours」をリリースしたYOSA & TAARなども出演と盛りだくさん。今年はEDC JAPANもテクノ/ ハウス好きにとっても見逃せないフェスティバルだ。
EDC JAPAN
https://japan.electricdaisycarnival.com/