イギリスの新首相アンディ・バーナム氏(前グレーター・マンチェスター市長、Haçienda通いのレイヴァーとしても知られる)が7月23日、2027年4月からイングランド国内のパブ・クラブ・ライブ音楽会場を対象に、事業税(ビジネスレート)を20%削減すると発表した。年間1億ポンド規模の高街(ハイストリート)支援策の一環で、対象は約32,000施設。標準的なパブで約1,100ポンドの節約になる見込みだ。
イギリスでは今年1月、パブとライブ音楽会場を対象に15%の軽減措置がすでに導入されている。今回の20%は、この既存措置に上乗せする形で適用される。
ただし線引きも残る。最大規模のライブ音楽会場は対象外とされ、詳細な適用基準は秋の予算で確定する予定だ。劇場業界は今回も対象に含まれず、失望を表明している。
なおナイトクラブの扱いについては、一部業界紙がこれまで対象外だったナイトクラブが今回から適用対象に加わったと報じているものの、政府発表にその明記はない。政府の文言は「social clubs(社交クラブ)」となっており、こちらは地域の会員制クラブを指すとみられる。この点も秋の予算を待つ必要がある。
「長年、政府は街から愛される会場が消えていくのを黙認してきた。今日、それを変える」とバーナム氏はコメントした。
■ 業界の反応
UK MusicのCEOトム・キール氏は、ライブ音楽会場にとって待望の支援だとした上で、事業税の高騰によってあまりに多くの会場が失われてきたと指摘。今も苦境にある会場にとって重要な生命線になると述べた。さらに、音楽産業の基盤であるレコーディングスタジオへの適用拡大も求めている。
Music Venue TrustのCEOマーク・デイヴィッド氏は、ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの各政府にも同等の支援を速やかに確定するよう呼びかけ、英国全体でツアーの経済条件を公平にすべきだと訴えた。
■ 背景
前政権下では、コロナ禍以来続いてきた軽減措置を2026年4月で終了する方針が示されていた。しかし批判を受けて今年1月に15%の措置が導入され、今回の20%はその延長線上にある。財源は、ベイプショップなど地域への貢献が乏しいとされる業種への税優遇の見直しと、オンラインマーケットプレイス出品者による税逃れへの対策で賄われる。当初懸念されていた大型倉庫への課税強化は、今回は採用されなかった。
なお今回の発表は、業界団体UK Musicが3日前に欧州ツアーのコスト削減を政府に要請した直後というタイミングでもあった。
ナイトライフの担い手を「守るべき文化インフラ」として位置づけ、具体的な財政措置に落とし込んだ点は、音楽業界に関わる者として素直に励みになるニュースだ。
ソース
- GOV.UK(政府公式発表): Burnham means business: PM slashes business rates bills for pubs, clubs and live music venues
- RA: English clubs, pubs, venues to receive 20-percent business rate reduction
- Arts Professional: Further business rates cut announced for music venues and clubs
- Property Week: Burnham unveils 20% business rate cut for pubs, clubs and live music venues
