ベルリンの中心を流れるシュプレー川沿いは元々ベルリンの壁があった側だという事もあり、様々なクラブやバーが営業されている。特に夏ともなるとシュトラント・バー(砂を入れてビーチを模した夏限定の野外バー)にはものすごい数の人が訪れる。有名なBar25や、ベルリンレゲエシーンの中心Yaam、他にもキャンピングバンの集まるスクワットプレイスSchwazer Kanal等、退廃的な過去のベルリンを象徴する場所がいくつもあり、またそういった場所こそがこの町の魅力であったともいえる。しかしベルリンの壁崩壊から今年で20年が経ち、徐々に街としての機能を取り戻しつつあるベルリン。クラブの中心地も90年代のTresorがあったPotzdammer Platzから、2000年代にはBar25やPanorama BarのあるOst Bahnhofへ、更にその近辺も開発(というか復興?)が進み、今やアンダーグランドなクラブの中心地はOst Bahnhofではなく、二つとなりの駅Ost Kreuzへと移っている。そしてOst Bahnhofに近い川沿いのエリア、通称Spreeuferでは以前から再開発が計画され、大手マスコミの事務所やコンサートホールなどの建設が計画されており、Media Spreeと呼ばれている。壁が最も長く残っていて観光名所として有名なEast Side Gallery横には、すでにO2 World Arenaという、景観を損なう巨大な建物が完成してしまっているが、この近辺すべてのゾーンを将来的にこのような巨大建築で埋め尽くす建設計画が進行しており、その影響でBar25やYaamは閉店、移転を余儀なくされている。
大手資本による地元民の声を無視したこの建設計画には当然反対の声も多く、去る7月11日にMegaspreeというデモが行われた。政治的な運動という感じではなく、音楽が鳴らしながら進むパレードといった様相でSchwarzer Kanal、So36、Bar25等がフロートを出し、コースの最終地点のベルリン市庁舎の前で反対の声をあげると言う物である。これまでもBar25の前の川をたくさんのボートで封鎖し反対の声をあげると言う、イタズラ好きなベルリンっ子ならではのデモイベントもあり、今回も堅苦しい事は抜きにして、皆で楽しく反対の声を上げよう!と言う声のもとになんと数万人もの人が集まった。Bar25は発砲スチロールで出来た巨大な赤ん坊を運びながら行進すると言う、相変わらずのフリーキーぶりを見せていた。川封鎖デモも今回のmegaspreeも、Youtubeでその様子を見る事が出来る。>リンク
あらためてデモを見て感じた事は、ベルリンが復興し進化していく過程は皆喜んではいる物の、市民の声を無視して進められる計画などは誰も求めてはいないと言う事実だ。様々な人々が集い、それぞれの形で反対を表明し、またそれを楽しんでいる。たとえクラブの閉鎖反対運動のような物であれ、それも"民意"として意見を発する事が出来る。これだけの人間が反対して、求めていない事であるが、残念ながら結果的にBar25やYaamは閉店する。しかし、声を上げていないとそれは"YES"と言っているのと同じ事なのだ。この街らしさを失うための再開発を黙視しているわけにはいかない。"自分たち"のこのベルリンの街をよりするために、声を上げてみよう。MediaSpree Versenken!(Mediaspree反対!)
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