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“聴いたことのない音楽、見たことのない映像”を求めて。 音楽とテクノロジーを駆使したフェス「MUTEK」がやってくる

 電子音楽と最新テクノロジーを駆使したカナダ最大級のフェスティバル「MUTEK」(ミューテック)が11月に日本初上陸する。本フェスは2000年からカナダ・モントリオールで開催され、現在ではメキシコ・メキシコシティ(2004年〜)とスペイン・バルセロナ(2010年〜)でも開催されている。日本でも馴染みがあるフェスティバルを挙げ例えると、スペイン・バルセロナで開催され、20年以上の歴史を誇る「Sonar」が近いだろう。 「MUTEK」はカナダのケベック州が全面サポートし、街をあげてのフェスティバル。今年は6月1日から5日にかけて開催され43,500人もの人が集った。会場は、通常の音楽イベントでは使われない美術館や劇場などが使われるのも特徴だ。そのほかにも会場内の4人に1人が16歳〜24歳。これはボランティアとしてフェスティバルを手伝っていることもあり、教育的な側面も強い。
 文化芸術活動の普及を目的に非営利団体が運営していることもあり、出演アーティストは有名、無名問わずラインナップされ、特にカナダ人が多い。それは「MUTEK」が自国のアーティストを世界にプレゼンテーションするための場であり、世界中のアーティストを繋げる場、いわゆるハブの役割を担っているからだ。下記はオフィシャルサイトのアーティストのデータベース。このページに載っているのはすべて本フェスに出演したカナダ人アーティスト。このページを見るだけでも、こんなアーティストがいたのか! という発見があり面白い。
http://www.mutek.org/en/hub/artists/


 モントリオールという土地もまた面白い。ウィキペディアによると住民の大半がフランス系カナダ人で第一言語をフランス語としている。市内の人口も約30%が非白人と世界各国からの移民も多い多民族都市である。フランスを始め、さまざまな国の文化が入り混じったモントリオールは、文化的にカナダや北米をリードする都市とされている。(ちょうどこの記事を書いている時には、あのRed Bull Music Academyもモントリオールで開催されている)  
 創設者兼ディレクターを務めるのはAlain Mongeau氏。もともとモントリオール国際映画祭に関わっていた人物。その彼に「MUTEK」5周年の際にインタビューをした記事がある。下記はfrom-montreal.comでのAlain Mongeau氏の発言を参考に要約したもの。2004年の記事ではあるが「MUTEK」の変わらぬ理念を感じ取ってもらえると思う。

「MUTEKをスタートしたとき、困難だったことのひとつは、いわゆるクラブイベントではないという点をはっきり打ち出すことでした。差別化をはかるために、DJ中心の内容ではなく、ミュージシャンのライブパフォーマンスにしたんです。そして、現代音楽に近い、より実験的な音楽を紹介し、周辺のデザインもミニマルにして、方向性を明確にしました。MUTEKは実験室です。創作活動の再構築が行われるような機会になればと考えています。だから前衛的(アバンギャルド)ではなく革新的(イノベーション)という言葉を使いたい。2003年の最終日のショーでは、Ricardo Villalobos、Richie Hawtin、Akufen、Robert Henke、Dimbiman(Zip)、Dandy Jack、Cabanne、Luciano、Dan Bellが、それぞれのコンピューターをつないで即興演奏を行いました。世界でも初めての試みです。これは、MUTEKにしかできないことだったと思います。参加者のひとりRichie Hawtinは、このイベントが彼のキャリアのなかでもハイライトのひとつだったと話していました」

 なお、この音源は下記で視聴可能だ。  
http://www.mutek.org/en/fm/podcasts/muteklive/610-m15-001-narod-niki-live-mutek-2003
 また、歴史的なパフォーマンスをあげるとすると2011年は特に話題となったものが2つある。ひとつは、Richie Hawtin によるプロジェクトPlasticman Live。ひとつは、Amon Tobinによる'ISAM' Liveだ。この2つのパフォーマンスは日本でも大きな話題となっただけに覚えている人も多いだろう。




 

 日本からは、Ryoji Ikeda(2007年メキシコ)、Manabe Daito(2014年メキシコ)、Hiroaki Umeda(2015年モントリオール)なども参加している。下記動画は本国開催のダイジェスト。
 
 見たことのない映像、聴いたことのない音楽。それを体験できるのが「MUTEK」なのだ。東京でも、デジタルアートの展示会は多数あるが、電子音楽とオーディオヴィジュアルアートの文化芸術の普及を目的としたフェスティバルは今までなかったように思う。デジタルに最先端な都市“TOKYO”で「MUTEK」が人々の目にどのように映るかとても興味深い。また、MUTEK LAB/DIGI_SECTIONと題したプログラムも楽しみだ。これは、学生、専門家、音楽家、デジタルアートに関心を持つ人達と共にコミュニケーションが図れる場として、機材メーカー参加による無料の教育プログラム、ワークショップ、レクチャー、パネルディスカッションを行うというもの。このようなアカデミックな活動にフォーカスしている団体が東京にできたことは、5年後、10年後、きっと音楽を含むアートシーンで財産となることだろう。「MUTEK JP」の開催は11月2日、3日、4日。革新的な芸術パフォーマンスに触れられる、またとないチャンスを見逃すわけにはいかない。





■オフィシャルサイト
http://mutek.jp/#!/home

■チケットの購入はこちら
http://www.clubberia.com/ja/search/?text=mutek+jp+2016
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