Jeff Millsの伝説的映像作品『Exihibitionist』の続編が11年ぶりに発売

2015.06.19

TEXT BY: Ryosuke Kimura

自身のDJプレイを、マルチアングルで赤裸々にとらえたJeff Millsの映像作品『Exihibitionist』をご存知だろうか？　三台のターンテーブルと一台のミキサーを使ってものすごい早さで曲を繋げていく姿をさまざまな角度から映したこの作品。今でこそよく目にする映像であるが、当時これを見て「なんじゃこりゃ！ライブ？早送り映像！？」なんて思ってしまうくらいの手さばきに衝撃を覚えた人もいるかもしれない。あれよあれよとレコードを変えながらミキサーを操る手が、尋常ではないスピード。俗に言う“スクラッチ”とはまた違う類のテクニックをこの映像で見せつけられ、DJってスクラッチ以外にこんなこともできてしまうのかと思ったほど。正直なところ、もはや何をやっているのか分からないほど高次元で、神業とはまさにこういうことを言うんだなと妙に納得したのを覚えている。それほど強いインパクトを残した『Exihibitionist』が続編となって帰ってくるというのであれば、見逃すわけにはいかない。

11年もの歳月が経ったいま、なぜ続編となる『Exihibitionist 2』を発表するに至ったのだろうか。それは「ダンスミュージックには芸術様式としてもっと露呈されるべきテリトリーがある」というJeff本人の強い思いからだという。本作では、前作よりも音楽をさらに深く掘り下げながら新しい発見ができるようなデザインを施しており、いま世に出ているような、いわゆるDJが最新機器を使用する姿を見せるという内容とはまったく異なる。ミュージシャンが楽器を即興で演奏したり、ソリストが生演奏でリズムを合わせたりするように、リアルタイムで“思考”が音楽へと切り替わる様子を収めた映像ドキュメントとなっているようだ。瞬間瞬間のその場の臨場感を味わえるこのドキュメンタリー的作品は、Jeffの思考や頭の中を覗くことができる唯一の手がかりとなるかもしれない。前作同様、この続編も一見の価値がある作品となりそうだ。

『Exihibitionist 2』は9月に＜U/M/A/A＞より発売予定。現在、発売に先駆けてトレーラーが公開されているのでこちらもチェック。