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再生音量/容量が30%増、音質は2倍に向上。高品質ヴァイナルを生み出す新しいプレス技術が開発

 オーストリアのRebeat Digital社が新しいプレス技術を開発した。そのプレス技術は、手動で管理し手間と時間のかかるこれまでのプレス方法ではなく、3Dベースの地形図とレーザー彫刻の技術を用いた革新的な手法。これにより、ヴァイナルの容量や音質が向上するほか、プレス工程の手間や時間が大幅に削減されるという。この技術で作られるヴァイナルは、HD(ハイ・ディフニション)ヴァイナルと呼ばれる。

 では、工程にどのような違いがあるのか、下記にまとめてみた。

現在のプレス方法
・マスター音源の音質/溝幅などを調節
・スタンパー(プレス機に取り付ける型)の基盤となるラッカーディスクに溝を刻む
・表面にニッケルをメッキし、ディスクから剥がす
・剥いだメッキはこの時点では凹凸が逆になっているので、再度ニッケルをコーティング
・そのニッケルを剥いだものがスタンパーとなり、スタンパーに再度ニッケルをコーティング
・複製したスタンパーをプレス機に取り付けてプレス

HDヴァイナル
・コンピューター上でヴァイナルの溝などを調節し、彫刻する3Dプログラムを作成
・レーザーで直接スタンパーに刻み込む。溝の間隔や深さはコンピューターが自動的に調節・管理。
・スタンパーをプレス機に取り付けてプレス

 プレス作業を始めるまでに多大な労力と職人の技術が必要とされる現在のプレス工程と比べると、その効率の良さは一目瞭然。この手法を用いれば、スタンパーを製造するコストが50%、製造時間が60%も削減するという。性能は、30%再生音量・容量が大きくなり、音質が2倍に向上するのは、リスナーや作品をリリースするアーティストには嬉しいポイントだ。また、このヴァイナルは現在流通しているどのターンテーブルでも再生が可能だという。年々人気が高まっているヴァイナルシーンだが、同時にプレス工場や職人の不足が問題視されてもいる。そのなかで、このHDヴァイナルがこの問題を解決する役割を果たすかもしれない。


参照もと:DIGITAL MUSIC NEWS